■評価:★★★☆☆3
「子供への執着」
【映画】LAMB/ラムのレビュー、批評、評価
2021年公開のアイスランド・スウェーデン・ポーランド合作のスリラー映画。
【あらすじ】山間に住む羊飼いの夫婦イングヴァルとマリア。ある日、二人が羊の出産に立ち会うと、羊ではない何かが産まれてくる。子供を亡くしていた二人は、"アダ"と名付けその存在を育てることにする。奇跡がもたらした"アダ"との家族生活は大きな幸せをもたらすのだが、やがて彼らを破滅へと導いていく。
本作はアイスランド映画となる。
アイスランドといえば大きな露天風呂があるのと、地熱発電などで100%自然エネルギーで電力をまかなっているということ以外は何も知らない。
エンタメも、が盛んなのかもまったくの無知である。
『LAMB/ラム』はSNSによる評判がそこそこ良かったので、鑑賞するに至った。
私にとっては初めてのアイスランド映画である。
設定自体は興味深かった。
最愛の娘を失ってしまった羊の牧場を営む夫婦が主人公。
ある日、子羊が生まれるのだが、とんでもない異形だった。
夫婦はその異形を我が子のように育てるようになる、といったストーリー。
どういう姿で生まれたのかは、公式ホームページなどでは公開されていないので伏せておく。
しかし、なかなかぶっ飛んだ見た目でビックリさせられる。
個人的にはやり過ぎな気がしていて、コメディにもなりえる設定ではある。
お笑い芸人のコントでも見ているような感覚。
だが、夫婦が真剣に愛を注いで育てているので、辛うじてシリアルに観ることはできた。
異形が生まれるというのは、最近のトレンドなのだろうか。
最近も『ハッチング ー孵化ー』というタイトルのフィンランド映画があった。
一見幸せにそうに見える家族の娘が、森の中で卵を見つける。
拾って育てると、異形の生き物が誕生する。
親に内緒でこっそりと育てる、といった内容。
本作を観ていて、真っ先に『ハッチング ー孵化ー』を連想した。
ただ、テーマはまるで異なるので、既視感は設定のみで、楽しく鑑賞できた。
『ハッチング ー孵化ー』は子供の視点から見た家族をテーマに描く。
『LAMB/ラム』は親視点で子供に対する愛をテーマとしている。
視点が違うだけここまで違った物語になるのか、といった面白さも感じられるので、両作品鑑賞しても良いと思う。
本作に話しを戻すが、もっとも素晴らしいと思ったのがロケーション。
広大な大自然がとんでもなかった。
冗談抜きで、今まで観てきた映画のロケーションでTOP3には入るんじゃないかっていうくらいの雄大な大自然だった。
まず日本ではこんな場所は存在しないし、アイスランド映画を観ている感を覚えて良かった。
本作について、大きな違和感が一つだけある。
なぜ、夫婦が異形を我が子同然のように育てるのかが分からない。
だって、そんなに子供が欲しいのなら、養子でももらったらいい。
何でわざわざ、第三者が観たら、確実に変人扱いされるような気持ち悪い生き物を我が子にするのだろうか。
さすがにアイスランドでは養子縁組は法律違反なんてことはないだろうし。
ユーモラスな設定ではあるが、どうも夫婦の選択には腑に落ちない。
異形を我が子にしたいなら、もっと、そうせざるを得ない理由付けをしてほしいところ。
あと、クライマックスもビックリする展開ではあったが、あまり新しさを感じられなかった。
確かに主人公らの序盤の行動を観ると、このクライマックスは想像できる。
だが、あまりにありふれた展開で、新鮮さは皆無。
せっかく独創的な物語を作ってくれたので、何か新しい答えを見せて欲しかった。
異形を題材とする作品のおすすめはコチラ。
■ハッチング 孵化
LAMB/ラムの作品情報
■監督:ヴァルディマル・ヨハンソン
■出演者:ノオミ・ラパス
ヒルミル・スナイル・グドゥナソン
ビョルン・フリーヌル・ハラルドソン
イングヴァール・E・シーグルソン
■Wikipedia:LAMB/ラム(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):86%
AUDIENCE SCORE(観客):61%
LAMB/ラムを見れる配信サイト
U-NEXT:○(有料)
Hulu:○(有料)
Amazonプライムビデオ:○(吹替・見放題)、○(字幕・見放題)、○(Blu-ray)
Netflix:-
※2023年5月現在