映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

ドキュメンタリー『邪悪な天才: ピザ配達人爆死事件の真相』ネタバレなしの感想。映画顔負けの実話

■評価:★★★★☆4

 

「配達業の人必見」

【ドキュメンタリー】邪悪な天才: ピザ配達人爆死事件の真相のネタバレなしの感想、レビュー、批評、評価

 

2018年5月11日に配信されたNetflixドキュメンタリー。

 

【あらすじ】2003年8月、アメリカのペンシルヴェニア州にあるとある銀行が強盗の男に襲われる。「GUESS(推理しろ)」と書かれたTシャツを着た男・ブライアンは通報を受けた警察に取り押さえられる。男には首輪が付けられており、「これは時限爆弾だ!」と言う。男はピザ屋の配達人で、注文を受けて向かった先の電波塔の小屋にいた人物に首輪をはめられ、強盗をしてくるように命じられたとのこと。さらに男は、1時間以内に渡された9枚のメモの指示通りに動いたら爆弾を外せるカギが手に入ると言う。果たして彼は助かるのか。そして彼に首輪型の爆弾を仕掛けた犯人は誰なのか?


『にけつ』という千原ジュニアケンドーコバヤシトーク番組で言及されていたために鑑賞した。

結論から言うと、めちゃくちゃ面白い。
こんなに先が気になるドキュメンタリーを見たのは久し振りだった。
創作された物語とは違い、ドキュメンタリーというノンフィクションの重みに思わず敬遠してしまう人は多いだろう。
被害者がいる以上、こういう表現は適切ではないのだが、本作は事件自体のエンターテイメント性が非常に高いので、多くの人に勧めたくなる。

また、犯行当時の様子をTVクルーがしっかりとビデオカメラに収めており、取り押さえられたピザ屋の配達人であるブライアンと警察の生々しいやり取りも見ることもできる。

興味深く鑑賞できた理由の1つとして、序盤から「謎解き」要素に満ちている。
思わず見ているこっちは、「誰が犯人なのか」「一体どんな動機でこんな事件を起こしたのか?」といった疑問で頭が満たされる。
観進めていくうちに怪しい人物が次々と現れ、観客はこんな仮説を立て出すだろう。
「こいつが犯人なんじゃないか」「こういう動機で犯行に至ったのではないか」
その仮説が正しいのかどうが、早く知りたくなってしまい、気が付いたら次のチャプターを再生している。
1話が1時間弱で、全4話で構成されているので、1日ですべて見れるボリュームなのもいい。

1話と2話の頭だけ説明したい。
爆破され、絶命した配達員のブライアンから首輪を取り、使われているものの素材などから辿ろうとする。
だが、まったくわからない。
首輪はその辺に転がっている廃材から作られているようだ。
爆弾自体もあまりに精巧につくられているため、犯人は頭が良く、爆薬への造形も深いといった推測が警察によって立てられる。
ブライアンが持っていたメモに書かれた文字も小さく、隅から隅までびっちりと書かれていることから、犯人は自分の頭の良さを誇示するような印象も受けられる。

さらに警察は、「本当に1時間以内に指示通りの場所に向かってカギを手に入れることが可能なのか?」といった現場検証を始める。
指示された森の中に進むと、1台の青いバンと遭遇する。
この車は向かいにいるのが警察だと分かったのか、すぐに引き返してしまい、警察は逃がしてしまう。

2話では現場に近い場所で、新しい事件が勃発する。
ウィリアム・ロススタインという男が、マージョリー・ディール・アームストロングという知人女性が自宅に遺体を持ち込んだ、と通報してきた。
果たしてピザ配達人爆死事件とどういった関連性を持っているのか。

多くの関係者が出てくるのだが、容疑者のキャラ立ちも凄い。
警察がすっかり信用しているウィリアム・ロススタインという男。
彼は、マージョリーが遺体を持ち込んだ際の現場検証に立ち会い、丁寧に説明する。
確かに振る舞いは紳士然としているのだが、こいつの部屋がゴミ屋敷なのだ。
明らかに精神的に問題を抱えているレベルの荒れ具合。
そして遺体を持ち込んだらしい強烈な容貌を持つマージョリーとも親交が深い。
本当にこいつはいい奴なのか?
そして、そんなマージョリーが命を奪ったとされる男はいったい何者で、なぜ始末されなければならなかったのか。
観れば見るほど、次々と新しい謎が生まれる。
最後にはだいたいの疑問は解消されるので、そこは安心していい。

多くの容疑者たちは自分を守るために、ウソをつきまくる。
空気を吸う感覚でウソをつくので、もはや何が真実なのかわからない。
私が気になったのは、こういう人間を見ると、親が気になってしまう。
人を騙す行為に罪悪感を持たない子を産んだ親は、一体どんな人間なのか。
子と同じか、それ以上に親も狂っている。
★が1つ足りない理由を挙げるとしたら、この点だ。
なぜ、このような犯罪を犯す人間が生まれたのか、といった視点で深掘ってくれたら、個人的には大満足だった。
あくまで「ピザ配達人爆死事件の真相」が主題なので、テーマからは外れるから深掘りされなかったのかもしれない。

Netflixに入っている人は観て欲しい。


実際に起きた不気味な事件を題材にした映画はコチラ。

■罪の声(未解決事件を題材としているため、結末は創作)

movies-ocean.hatenadiary.com

 

邪悪な天才: ピザ配達人爆死事件の真相の作品情報

Wikipediaピザ配達人爆死事件(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):80%
AUDIENCE SCORE(観客):82%

 

邪悪な天才: ピザ配達人爆死事件の真相を見れる配信サイト

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※2023年7月現在