映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

映画『アンテベラム』ネタバレなしの感想。南北戦争前の綿花農場で奴隷として働く黒人と現代を生きる黒人を描く

■評価:★★★☆☆3.5 

 

「どんでん返し」



【映画】アンテベラムのレビュー、批評、評価

 

ゲット・アウト』『アス』のプロデューサー:ショーン・マッキトリックが制作を務める2021年公開のスリラー映画。

 

アメリカでベストセラー作家として活躍する黒人女性・ヴェロニカ。一方、同じく黒人女性のエデンは、アメリカ南部で奴隷として虐げられていた。対照的な人生を過ごす彼女たちだったが、それぞれあるきっかけにより数奇な運命をたどることになる。

 

ゲット・アウト』『アス』といえば共通するキーワードは『白人による黒人への人種差別』『どんでん返し』が挙げられる。
特に本作は、どんなぶっ飛んだ展開を見せてくれるのかを期待して鑑賞に至った。

冒頭は地味というか、ありきたりな展開が続く。
南北戦争前のアメリカ南部が舞台。
黒人女性の主人公エデンは白人にこき使われ、奴隷として、プランテーション(大規模農園)で強制労働させられている。
南北戦争1861年から1865年にかけて、アメリカの北部と南部が対立した内線で、奴隷制存続を主張する南部と、急速な工業化による奴隷制度を批判する北部がぶつかり合うもの。

南北戦争前のプランテーションを題材とした映画は多く存在する。
例えば生き別れになった妻の救出のため、プランテーションに特攻する黒人を描いたタランティーノ監督作品の『ジャンゴ 繋がれざる者』。

あるいはもっと昔の 1975年に公開された黒人奴隷を育てたり売買したりする主人公を描く『マンディンゴ』など。
私が鑑賞しただけでも、すぐに数本上がったので、実際には何倍もの作品がアメリカでは制作されている。
そのため、「また黒人差別ものか」といった具合なローテンションなノリで鑑賞していた。
余談だが、タイトルのアンテベラムは、南北戦争前(の時代)を意味する。

面白かったのが、冒頭数十分経過すると、突然、舞台が南北戦争が遠い昔の現代になる。
昔のような人種差別がない現代を裕福に生きる黒人女性ヴェロニカへと、視点人物が切り替わる。
違和感全開である。
唐突に、150年以上の膨大な年月が経過するので、まるで先が読めない展開でついつい画面に食い入ってしまう。

物語終盤に差し掛かる頃に訪れる急展開にはビックリさせられる。
まさにどんでん返し。

この手の展開に凄みのある作品は、ネタバレしたくないので、作品の内容についての言及はこれ以上は控えておきたい。
ただただ、開いた口が塞がらない。
「この映画は絶対にビックリするよ」と知った上で鑑賞しても間違いなく唖然とするだろう。
そのため、どこかでネタバレを踏む前に、早く鑑賞することをお勧めする。

個人的にはかなり好きな部類だった。
特に、全体的に漂う不穏な空気感はたまらない。
南北時代編も現代編も、どこか違和感を覚える奇妙な雰囲気で画面が淀んでいる。
個人的には好きな演出なので、先が気になって物語に入り込むことができた。

不満点をあげるなら、ネタ明かしの直前までは冗長であること。
大きな転換となる展開が、物語の終盤で訪れる。
それまでは大した起伏がなく、淡々と主人公の生活が描かれる。

そのため、退屈に思う人は多いかもしれない。
私も正直、だいぶしんどくて、1,25倍速で視聴した。
不穏な空気感も良いんだが、起伏に乏しい展開はさすがにしんどい。

あと、本作においての注意点があり、有名な話ではあるんだが、予告だけは鑑賞しないほうがいい。
予告が笑えるほどに本作の肝となる部分のネタバレを行っている。
あの予告を作った人の感性を疑う。
なぜ、あれがOKとされたのか。
なぜ、今も尚、YOUTUBEなどで見られる状況なのか。
理解し難い。
この映画の予告をあのように制作した張本人は、勉強し直す、というか映画業界から足を洗ったほうが良いと思う。
物語に対する愛がないし、あまりに無知すぎる。
丹精込めて作りった監督が見たらぶん殴られると思う。

とにかく、本作はどんでん返し映画としては良くできているので、友達とかと大勢で鑑賞するのが良いと思う。

 

どんでん返し作品のおすすめはコチラ。

ペルソナ4 ザ・ゴールデン

movies-ocean.hatenadiary.com


■タコピーの原罪

movies-ocean.hatenadiary.com

■慟哭

movies-ocean.hatenadiary.com

■罪の声

movies-ocean.hatenadiary.com

 

アンテベラムの作品情報

■監督:ジェラルド・ブッシュ
クリストファー・レンツ
■出演者:ジャネール・モネイ
エリック・ラング
ジェナ・マローン
ジャック・ヒューストン
Wikipediaアンテベラム
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):31%
AUDIENCE SCORE(観客):50%



アンテベラムを見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・見放題)○(Blu-ray)
Netflix:-
※2023年5月現在