映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

映画『TAR/ター』ネタバレなしの感想。天才的な女性指揮者の葛藤を描く

■評価:★★☆☆☆2

 

「天才の没落と再生」

【映画】TAR/ターのレビュー、批評、評価

 

イン・ザ・ベッドルーム』『リトル・チルドレン』のトッド・フィールド監督による2023年5月12日公開のアメリカ制作のドラマ映画。

 

【あらすじ】『TAR/ター』は、2022年のアメリカ合衆国のドラマ映画。監督と脚本をトッド・フィールドが務め、ケイト・ブランシェットが主人公のリディア・ターを演じた。 

 


アカデミー賞で多くノミネートされており、尚且つ、アメリカ批評サイトのロッテン・トマトでは批評家支持率は91%を、好成績を叩き出している。
ロッテン・トマトはシビアな評論をされる傾向にあり、興行成績を稼いでいても、平気で50%程度の作品も多くある。
そのため、本作は傑作の匂いを感じさせる。

にも関わらず、映画界隈のSNSでは賛否が分かれていた。
レビュー自体の詳細は見ていないが、映画界隈では良くも悪くも話題になっていた作品なので、興味半分、心配半分で鑑賞に至った。

不安は序盤から的中する。
冒頭は、オーケストラの演奏会が開催されそうな大きなホールで、本作の主人公である、ケイト・ブランシェット扮する指揮者のターが、インタビュアーからの質問に答えている。
ターが音楽や指揮に対する熱意や深い知識をひけらかしているのだが、長い。
観客には良く分からない話を十五分くらい見せられる。
やっと終わったかと思うと、次は音楽学校でターが、生徒に講義をする。
このシーンも意味不明に長い。
恐らく20分は流れたかと思う。

どうやら有名な音楽学校らしいのだが、話している内容がどことなく生産性に欠ける。
音楽について語っているのだが、どうも生徒にとってプラスになるとは思えない無駄話で、「本当に有名校なのか」と訝しみながら見ていた。

こんな感じで本作は説明が一切なく、ストーリーに必要なのかが不明な退屈なシーンで登場人物や状況が描写されていく。
説明がないのは良い。
説明臭いと、「君たち(観客)は分かりやすく説明しないと理解出来ないでしょ?」と監督に子供扱いされているようで鼻につくので。

だが、本作は面白くないのが辛い。
本作は全体の9割が何の見所もない凡庸なシーンで構成されていて、鑑賞するのが苦行に思えた。
また上映時間が3時間近いのも憎たらしい。

終盤に差し掛かる辺りでちょっとした事件が発生し面白くなりそうな予感がする。
ラストの終わり方も興味深くはあるが、全体を通してみるとエンタメ性は皆無。
好む人を選ぶ、所謂アート映画の部類に入る。

ケイト・ブランシェットは相変わらず良かった。
まずルックスが美しい。
キラキラ感のあるオーラも目に見えるように感じるし、演技力も抜群。年を重ねた妖艶な色気もだだ漏れ。
正直、ケイト・ブランシェットだからこそ、最後まで鑑賞に耐えられたといっても過言ではない。

ただ指揮のシーンは迫力に欠ける。
本当に凄いリアルな指揮者って、倍速再生されているかと思うほどに動きがキレッキレで圧倒される。
さすがのケイト・ブランシェットはそこまで再現できていなかったので天才指揮者としての説得力には欠ける。

人には勧められないし、まるで好みではない作品。
ケイト・ブランシェットのご尊顔をたくさん観られたので、そこだけはありがたい。

 

 

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■クイーンズ・ギャンビット

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Winny

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TAR/ターの作品情報

■監督:トッド・フィールド
■出演者:ケイト・ブランシェット
ノエミ・メルラン
ニーナ・ホス
WikipediaTAR/ター
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):91%
AUDIENCE SCORE(観客):74%

 

TAR/ターを見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:○(有料)
Amazonプライムビデオ:○(吹替・見放題)○(字幕・見放題)○(Blu-ray)
Netflix:-
※2024年3月現在