映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

映画『テルマ&ルイーズ』ネタバレなしの感想。二人の女性が旅行先で襲ってきた男の命を奪ってしまう

■評価:★★★★☆4

 

「男に抑圧された女たちの独立」



【映画】テルマ&ルイーズのレビュー、批評、評価

 

『エイリアン』『ブレードランナー』『ブラック・レイン』『グラディエーター』『ハンニバル』『ブラックホーク・ダウン』『オデッセイ』『ハウス・オブ・グッチ』のリドリー・スコット監督の出世作で、1991年公開のドラマ映画。

 

平凡な主婦テルマが、友人のウェイトレス、ルイーズと共にドライブに出かけた。途中のドライブインで、テルマが見知らぬ男に襲われそうになった時、ルイーズは男に発砲し、命を奪ってしまう。二人の女性は日常から転落していく。


本作はリドリー・スコットの代表作に挙げられる一本。
ブログやニュース記事など、あらゆる媒体でロード・ムービーのおすすめにも食い込んでくる有名作。
鑑賞しようとは思っていたのだが、1991年公開という古い作品なので、なかなか食指が伸びなかった。

最近、小説指南書である『「書き出し」で釣りあげろ』を読んでいた。
この本のテーマは、冒頭の書き方を指南である。

冒頭に特化した指南書も珍しいが、読み進めていると、しつこいくらいに『テルマ&ルイーズ』が引用されるのだ。
あまりに何度も言及されるので、ようやく興味が湧いて鑑賞に至った。

本当に鑑賞して良かったと思った。
恐らくこの映画、鑑賞する時期がもっと若かったら、大きな影響を及ぼしていたであろう強いメッセージ性のある映画だった。

『「書き出し」で釣りあげろ』で特に語られていたのが、『テルマ&ルイーズ』はメロドラマではなく、中身のあるドラマで、冒頭が上手に作られているとのこと。
理由としては、冒頭に、主婦であるテルマは、親友であるルイーズと立てていた旅行の計画の了承を得るため、旦那に恐る恐る「話がある」と話しかける。
だが、テルマの話は何のその、といった感じで、旦那は家事などのことで口うるさく罵倒する。
結果的にテルマは話を諦め、旦那には内緒でルイーズと旅行に行くのだ。

本作は、男に抑圧された女たちの独立がテーマのドラマ。
このテルマの解消しなければならない革新的な葛藤を、冒頭の会話劇で見事に描いていることの素晴らしさを『「書き出し」で釣りあげろ』では例として語られている。
高圧的な旦那に対して不憫に思い、一発でテルマに感情移入する素晴らしい見せ方だった。

さらにルイーズは旅行先で、テルマに襲い掛かる男の命を銃で奪ってしまう。
逃げようと提言するルイーズに、普通の倫理感のある人間なら、強く「自首をしよう」と説得するはずだ。
だが、テルマはすんなりと、ルイーズの提案に乗る。
なぜなら、逃げることが男から独立することに繋がる。

本作はテーマの描き方が素晴らしい。
さらにキャラクターが魅力的だった。
テルマやルイーズはもちろん、印象的だったのは二人を追い掛ける男の刑事。
刑事だけは、テルマやルイーズには「きっと、何か勘違いがあった」と、追い掛けつつも、彼女らを理解しようとし守ろうとする。

本作に出てくる男たちは、テルマやルイーズから何もかもを奪おうと近づいてくる。
だが、この刑事だけは、どんなに二人が悪いことをしても、信じようとする気持ちを貫く天使のような存在。
素敵なキャラクターだなあと、鑑賞してしばらく経ってからも記憶に残ってる。

詳細は伏せるが、ラストも最高だった。
ここまで首尾一貫して素晴らしい映画は珍しい。

 

■女性の物語のおすすめはこちら

暗黒女子

movies-ocean.hatenadiary.com

 

テルマ&ルイーズの作品情報

■監督:リドリー・スコット
■出演者:    スーザン・サランドン
ジーナ・デイヴィス
ハーヴェイ・カイテル
マイケル・マドセン
ブラッド・ピット
Wikipediaテルマ&ルイーズ
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):86%
AUDIENCE SCORE(観客):82%


テルマ&ルイーズを見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
Netflix:-
※2022年11月現在