■評価:★★★☆☆3
【映画】グリーンランド 地球最後の2日間のレビュー、批評、評価
『オペラ座の怪人』『300 〈スリーハンドレッド〉』のジェラルド・バトラー主演の2021年公開のディザスター映画。
ディザスター映画は、パニック映画または災害映画の意味。
新たに発見された彗星が地球に接近し、破片の一部が隕石となって落下。世界各地の都市を破壊する大惨事が起こる。そして、さらなる巨大隕石の衝突が予測される事態となり、世界崩壊の危機が迫る。そんな中、建築技師のジョン・ギャリティはその能力を見込まれ、家族とともにアメリカ政府のシェルターへ避難するよう連絡を受ける。
本作はディザスター映画であり、所謂、終末もの。
巨大隕石が地球が近づいており、世界が破滅に向かっている中、主人公は大統領アラートから「シェルターに避難できる権利」を獲得するという流れ。
このアイディアは面白かった。
都市伝説的っぽい内容ではあるが、現実世界にも大統領アラート的な存在は、本当にあるんだろうなって思ってる。
やはり多くの人間が死んでしまうことが確定した場合、より優秀な人間を選定して存続させ、早々に文明を再勃興させようとする思考は、種を守る生物としての本能ではある。
実際に、日本でも3・11の東日本大震災時にもそんな噂があった。
大津波が福島を襲ったあと、原発の放射能漏れの発生しているニュースが流れた。
だが、とある大御所芸能人は、ニュースで国民が知る前に、東京から避難していたと耳にしたことがある。
真相は不明だが、生々しい都市伝説ではある。
話を映画に戻すが、本作はあまりにハマれなかった。
理由はあまりにシンプルでで、想像の範疇内の展開のみでクライマックスを迎えたから。
公式HPであらすじとして紹介されているところまで話すと、主人公の子供の持病のため、シェルター入りを拒絶される。
弱い人間は早々に命を落としてしまうから、生き残らせるに値しない、という意味だろう。
その後、主人公一家はどうなるのか? というのが本作のメインのシナリオ。
個人的には「シェルターに避難できる権利」というアイディアが魅力的だったので、この辺りを中心に物語を展開させて欲しかった。
だが、早々に、この権利とは別のところで物語が展開される。
そのため、ありふれた終末物のテンプレートを見ている気分にさせられるのだ。
本作を制作した必然性が皆無に思われる。
また、大統領アラートの証明となる、シェルターに入るためのリストバンドを奪おうとする連中もいるのだが、違和感を覚える。
なぜなら、ニュースでは世界滅亡するとは伝えられていない。
ただ、隕石の落下を報道するだけ。
もしかしたら、重度な被害は一部地域のみで済む可能性がある。
にも関わらず、小さい子供を持つ親から、本気でリストバンドを奪いかかるのだろうか?
私だったら、そうは思わない。
そのため、行動原理が理解できない登場人物が出てきた印象を受けた。
奪ったリストバンドを使っても、シェルターに逃げ込める確率も考慮しないといけないし。
例えばリストバンド以外にも2段階、3段階の認証が必要な可能性だってある。
せっかくだから、「2日後に、世界は滅亡します」といった設定でも良かった気がする。
そっちのほうが『もし自分がこういう状況に置かれたらどうするのか』と思考しやすいので、各々のキャラクターの行動がより興味深く見られる。
結果、自分の思考とは異なる動きを見せるキャラクターが出てきたら、強い関心を覚えただろう。
本作は、隕石が衝突した後に地球がどうなるかの分からない曖昧さがあるので、キャラクターの行動心理が読みづらい。
一カ所だけ、良かったなって思ったところがある。
後半のほう、主人公が顔も良く分からない人間を、命懸けで救おうとするシーン。
詳細は直接、見て確かめて欲しい。
あまり説明されていないちょっとしたシーンだが、単なる善行ではない、主人公なりに考えた上での行動。
伏線の回収の仕方がスマートで、心を掴まれた。
あまりに平凡なディザスターものなので、人にはおすすめ出来ない内容だった。
地球滅亡系、あるいはディザスター要素のある作品はコチラ。
■すずめの戸締まり
■チェンソーマン
グリーンランド 地球最後の2日間の作品情報
■監督:リック・ローマン・ウォー
■出演者:ジェラルド・バトラー
モリーナ・バッカリン
スコット・グレン
アンドリュー・バチェラー
■Wikipedia:グリーンランド 地球最後の2日間(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):78%
AUDIENCE SCORE(観客):63%
グリーンランド 地球最後の2日間を見れる配信サイト
U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・見放題)、○(字幕・見放題)、○(Blu-ray)
Netflix:○(見放題)
※2023年1月現在