映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

画『メランコリア』ネタバレなしの感想。鬱を苦しむ女性が住む地球に惑星が迫ってくる

■評価:★★☆☆☆2

 

ラース・フォン・トリアー監督版セカイ系



【映画】メランコリアのレビュー、批評、評価

 

奇跡の海』『ダンサー・イン・ザ・ダーク』『ドッグヴィル』『マンダレイ』『アンチクライスト』『メランコリア』『ニンフォマニアック』『ハウス・ジャック・ビルト』のラース・フォン・トリアー監督による2012年公開のドラマ映画。

 

コピーライターであるジャスティンは、心の病を抱えていた。その鬱症状が引かないうちに僚友マイケルとの披露宴を迎えた彼女は、母であるギャビーとともに奇矯な行動に出、祝宴の雰囲気をぶち壊したのみならず、上司のジャックや他ならぬ新郎マイケルとの関係決裂を招いてしまう。そんなジャスティンをなじる姉クレアだったが、夫のジョンや息子とともに、仕方なく彼女との生活を続ける。だが、ジャスティンの病状が穏やかになるにつれ、奇妙な周回軌道をとる惑星が地球に接近する。彼女は周りの狼狽を意に介さず、惑星の到来を朗らかに出迎えるのだった。

 

ラース・フォン・トリアー監督といったら、カルト映画を制作する人物で有名。
カルト映画とは、一般的な観客の嗜好とはズレたマニアックな層に向けた作品群を指す。

個人的に、私はそこまで彼の作品には刺さっていない。
彼の作品の特徴といえば、一般的に好まれるような「爽快感」「感動」「笑い」ではなく、「不快」という感情を観客から引き出すことをエンタメとしている点が挙げられる。
ユニークな視点ではあるので、良いとは思う。
だが、私はどちらかというと、一般的な嗜好を持つタイプなので『君の名は。』や『ターミネーター2』『少林サッカー』など、物語が進むにつれてテンションが上がっていき、気持ち良いエンディングを迎える作品が好み。
そのため、不快感を与えられることは、楽しいとは思えない。

例えば、ラース・フォン・トリアー監督の代表作である『ダンサー・イン・ザ・ダーク』は、彼の作家性を象徴したシナリオ。
主人公は視覚障害者の女性で、子供も持つシングルマザー。
年内には完全に失明すると警告されながらも、子供も遺伝によって視覚障害を持っている。
だが、手術をすれば子供の視力だけは守れるため、主人公は朝から晩まで汗水垂らして働く、というストーリー。
よくもまあこんな酷い設定を思いついたし、映像化するに至ったものである。
鑑賞後も強烈に印象に残る内容で、本作だけは私もちょっと好きである。
不快感は嫌だけど、印象に残らない映画のほうが悪い映画だと思う。

私は映画ファンではあるので、ラース・フォン・トリアー監督の作品は、義務のようにチェックするようにしている。
メランコリア』も、あんまり鑑賞する意欲はなかったが、思い切って鑑賞してみた。

想像通り、あまり面白さは感じられなかった。
主人公があまりに暗すぎる。
主人公の女性ジャスティン は鬱症状を抱えながらも、結婚披露宴が開かれる。
結婚式および披露宴といえば、幸せをシェアする場所。

私は人の幸せなんてどうでも良いと思っている。(自分が第一)
だが、友達の少ない私にも一度だけ、中学時代の親友の結婚式に参加したことがある。
行く前は、場所が若干遠かったので、面倒だったし、祝儀の3万円は安くはないので、あまり乗り気ではなかった。
昔から世話になっている人物だったので仕方なく行った。
だが、思いの外素晴らしかった。

あの空間は幸せ以外の何物でも無い。
あの場にいるみんなが笑顔だった。
式が終わってからも、幸せからくる高揚感で凄く良い気持ちだった。
元気だったり、幸せを与えてくれる場は最高である。

だが、本作は、せっかくの結婚披露宴なのに主人公の精神はどん底
主人公の母が糞みたいなスピーチをしやがるので、幸せなはずである空間を台無しにする。
そんな最悪な主人公が住む星、地球に、惑星”メランコリア”が徐々に迫ってきている。

本作は、まさかのセカイ系映画。
ラース・フォン・トリアー監督はいわゆるアート系作家なので、エンタメの象徴のようなセカイ系のジャンルを描くというのは何だか馬鹿げていて面白い。
とはいえ、最後までみてもやっぱりラース・フォン・トリアー作品。
上映時間135分という長尺で、たっぷりと不快感を与えてくれた。
あまり、私のツボではなかった。

 


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■すずめの戸締まり

movies-ocean.hatenadiary.com

 

メランコリアの作品情報

■監督:ラース・フォン・トリアー
■出演者:キルスティン・ダンスト
シャルロット・ゲンズブール
キーファー・サザーランド
Wikipediaメランコリア
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):79%
AUDIENCE SCORE(観客):67%

 

メランコリアを見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(Blu-ray)
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※2022年12月現在