映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

配信ドラマ『寄生獣 ーザ・グレイー』ネタバレなしの感想。人間に寄生する生き物に脅威に晒された人類を描く

■評価:★★★★☆4

 

「信頼出来る仲間の存在が人生を豊かにする」

【配信ドラマ】寄生獣ーザ・グレイーのレビュー、批評、評価

 

『新感染』シリーズのヨン・サンホ監督による2024年4月5日より配信開始のNetflixオリジナル韓国ドラマ。
原作は岩明均による日本の漫画『寄生獣』。

 

【あらすじ】人間を宿主として寄生し、その肉体を支配する正体不明の生物が突如出現。大きな脅威に直面した人類は、寄生生物の台頭を阻止すべく立ち上がる。(Netflix引用)

 

原作漫画はコアな漫画ファンから強い支持を受けている。
環境問題であったり、哲学的なテーマを巧みに描いている原作者の手腕が評価されているとのこと。
私もかなり昔に読んでいるのだが、当時は会話が出来る生き物寄生された人間というユニークな設定を楽しんだに留まり、その深いメッセージはあまり響かなかった。
たぶん私の精神性がまだ子供だったのだろう。

小説のような物語作りをしていると、日常的にユニークなテーマを模索するもの。
そのため、いずれは漫画版『寄生獣』を再読したいと考えていたとき、本作が配信されたので鑑賞に至った。


全世界中に謎の寄生生物が宇宙から飛来し、寄生された者は人間を食ってしまう事件が発生する。
物語の舞台は韓国。
寄生されながらも、自我を保ち続ける変種となった主人公の女の子のスインの葛藤が描かれる。

原作は日本が舞台であり、本作は同じ世界観上での韓国を舞台にしたオリジナルストーリーとなっている。

結論から書くが想像以上に楽しめた。
そもそものストーリーが面白い。
スイン側、寄生生物を駆逐する政府直下の専属部隊グレイチーム、寄生生物側の、主に三つの陣営で物語は展開される。
スインも寄生されているので、グレイチームのボスの女性、チェは命を奪いたがってる。
しかし、スインは他の寄生生物とは異なり、人としての自我がある変種。
寄生しているハイジ(スインの仲間のソルに付けられたあだ名)も、スインの思想に基づいた行動には協力的。
寄生生物側はスイン及び、グレイチームと対立している。
三竦みではないが、この3つの対立軸が、ストーリーの進展につれて思わぬ変化を見せる。
個人的、あるいは組織としての事情が複雑に絡み合って、話数を重ねるごとに思わぬ展開を見せてくれる。
ストーリーを巧妙に組み上げた監督及び脚本を手掛けたヨン・サンホは素晴らしいと、思った。

またキャラクターも魅力的で良い。
スインは父からDVを受け、更には母にも捨てられた過去が心に根深い傷となって、事あるごとに苦しむ。
そんなときにハイジに寄生され、人生が一変する。
ハイジがスインにとっての良き理解者となる。
スインが孤独に心を砕かれながらも、這い上がる様をついつい応援した。

また、グレイチームのボスのチェも魅力的。
あまり深く描れないのだが、チェの夫は寄生生物に命を奪われている、
恐らく復讐心から寄生生物への憎しみを強め、全力で駆逐しようと目論む。
チェはスインからしたら敵になるのだが、チェの苦しみも理解出来るので、視聴者からしたら、チェを純粋な悪としては観れない。
このレイヤー構造の人間性が物語に深みを与えている。

後、チェのルックスもかっこよい。
礼服のような黒スーツに白シャツ姿で、ショットガンをバンバンぶっ放すのがやけにスタイリッシュ。
細身の女性とショットガンの組み合わせは絵的に鮮度があった。
恐らく、チェンソーマンの影響を受けているようにも見えたんだがどうだろうか。

寄生生物アクションは斬新で面白いし、見どころの多い良作ドラマ。

 

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寄生獣ーザ・グレイーの作品情報

■監督:ヨン・サンホ
■出演者:チョン・ソニ
ク・ギョファン
イ・ジョンヒョン
Wikipedia寄生獣ーザ・グレイー
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):100%
AUDIENCE SCORE(観客):79%

 

寄生獣ーザ・グレイーを見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:-
Netflix○(見放題)
※2024年4月現在