■評価:★★★☆☆3
「精神世界の冒険」
【映画】ザ・セルのレビュー、批評、評価
『アウト・オブ・サイト』のジェニファー・ロペス主演の2001年3月24日公開のサイコ・サスペンス映画。
【あらすじ】シカゴ郊外にあるキャンベル研究所。若き心理学者キャサリンは、人間の潜在意識や夢の中に入り込む技術を研究していた。そんな彼女のもとに、ある快楽殺人犯の心中を覗いてほしいという依頼が舞い込む。その人物は、ガラス張りの独房に女性を閉じ込め溺死する姿を見て性的快楽を得ていた。
SF映画を探していて、本作がどこかのサイトでおすすめに挙げられていたため、鑑賞するに至った。
本作はタイトルだけは目にしたことがあったので、一部では評価されているのだと思われる。
ストーリーは、若い女性を誘拐し、水没させて命を奪った後に漂白処理で全身を真っ白にしたあとに捨てるというサイコな連続事件が勃発する。
まるで被害者は人間ではなく、犯人自身のお人形さんのように扱っている。
常人の精神とは強烈に剥離するむごたらしい所業である。
本作の本国アメリカでの公開時期は2000年となる。
鑑賞してすぐに抱いた印象は、1995年にアメリカで公開された『セブン』の影響である。
『セブン』はキリスト教の7つ大罪に絡めた連続事件を描くサスペンスミステリー。
『ファイト・クラブ』『ゴーン・ガール』『ドラゴン・タトゥーの女』『ソーシャルネットワーク』など、多くの傑作を世に送り続ける鬼才デヴィット・フィンチャー監督作品。
エッジの効いたコントラストの強い映像に予想の斜め上を行く結末。
アメリカのみならず、日本でも大ヒットし、特に2000年前後は日本でも『セブン』の影響下にある作品が量産されたもの。
2010年にテレビドラマで爆発的な人気をほこった『SPEC』の前作となる『ケイゾク』は、『セブン』影響下でヒットした作品の1つ。
※そもそもSPECの主人公の一人のセブミは、セブンをもじった名前。
とはいえ、『セブン』のサイコ部分だけをパクった三流のサイコサスペンスも多い。
本作はいかがなものかな、と思って視聴したが、そこそこ興味深く鑑賞出来た。
まず『セブン』との大きな差別化ポイントの1つが、本作は対象者の精神にダイブして、深層心理を知ることの出来る近未来の物語。
冒頭でサイコな犯人が逮捕される。
まだ救出出来できない被害者の居場所を知るため、主人公のセクシーな女性が犯人の異常精神の中へダイブする。
この犯人の精神世界のイカれっぷりが素晴らしかった。
個人的には夢に入り込む展開は好きではない。
夢の中は非現実世界なので、痛みを、現実と共有しない。
そのため、緊迫感に欠けるのだ。
だが、本作はその杞憂をぶっ飛ばすほどに犯人のぶっ飛んだ精神を描射ている。
犯人が誘拐したであろう、女性たちは謎の装飾が施されていたり、自身を虐待していた父親を気持ち悪い姿で登場する。
何より馬が出てくるシーンは何だか強烈だった。
あんまりストーリーとは関係ないシーンだけどインパクトがすごすぎて忘れることが難しそう。
このイカれた精神に、美しい女性が触れ、侵食されていく展開が何とも蠱惑的で絵になる。
主演のジェニファー・ロペスがとにかく美しすぎる。
やっぱりサイコサスペンスと色気のある女性の相性は映像的に抜群の相性。
もし主人公が加齢臭ムンムンで脂ぎっとぎととオッサンだったら、私が鑑賞する機会は訪れなかっただろう。
全体的な感想としてそこそこ楽しめる内容だった。
部分的には良いところもあるのだが、ストーリー自体は『セブン』に遠く及ばず、平凡な内容だった。
『セブン』の魅力的はやっぱり視聴者を大地に叩きつけるようなラストにある。
本作は、そんな感じではないので若干の物足りなさはある。
とはいえ、見どころはあるのでサイコサスペンス好きは観て損はないと思う。
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■RUN/ラン
■テリファー
ザ・セルの作品情報
■監督:ターセム・シン
■出演者:ジェニファー・ロペス
ヴィンス・ヴォーン
ヴィンセント・ドノフリオ
■Wikipedia:ザ・セル(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):45%
AUDIENCE SCORE(観客):57%
ザ・セルを見れる配信サイト
U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)、○(Blu-ray)
Netflix:-
※2023年8月現在