映画『レイジング・ファイア』ネタバレなしの感想。正義感の強い刑事と元部下の衝突を描く

■評価：★★★☆☆3

「アクションの面白さ」

【映画】レイジング・ファイアのレビュー、批評、評価

『イップ・マン』シリーズ、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』、『トリプルX:再起動』、『ムーラン』のドニー・イェン主演のアクション映画。

【あらすじ】すべての悪を憎むチョン警部が、何年も追い続けた極悪犯ウォンの薬物取引に、遂に踏み込む日がやって来た。ところが、直前になってチョンのチームは作戦から外され、警察の動きを熟知した何者かが、捜査官たちをウォンの一味もろとも命を奪い、ブツを奪う。捜査線上に浮かび上がったのは、元エリート警察官で、チョンを師のように慕っていたンゴウと彼の元部下たちだ。遡ること4年前、チョンとンゴウを永遠に引き裂く事件が起きていた。その時、生まれたンゴウの闇より深い復讐心が、さらに恐るべき計画を企てていた―。

ドニー・イェン主演のアクション映画。
映画を好きになればなるほど、気になる映画を見つけたら誰が監督をしたのか、の情報を調べがちである。
あるいはこの監督の最新作だから、といった理由で鑑賞する。
やっぱり監督によって映画のカラーが決まるので、感性の相性の良し悪しが発生する。

だが、稀に監督よりも出ている俳優で鑑賞意欲が刺激されるケースもある。
本作は監督よりも主演のドニー・イェンに強い興味があって鑑賞した。

ドニー・イェンの代表作といえば映画『イップ・マン』シリーズが挙げられる。
実際に存在する、詠春拳という中国武術の達人のイップ・マン（葉問）をモデルとしたカンフー・アクション映画。
イップ・マンはなんと、あのブルース・リーの師匠である。
そのため、信じられないほど強い。
『イップ・マン』は弟子や仲間達のピンチに現れ、大量の敵に対して無双する最高の映画である。
イップマンに扮するドニー・イェンのカンフーが素晴らしく、見応えが抜群である。

そんなドニー・イェンの新作映画ということで、期待を持って本作を鑑賞した。
ストーリーは、ドニー・イェン扮する刑事が、現在は犯罪組織を束ねる元刑事かつ元部下の男と対立する内容。
正直、ストーリーなんてあってないようなもの。
二人の男がぶつかるために、とってつけたようなどうでもいいストーリーである。

期待していたアクションは見応えがあった。
意外にも、ドニー・イェンのカンフーシーンは少ない。
本作で最も興奮したのは、中盤に訪れる主人公が乗る車と、敵が乗るバイクの、アクロバットなカーチェイスおよびアクションである。
特にバイクに乗る敵が凄かった。
警察官が乱射する銃をウイリーでガードしたり。
あるいはバイクを運転しながら上体を身軽に動かして、銃を発砲して反撃したり。
スタイリッシュなバイクアクションを見せてくれた。

私は今まで色んなアクション映画を観てきている。
だが、ここまでバイクでのアクションをカッコ良く見せている映画は初めて観た。
鑑賞後もついつい、バイクアクションの箇所をリピートして観たくなってしまうほど。

クライマックスのアクションは個人的には微妙だった。
銃による市街戦なのだが、市街戦で有名なハリウッド映画『ヒート』のオマージュだと思われる。
『ヒート』の我々が日常を過ごす町が、非日常の戦場となる演出は素晴らしく、初鑑賞した際は強烈な印象を植え付けてくれた。
私の好きな映画の一つ。

とはいえ、本作は『ヒート』を越える、あるいは異なる斬新なアプローチをしているわけでもない。
普通に銃撃戦をしているだけの印象。
後発なのだから、せめて新しいアイディアを２～３は放り込んで、観客に鮮度を与えて欲しかった。

観ごたえのあるアクションシーンが１つだけだったので、評価は★３と控えめ。
ドニー・イェンも２０２３年６月時点で５９歳と、還暦に近い年齢なので、カンフーを魅せるのは厳しいのかもしれない。

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レイジング・ファイアの作品情報

■監督：ベニー・チャン
■出演者：ドニー・イェン
 ニコラス・ツェー
チン・ラン
ベン・ラム
パトリック・タム
カルロス・チャン
サイモン・ヤム
レイ・ロイ
■Wikipedia：レイジング・ファイア（ネタバレあり）
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家)：91%
AUDIENCE SCORE(観客)：100%