映画『シン・仮面ライダー』ネタバレなしの感想。悪の組織によって人体改造された男を描く

■評価：★★★☆☆3

「古典特撮ヒーローのリブート」

【映画】シン・仮面ライダーのレビュー、批評、評価

『ふしぎの海のナディア』『新世紀エヴァンゲリオン』『彼氏彼女の事情』『シン・ゴジラ』の庵野秀明監督による2023年3月18日公開のアクション映画。

【あらすじ】組織「SHOCKER」によって人体改造された男性。彼は博士とその娘と組織から逃亡したものの、博士が殺害されてしまう。やがて、彼は「仮面ライダー」を名乗り、残された娘と共に組織に立ち向かっていく。

『エヴァンゲリオン』シリーズの生みの親である庵野秀明。
彼が監督やら脚本やらで参加している作品群『シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース』の一作目である『シン・ゴジラ』はとんでもない興行収入を叩き出した。
最終興行収入は82.5億円で、ゴジラシリーズの中では最高額とのこと。
アニメでも実写映画でも社会現象を巻き起こし、すっかり巨匠の仲間入りを果たした庵野秀明の次のシンシリーズかつ監督作品が本作となる。
世間ではかなりの多くの話題を集めていたし、私も庵野秀明作品の大ファンなので楽しみにしていた。

蓋を開けてみると、世間の評価は割れていて賛否両論だった。
何なら否のほうが大きいイメージ。
私も劇場鑑賞しようと思っていたが、あまりに評価が低かったので配信待ちすることになった。

ちなみに劇場公開時にはyoutubeだかで、冒頭の約十分間だけ無料公開されていた。
アクションのみのパートで、悪くなかった。
カーチェイスのシーンは迫力があったし、仮面ライダーの過剰すぎるパワーの演出も良かった。
ショッカーたちを次々と血祭りにあげていく姿はなかなか衝撃的。
実際に仮面ライダーの中身である本郷猛は、仮面ライダーになり、人間離れした力を手にしたことに対して葛藤している。
その葛藤の理解ができるくらい、破滅的な強さを良い感じで描写していた。
せっかくだから、小物のショッカーたちは仮面ライダーを見るだけで恐れ、逃げ惑う演出かあっても良かったくらい。
そっちのが仮面ライダーの強さがより強調されそう。

話を戻すが、最後まで鑑賞すると、面白いのは前半くらいだった。

まずキャラクターが入り込めなかった。
ヒロインはルックスだけで、あまり魅力的に感じなかった。
そのため、何で本郷猛が彼女を助けようとするのかがしっくり来ない。
一応、教授にヒロインを助けて欲しい、なんてお願いされた理由はある。
でも、なぜ彼女にそこまで惹かれていくのかは理解ができなかった。
そのため、描かれる二人の関係性の変化はまったく刺さらず、「だから何？」といった感じになった。

仮面ライダー二号もそう。
ヒロインとのやり取りの中で涙するシーンがある。
なぜ泣くのかが理解不明。
まったく意味が分からず、置いてきぼり感を食らった。

あとストーリーも分かりやすいものではなく、ついて行けなかった。
ショッカーがどんな理由でショッカーになったのか。
なぜ仮面ライダーたちと対立しているのか。
観終わった今でも何だか良く分からない(私の知能がバッタ並みに低く、理解力に乏しいだけかもしれないが)

あとCGによる戦いのシーンもやけに安っぽく、現実に引き戻される。
元々仮面ライダーは金の掛かった作品ではなかっただろうから、敢えてチープにしたのかもしれないが。
それでも後半のカーチェイスは何がどうなってるのか、良くわからない。

ストーリーについては、主人公らから敵に接近したかと思ったら、すぐに逃げる展開が何回かあって、意味不明だった。
何だか不毛なやり取りを見させられた印象。

あと本作の興行収入が低い一番の理由は、映像的なダイナミックさの無さだと思う。
『シン・ゴジラ』の迫力は凄まじかった。
ビルよりも巨大なゴジラの圧倒的な存在感は神々しさすらある。
ゴジラの繰り出すとんでもない破壊力を持つ攻撃により、東京が壊滅していく様の絶望感。
だからこそ、力量差が天と地ほどあるゴジラに、自衛隊が立ち向かうシーンはむちゃくちゃカッコ良かった。

一方で、本作は人間サイズの連中の戦いが描かれる。
テレビで観る分には良いと思うが、わざわざ劇場で見るほどでもないと思ってしまうスケールの小ささがある。

仮面ライダーの古参ファンなら楽しめるのかもしれない。
ただの庵野秀明ファンからすると、あんまり面白い映画ではなかった。

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■レイジング・ファイア

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