映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

映画『ザ・サークル』ネタバレなしの感想、小型カメラで監視される世界を描く

■評価:★★☆☆☆2.5

 

「監視社会の息苦しさ」

【映画】ザ・サークルのレビュー、批評、評価

 

ハリー・ポッター』シリーズ、『ウォールフラワー』『美女と野獣』のエマ・ワトソン主演の2017年11月10日公開のスリラー映画。

 

【あらすじ】世界シェア1位を誇る超巨大SNS企業サークル。憧れの会社に採用された新人のメイは、ある事件をきっかけにカリスマ経営者ベイリーの目に留まり、新サービスシーチェンジのモデルケースに大抜擢される。

 


最近は、諸事情で監視社会を題材とした作品を一通り鑑賞している。
監視社会を題材としたもっとも著名なタイトルの1つは、ジョージ・オーウェル著の『1984年』というタイトルの海外小説。
テレビと監視カメラを兼ねた「テレスクリーン」が町中に配備され、さらには町中に仕掛けられたマイクによって屋内・屋外を問わず、ほぼすべての行動が政府に監視され、抑圧された人類を描いている。
1949年に本国イギリスで刊行されている。
監視する手段がテレビというのが、古典作品らしさを連想させる。

2017年にアメリカで公開された本作『ザ・サークル』は、本記事を執筆しているのが2023年なので、割と新しい作品。
世界中のあらゆる場所に設置できる小型のカメラ『SeeChange』の映像を、今の時代らしいSNSでチェックできる、NOプライバシーに向かっていく世界を描いた近未来を舞台とした映画。

なかなか興味深い設定である。
今でも、東京では渋谷や新宿、池袋などの主要都市には、24時間稼働しているライブカメラがある。
実際に我々が持つスマートフォンなどの端末から、いつでもYOUTUBEでリアルタイムの映像を見ることができるのだ。

確かに防犯面においては便利かも知れない。
だが、常に誰かに見られている、と考えただけで仄かに息苦しさも覚える。
今はコンプラがどんどんと厳しくなっている。
いずれはもっと街に設置されるカメラも増えて、監視社会としての様相が顕著になるんだろうなと思う。
そのため、本作は他人事としては鑑賞できないのが面白いポイントの1つ。

だが、映画の内容自体は、個人的にはあまりハマれなかった。
一番の理由は、主人公メイである。
メイは一体、何を目的にしていて、どういった考え方を大切に持っているのか、の信念がまったく描かれていない。

冒頭では、メイは社長が新商品としてプレゼンする『SeeChange』に魅了されていく。
一応、理由はある。
地元の友人マーサーにとある危機があり、『SeeChange』によって助けられた経緯があるから。

そのため、中盤、メイはとんでもない選択を取ることになる。
もっとメイ自身の本質的な動機付けに基づいた目的を描いて欲しかった。
なぜメイは監視されることに対して肯定的なのか。

だって、監視なんて誰がどう考えても嫌だろう。
観客の監視に対する嫌悪感を、メイだったら確かに肯定的に捉えても仕方ない、って思えるくらいの強烈な動機を描いて欲しかった。

現状、メイが『SeeChange』を受け入れることに十分な動機付けがないので、観客からしたら感情移入ができない。
メイの行動に理解ができないので、応援することもできない。
どこか、メイや物語に対して一歩引いて鑑賞する結果となった。

全体的なストーリーの流れは良かった。
特に想像の斜め上をいくようなぶっ飛んだ展開はなかったので、可も無く不可もなくといった具合だが。
一番はキャラクターの魅力に欠けていたので、あんまりハマれなかった。

 

 

強烈な選択を取る主人公の作品のおすすめはコチラ。

■LAMB/ラム

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■ハッチング 孵化

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ザ・サークルの作品情報

■監督:ジェームズ・ポンソルト
■出演者:エマ・ワトソン
トム・ハンクス
ジョン・ボイエガ
カレン・ギラン
エラー・コルトレーン
パットン・オズワルト
グレン・ヘドリー
ビル・パクストン
Wikipediaザ・サークル(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):15%
AUDIENCE SCORE(観客):21%

 

ザ・サークルを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(Blu-ray)、原作はコチラ
Netflix:-
※2023年7月現在