映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

映画『ブレット・トレイン』ネタバレなしの感想。不運な殺し屋が乗り込んだ新幹線の中での悲劇を描く

■評価:★★★☆☆3.5 

 

「新幹線の可能性」

 



【h2】【映画】ブレット・トレインのレビュー、批評、評価




ジョン・ウィック』シリーズ『アトミック・ブロンド』『デッドプール2』『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』『ブレット・トレイン』のデヴィッド・リーチ監督による2022年公開のアクション・コメディ映画。

 

とにかく運の悪い殺し屋レディバグ。彼は依頼人のマリアからブリーフケースを盗むだけの簡単な仕事を請け負い、東京発・京都行の超高速列車・ゆかり号に乗り込む。

 

本作はなんと、『重力ピエロ』『アヒルと鴨のコインロッカー』『ゴールデンスランバー』『グラスホッパー』『アイネクライネナハトムジーク』の日本人作家である伊坂幸太郎の著作『マリアビートル』を原作とするハリウッド映画。

日本の小説作品がハリウッドで映像化されるというのは、日本人の私としてはテンションが上がる。
過去にも日本の作品が海外で映像化されるケースはある。
漫画『攻殻機動隊』を原作とするハリウッド映画の『ゴースト・イン・ザ・シェル』。
また、映画『アリータ:バトルエンジェル』は、同じく、日本のSF漫画である『銃夢』が原作。

漫画は日本の文化であるので、海外で映像化されることは多い。
だが小説を原作とするハリウッド映画は、個人的には初めて聞いたし、どんな映像になっているのかワクワクしながら鑑賞した。
また、伊坂幸太郎の小説を私は多く読んでいる。
伊坂幸太郎の特徴といえば、主に2つ。

1つは伏線回収劇。
冒頭から中盤に掛けて、至る所に伏線がちりばめられている。
終盤は怒濤の勢いで伏線を回収している。
「え?こんな箇所まで伏線だったの?」といった具合の、さりげない伏線も多く存在する。
一気に回収されていくさまは、もはやテンションがハイになるいけない薬のよう。

ユーモラスな会話劇が2つ目。
独特のシュールなやりとりが心地良い。
毒っ気が少なく、ちょっとしたズレが面白い応酬会話が多くて、女性に受ける印象のマイルドさがある。

映画の感想に移るが、楽しい部類の物語だった。
第一印象は、まるでタランティーノ映画だった。
どういうことかというと、タランティーノ作品もユーモアの会話劇が特徴的。
やたらと、自分の好きなものや大切にしているものや信条、拘りなどを語りがちである。
しかも物語の本筋とは、関係なく。
だが、思いの外、退屈はしないし、この会話劇がキャラクターを立てる良い役割を担っている。

調べてみたら、伊坂幸太郎自体がタランティーノ映画に影響を受けているとのこと。
アメリカ人が、陽気にユーモラスな会話を繰り出すので、本作はまるでタランティーノ映画を観ているような不思議な感覚に陥った。

例えば、やたらと機関車トーマスの好きなキャラがいる。
なぜ機関車トーマスが好きなのかをやたらと語るのだ。
本筋には関わりのないどうでも題材の会話。
命を奪う仕事をしているキャラが熱心に語るので、何だか面白く観れてしまう。
しかも、地味に伏線として機能したりもするので、見過ごすことは許されない。

伏線回収劇も健在だった。
本作も、キャラクターのどうってことない自然な言動が伏線になっている。
クライマックスの回収されていく展開は観ていて気持ち良かった。

世界観も良かった。
本作は日本が舞台になっている。
外国映画が描く日本は、どこか滑稽でおかしい世界観に仕上がっていることが多い。
本作は、あえて、ヘンテコな日本を描いている印象を見受けられる。
それが良い。
リアルな日本なんて、邦画で描けばいい。
ヘンテコな日本描写は海外映画じゃないと観られない不思議な価値観があると、私は思っている。
架空の国NIPPONといった具合で好みだった。

『マリアビートル』は、日本では映像化もされている『グラスホッパー』の続編に当たる作品。
グラスホッパー』の原作は読んでいたが、個人的にはそこまでハマらなかった。
だが、本作は魅力的で個性溢れるキャラクターがたくさん登場し、複雑に混じり合っていく。
良くできていたので、原作を読んでみたいと思えた。

 


セリフの応酬が個性的で面白い作品はコチラ。

チェンソーマン

movies-ocean.hatenadiary.com

ブレット・トレインの作品情報

■監督:デヴィッド・リーチ
■出演者:ブラッド・ピット
ジョーイ・キング
アーロン・テイラー=ジョンソン
ブライアン・タイリー・ヘンリー
アンドリュー・小路
真田広之
マイケル・シャノン
サンドラ・ブロック
ニート・A・マルティネス・オカシオ
ローガン・ラーマン
ジー・ビーツ
マシ・オカ
福原かれん
Wikipediaブレット・トレイン
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):54%
AUDIENCE SCORE(観客):76%

 

ブレット・トレインを見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:○(有料)
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Netflix:-
※2023年2月現在