映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

Netflix配信アニメ『サイバーパンク: エッジランナーズ』ネタバレなしの感想。人体改造が一般化した不正がはびこる街で貧しい少年が傭兵となる

 

■評価:★★★★☆4

 

「混沌とした近未来」



【映画】サイバーパンク: エッジランナーズのレビュー、批評、評価

 

天元突破グレンラガン』『キルラキル』『宇宙パトロールルル子』『プロメア』の今石洋之監督による2022年配信のNetflix配信アニメ。

 

人体改造が一般化した不正がはびこる街で、才能に恵まれながらもむてっぽうに生きる貧しい少年は、アウトローの傭兵(ようへい)である"エッジランナー"として歩み始める。

 

以前、アメトーークの読書芸人で、お笑い芸人のゾフィーというコンビ名の上田という男が出演していた。
上田の好きなジャンルはSFで、理由は「ぶっ飛んだ設定が多いから」と語っていた。

私もSF映画自体は好きで頻繁に観ていた。
だが、小説は何となく、難しいイメージがあって敬遠していた。

また、私はYOUTUBE岡田斗司夫のチャンネルの動画が好きである。
IQ148を超える頭の良いおっさんの岡田斗司夫が語る、ジブリ・アニメの解説や映画や小説のレビューが好きで、日常的に鑑賞している。
やはり、頭の良い人間のレビューには説得力があり、観ていて楽しい。
そんな岡田斗司夫もSF小説ファンで、おすすめのタイトルを挙げる動画も出している。
SFというのは、一定の人間の心を掴んでいる印象があり、個人的な話だが、最近少しずつ手を伸ばしている。
その流れで、『サイバーパンク: エッジランナーズ』を観ることになった。

サイバーパンク: エッジランナーズ』は、サイバーパンクと呼ばれるSFのジャンルの一つ。
PS4などでプレイできるゲーム『サイバーパンク2077』を原作としたオリジナル・ストーリーのアニメである。
さらに『サイバーパンク2077』は『サイバーパンク2.0.2.0.』という1993年に販売されたテーブルトークRPGを原作としている。

サイバーパンクのジャンルについても簡単に解説したい。
従来のSFに対するカウンターとして登場した若手作家たちや作品を指して呼ぶことが多いとされている。
私のイメージとしては、科学技術の発展系に基づいた世界観で描かれるハードSFに対して、サイバーパンクは荒廃化(または治安が悪い)した世界で、ドラえもんのような、もっとぶっ飛んだ未来ガジェットが登場する印象が強い。
例えば、空飛ぶ車だったり、機械を装着して身体能力を高めたりなど。
日本発の漫画でアニメ映画としても有名な『攻殻機動隊』や、一部の映画ファンから熱狂的に愛される『ブレードランナー』もこのジャンルに相当する。

サイバーパンク: エッジランナーズ』に話を戻すが、ストーリーは『サイバーパンク2077』の前日譚となっている。
つまりサイバーパンク2077 ビギニングといった内容である。

やはり、世界観が素晴らしかった。
巨大企業によって支配され、治安が悪く、命を奪われる事件が日常的に起きる都市ナイト・シティが舞台。
人間たちは、背骨?に装着するインプラントと呼ばれる外部の機械を用いて、運動能力などを高め、暮らしに役立てている。
つまり、格闘技とかわざわざ習う必要がない。
ボクシングのインプラントを装着すれば、その日から強くなれるのだ。

そのため、金持ちは品質の良いインプラントを装着できる。
一方で主人公は貧乏なので、型落ちしたインプラントを仕方なく装備している。

インプラントには副作用がある。
より、高い運動能力を得られるインプラントは、サイバーサイコになる可能性が高くなる。
本作独自の病気で、人格を失ってしまう精神疾患
サイバーサイコになると、人には戻れなくなる。

ナイト・シティの住む人は、みな、特殊なコンタクトを装着している。
コンタクトによって、遠くに離れた人間と自由に通話をしたり、インターネット的なものを用いて、容易に情報を取得できたりする。
イメージとしては未来のスマホである。

また、巨大企業が支配しているせいか、超資本主義といった具合である。
例えば、NCPDという警察組織はいるが、大企業には逆らない。
大企業と警察は、賄賂による癒着がまかり通っている。

サイバーサイコとなった人間は見境なく、人に危害を加える。
そのため、サイバーサイコ専門で討伐するマックス・タックと呼ばれるNCPD内部の組織も存在する。
当然、マックス・タックも巨大企業の支配下にある。

さらにトラウマ・チームという組織の存在も面白かった。
医療部隊の派遣サービスで、日常生活で契約者が大きな傷を受けると、どこからともなく駆けつけ、治療をしてくれる。
まさに金さえあれば命を買える、金持ちだけが平和に過ごせる、貧乏人には厳しい世界。

このように緻密に世界観が作り込まれているので、楽しくて仕方なかった。
この事前設定が、どんな風にストーリー上でどのように絡んでくるのか、ワクワクしながら鑑賞した。

何ならキャラも魅力的である。
個人的に好みだったのは、主人公が所属する裏家業チームのメンバーの一人のレベッカ
背が低く、ルックスも幼い女性。
だが、彼女の両腕には、体とは不釣り合いのでっかい腕を付けている。
とにかく陽キャ男性脳
口は悪いし、煩いしで、こんなやつが現実世界で近くにいたら、うざくて仕方ない。
だが、思いやりのある女性で、つねに、主人公がサイバーサイコにならないかを心配している。
レベッカはチームの良いムードメーカーで、一番好きなキャラだった。

さらに本作は、ストーリーも素晴らしい。
1話が特に良くて、一気に引き込まれる。
主人公と母の関係性が描かれるプロット。
詳細は語らないので、多くの人に直接、鑑賞してもらいたい。
主人公に感情移入できる素晴らしい内容だし、ナイト・シティの残酷さもコンパクトに描かれている。

実は、本作の原作である『サイバーパンク2077』は発売直後、炎上騒ぎがあった。
あまりに多くのスペックを要するソフトで、PS4ではバグが多発。
何なら、PS4が故障に至るような致命的なバグもあったとの噂。
そのため、PSストアからは一時期ダウンロードが中止するだけではなく、購入されたユーザーに返金をするという異例の対処がされた。
そういった悪いイメージもあり、販売本数に影響したそう。

だが、発表された『サイバーパンク: エッジランナーズ』は素晴らしい内容で、多くの視聴者を獲得した。
結果的に『サイバーパンク2077』は発売から1年半以上経ったにも関わらず、受け上げが再び増えたそう。
鑑賞して納得である。
サイバーパンク: エッジランナーズ』を観て、私もゲームをプレイしたい気持ちに駆り立てられた。

SFの中でも癖のあるジャンルで、人を選ぶ作品は間違いない。
だが、世界観やストーリー、キャラクターのすべてが良くできているので、多くの人に鑑賞してもらいたいおすすめアニメ。

 

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■都市と都市

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今際の国のアリス シーズン2

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サイバーパンク: エッジランナーズの作品情報

■監督:今石洋之
■出演者:悠木碧
黒沢ともよ
津田 健次郎
KENN
Wikipediaサイバーパンク2077
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):100%
AUDIENCE SCORE(観客):96%

 

サイバーパンク: エッジランナーズを見れる配信サイト

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Hulu:-
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Netflix○(見放題)
※2023年2月現在