映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』ネタバレなしの感想。いくつもの世界が並行して存在するマルチバースに女性が巻き込まれる

■評価:★★☆☆☆2

 

マルチバースものの可能性」

【映画】エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのレビュー、批評、評価

 

スイス・アーミー・マン』のダニエルズ(ダニエル・クワンダニエル・シャイナートのコンビ)による2023年3月3日公開のコメディSF映画

 

【あらすじ】ある時突然、いくつもの世界が並行して存在するマルチバースに飲み込まれてしまった1人の女性。やがて、それぞれの世界に存在する別の自分の記憶や特殊能力を手に入れた彼女は、すべての世界に迫る重大な危機に立ち向かう。

 

本作は、第95回(2023年)アカデミー賞で作品賞を受賞している。
世界で最も有名な映画賞の作品賞なので、言ってしまえば、本作はその年の顔となる映画である。

本作は劇場公開時、YouTubeやX(旧Twitter)などのSNS上で賛否両論あった印象が強い。
鑑賞前だったのでレビューの詳細までは拝見していないが、斬新な内容で受け入れ難い人が多くいた模様。

個人的には、新しさを感じられる作品は好み。
ようやく配信開始となったので大いなる期待を込めて鑑賞に至った。

あらすじは、主人公である中国系移民のアメリカ人女性が、自らの家庭の問題に辟易していた。
父親は車椅子で介護が必要な状態。
元気盛の高校生の娘は同姓愛者。昔の人間である父にそのことを伝えられず、悩みの種となっている。
また旦那との仲もどこかギクシャクしている。
更には自身が経営するコインランドリーもそこまで儲かっている様子はない。
そんな悩みに押しつぶされそうな一般的な中年女性が、マルチバース(並行世界)に飲まれ、悪と戦うという流れ。

マルチバースは、並行して存在する世界を意味するパラレルワールドのイメージを持ったら分かりやすい。

本作は内容がイカれ過ぎていて笑える。
今までの映画のマルチバース物といえば、スパイダーマンとか、所謂スーパーヒーローが主人公となり、世界を救う流れがほとんど。
本作はどこにでもいるような平凡で、生活に疲れた女性が世界を救うために奮闘する。
発想が斬新過ぎて最高。

だが、本作を楽しむのは少し難しい。

まず、本作におけるマルチバースのルールが良く分からない。
どんな条件を満たせば別の世界線の自分に移動できるのか。
また、移動した別の世界線の自分の能力を手にすることができるらしい。
例えば、アクション俳優としての活躍する世界線もある。
その世界線に行くことで強さを得られる。
果たして他世界から手にした能力は無限なのか、あるいは時限制で、一定の条件を満たすと元の自分に戻るのか。
この辺りのルールの把握が難しく、鑑賞していて置いてきぼりを食らった印象。

また、存在する世界線がむちゃくちゃ過ぎて付いていけないパターンもあった。
例えば、何故か手がソーセージになってしまった人間が生息する世界もある。
意味が分からないし、何の脈絡もないので受け入れ難い。

これらについて劇中で説明があったのかもしれない。
だが、私の知能が低いからだろうが、鑑賞しながら、その説明は頭に入って来なかった。

そのため、主人公らが必死に悪と戦おうと奮闘する姿にはまるで感情移入できなかった。
何かみんな頑張ってるなー、といった感じで冷めた目で見ていた。

鑑賞して思ったが、本作はアカデミー賞に相応しいだろうか。
アカデミー賞は時代が反映され、程良い娯楽性がある作品が選ばれるイメージがある。
(昨今のアカデミー賞は100%シリアスな作品が選ばれることは少ない印象)

本作はコメディ要素が強く、娯楽性が強すぎるイメージ。
確かにマルチバースは、ITが発達している今の時代に作られる必然性があって評価の対象となったのかもしれない。
だが、映画界では権威ある賞なので、ノミネート程度がしっくり来る。

あんまり楽しめなかったし、人にも勧めづらいクセの強い作品だった。

 

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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス作品情報

■監督:ダニエルズ
■出演者:ミシェル・ヨー
キー・ホイ・クァン
ステファニー・スー
ジェニー・スレイト
ハリー・シャム・ジュニア
ジェームズ・ホン
ジェイミー・リー・カーティス
Wikipediaエブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):94%
AUDIENCE SCORE(観客):86%

 

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスを見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:○(有料)
Amazonプライムビデオ:○(有料)○(Blu-ray)
Netflix○(見放題)
※2023年10月現在