映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

映画『マイ・ブロークン・マリコ』ネタバレなしの感想。自ら命を絶った親友の遺骨を盗んで旅に出るOLを描く

■評価:★★★☆☆3.5 

 

「生と死のキアロスクーロ(明暗対比)」



【映画】マイ・ブロークン・マリコのレビュー、批評、評価

 

百万円と苦虫女』『ロマンスドール』のタナダユキ監督による2022年9月30日公開のコメディ・ドラマ映画。

 

【あらすじ】親友のマリコが自殺したと知り、大きなショックを受けたトモヨ。父親に虐待されていた親友をせめて遺骨だけは救い出したいと願った彼女は、遺骨を奪って逃走し、マリコが行きたがっていた岬へと旅に出る。

 

タナダユキ監督の『百万円と苦虫女』は、最高のロードムービーだった。
色々あって前科がついて、地元にいられなくなったため、貯めた百万円を片手に地方を転々とする若い女性の物語。

特に印象的な要素はキャラクターの魅力。
雨に打たれる捨て猫を見たら、思わず拾ってしまういかにも善良な主人公が不幸な出来事に見舞われ、前科がつく。
あまりに可哀想すぎるので、一気に感情移入する。
他にも主人公の弟とか、旅先で出会う連中とか、出てくるキャラクターのすべてに一癖がある。
私は一度鑑賞した映画を再視聴することは少ない。
なぜなら、せっかく時間を使うならまだ観ていない映画や小説に費やしたいため。
だが、『百万円と苦虫女』は、ついつい彼らに会いたくなって再視聴したくなる稀有な映画の1つ。
本作に出てくる連中がいかに魅力的なのかが、鑑賞する度に実感させられる。

で、話を『マイ・ブロークン・マリコ』に戻すが、やっぱり出てくるキャラクターが素晴らしかった。
まず主人公が良い。
元ヤンキーのようで口が悪いんだが、ブラック企業で上司にコキ使われている。
あまりに分かりやすいブラックっぷりに不憫で仕方なくなる。
今回も主人公に対して一瞬で感情移入し、応援したくなった。

また冒頭で命を落としてしまう親友もヤバすぎて魅力的。
親友は父親や彼氏からDVを受けがち。
もちろん暴力を振るう方が一番の悪。
でも親友が暴力を振られるのは何となく理解できてしまう。
なぜなら主体性がなく、依存心が強くて相手に色々と要求するタイプだから。
親友のヤバい感じがうまく描けているので流石だなあと感心させられる。

若干引っかかったのが、親友が亡くなり、DV親父から骨壷を盗み取るシーンがある。
確かに親友だけど、骨壷を盗むまでするのかなぁと、若干引っかかってしまった。
自分の子供ならまだしも、亡き親友のため、窃盗犯になるリスクを背負うのは普通の感覚なのだろうか。
一応、主人公はヤンキーキャラなので義理人情に厚いのかもしれないが。
でも私には理解できない行為ではあった。

あとストーリーは普通だったかなと思う。

確かに『百万円と苦虫女』もストーリーが凄いわけではない。
最後にちょっとしたどんでん返しみたいなのはある。
でも全体的には展開の面白さは普通だった。
本作同様で、展開自体は予想を超えていない。

主人公の変化も描かれていなかったのも、気になる。
主人公は骨壷を盗んで旅をする。
旅をしたことで主人公にどんな心境の変化や成長が訪れたのだろうか。
何か描いている風ではあった。
でも分かりやすく成長した描写はなかったので、旅をしたことで何かしら得て欲しかった。

気になる箇所は多いけど、キャラクターは好きなので、本作もやっぱり繰り返し観たくなる。

永野芽郁は魅力的な女優だと思う。
『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』では芋感全開の頼りない新人婦警をいい感じに演じていたし。
彼女は様々なキャラクターをユニークに演じてくれるので素晴らしい。
っていうか2023年8月の時点で23歳というのはビックリ。
普通に20代後半かと思っていたので、良い意味で大人っぽい。

 

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バトルランナー 

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■天国大魔境

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マイ・ブロークン・マリコの作品情報

■監督:タナダユキ
■出演者:永野芽郁
奈緒
窪田正孝
尾美としのり
吉田羊
Wikipediaマイ・ブロークン・マリコ

 

マイ・ブロークン・マリコを見れる配信サイト

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※2023年8月現在