映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

映画『この子は邪悪』ネタバレなしの感想。交通事故に遭った一家の元に別人に思える母が帰ってくる

■評価:★★☆☆☆2.5 

 

「家族」



【映画】この子は邪悪のレビュー、批評、評価

 

2022年9月1日公開のスリラー映画。

 

【あらすじ】5年前に一家で交通事故に遭い、心に深い傷を抱える花。ある日、父が植物状態の母が奇跡的に目を覚ましたと、家に連れて帰ってくる。ところが花は、その女性に違和感を覚え、母とは別人ではないかと疑い始める。

 


映画作品の『哀愁しんでれら』『先生、私の隣に座っていただけませんか?』などを排出したTSUTAYA CREATORS' PROGRAM(ツタヤクリエイターズプログラム)の一作。
上記の2作は個人的には好みだった。
そのため、『この子は邪悪』には大きな興味を持って鑑賞した。

ツタヤクリエイターズプログラムは「本当に観たい映画企画」をコンセプトに、企画などを募集する映画界の新人賞的なものである。
企画部門、監督部門、脚本部門と3つの部門に別れている。

今では小説や漫画原作の映画化が多い。
原作ものは、すでに一定数のファンが存在する。
映画化するに当たって一定の収益が見込めるので、リスクが少ないのだろう。

一方で、映画ファンからしたらオリジナル脚本の作品が少ないのはどこか寂しさもある。
そんな中、『哀愁しんでれら』『先生、私の隣に座っていただけませんか?』は、尖った設定や展開を見せてくれる物語で好みだった。
特に『先生、私の隣に座っていただけませんか?』は最後の最後まで意表を突く展開を見せてくれたので、未だに記憶に残っている良作。

『この子は邪悪』も冒頭から不穏な空気感が漂っているのが良い。
主人公の女性の一家は、交通事故により、精神科医の父の足に後遺症に残ったり、妹の顔は火傷を負ったり、母は未だに意識が戻らない状況と、散々な不幸に見舞われている。
そんな中で、急に母が帰ってくる。
だが、主人公は以前までの母と様子が違う、といった疑惑を覚える……といった流れ。

母が戻ってくる前にも、違和感のあるシーンが随所に盛り込まれる。
例えば、マンションの柵を食べようとする謎の男だったり。
あるいは、主人公と仲良くなる男子の母が、明かに精神に異常をきたした雰囲気を纏っていたり。
至る所に伏線がちりばめられていて、先に展開に強く興味がそそられる。

というか、帰ってきた母も雰囲気が良い。
美人ではあるんだけど、どこか闇深く幸映そうな雰囲気が漂う女性。
個人的に、こういう曰く付きっぽい女性は好みなので、魅力的なルックスで良かった。

肝心のネタ明かしに関しては、正直、微妙だった。
当然、ネタバレになるので詳細はふせる。
だが、いくらなんでも展開がムチャクチャすぎる。
あまりにやりすぎているので、警察という行政組織が正常に機能していないことに違和感を覚える。
更に、●●はそんなに万能ではないよね、といった話。
もしここまで万能であれば、犯罪に活用されるから、法整備が施されているはず。

あまりにぶっ飛んだ展開なので、最後は品質の低いB級映画を観させられている印象となった。
せっかくなら、ファンタジー設定にしたほうが良いのではないか、と思う。
この展開を現実劇で見せるのは少し難がある。
あるいは動機付けをバッキバキに行って、生々しく展開させていくほうがセオリー通りだと思う。

序盤の雰囲気作りが良かっただけに残念だった。
とはいえ、斬新な脚本で映画業界をぶっ壊す!といった気概は感じられたので良かった。
今後も、ツタヤクリエイターズプログラムには既存作品とは被らない新しい物語を見せて欲しい。

 


ミステリアスな雰囲気に引き込まれる作品のおすすめはコチラ。

■アンテベラム

movies-ocean.hatenadiary.com

 

この子は邪悪の作品情報

■監督:片岡翔
■出演者:南沙良
大西流星
桜井ユキ
渡辺さくら
桜木梨奈桜
稲川実代子
二ノ宮隆太郎
玉木宏

 

この子は邪悪を見れる配信サイト

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Netflix:-
※2023年5月現在