■評価:★★☆☆☆2
「戦争の後遺症」
【映画】エンゼル・ハートのレビュー、批評、評価
『ミッドナイト・エクスプレス』『フェーム』『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル 』のアラン・パーカー監督による1987年公開のミステリー映画。
1955年、ブルックリンに事務所を構える私立探偵ハリー・エンゼルは、ワインサップ弁護士を通じて謎めいた紳士ルイ・サイファーから人探しを依頼される。第二次世界大戦以前に人気があった歌手のジョニー・フェイバリットは、従軍後に戦争神経症を病んで精神病院に入院していた。ワインサップの下へは証明書が送付されておりジョニーの生存は確認されていたが、サイファーを伴って病院を訪れたところ、ジョニーは病院にはいなかった。サイファーは事を荒立てずにジョニーの生死を確認するため、調査を依頼したのだ。
ミステリー系の映画のおすすめを探していて、挙げられていた作品。
古い映画だが、映画ファンからすると有名な作品らしいので鑑賞した。
率直な感想は、あまり面白くなかった。
そもそも物語のフックとなる「謎」があまりに魅力に欠けている。
主人公である探偵の元にやってきた依頼が、「歌手のジョニー・フェイバリットが突然、姿を消したので探して欲しい」といった内容。
ジョニーの捜索が本作のメイン・ストーリーで、所謂、失踪ものである。
失踪ものは名作が多い。
例えば、最近観た失踪もので面白かった映画に『シンプル・フェイバー』がある。
シングル・マザーで、地味な生活を送る女性ステファニーが主人公。
ある日、スタイルが良く、身なりもゴージャスで美しい女性エミリーと、ママ友になる。
あまりに正反対の見た目を持つエミリーは、なぜかカメラを向けると、無茶苦茶怒る。
だが、それ以外は優しいし、会話も合う。
エミリーがある日、子供を残して失踪する、といったシナリオ。
『シンプル・フェイバー』は最高に面白かった。
なぜなら、失踪したエミリーのキャラクターがとにかくミステリアスで魅力的。
気さくで、ステファニーの悩みも親身になって聞いてくれる性格の良さもある。
そんな彼女に対して持つ違和感は「カメラ」である。
今まで主人公に対して優しかったのに、文字通り豹変するのだ。
エミリーが強烈にキャラ立ちしているから『シンプル・フェイバー』は興味深く最後まで楽しく観られた。
だが、本作はぜんぜん先が気にならない。
理由は簡単で、捜索対象のジョニーが全くもって魅力的じゃないから。
正確にはジョニーのキャラ性が全然描かれないので、キャラ立ちしていない。
魅力的じゃない人間を捜索されても興味は湧かない。
観客からすると、誰だか良くわからない人間が失踪されても先が気になる、とはならない。
どんな人物かも分からないし、失踪した理由の方向性もまったく検討がつかない。
あまりにジョニーに興味が持てないので、本作は1、5倍速で鑑賞した。
一応、本作には、最後にどんでん返しが用意されている。
最後まで観て納得。
ジョニーのキャラクターが伝えられないのは、オチに関係するから。
とはいえ、オチまでが面白くないと、オチを見せられたところで、まったくもって楽しめない。
昔の映画ならではの作りの甘さが露見された印象。
もっと上手く脚本を作って貰いたかった。
■ミステリーのおすすめ作品はこちら
屍人荘の殺人
シンプル・フェイバー
エンゼル・ハートの作品情報
■監督:アラン・パーカー
■出演者:ミッキー・ローク
ロバート・デニーロ
■Wikipedia:エンゼル・ハート(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):82%
AUDIENCE SCORE(観客):81%
エンゼル・ハートを見れる配信サイト
U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(Blu-ray)
Netflix:-
※2022年10月現在