映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

漫画『税金で買った本』ネタバレなしの感想。ヤンキー少年が図書館でバイトを始める

■評価:★★★☆☆3.5 

 

「図書館の裏側」



【漫画】税金で買った本のレビュー、批評、評価

 

彼岸島 48日後…』『1日外出録ハンチョウ』『アンダーニンジャ』『パリピ孔明』『賭博堕天録カイジ』などを現在連載している週刊ヤングマガジンの連載作品で、2021年12月13日から連載開始したコメディ漫画。

 

【あらすじ】小学生ぶりに図書館に訪れたヤンキーな石平くん。その図書館で働く早瀬丸さんと白井くんに10年前借りた本を返却していないことを指摘される。その指摘をきっかけに図書館に通うようになるどころか働くことになる石平くんの図書館お仕事漫画。 

 

週刊ヤングマガジン(以下ヤンマガ)といえば、性的に活発そうなお姉さんのグラビア写真が毎号、巻頭に載せられる大人の漫画雑誌。
連載される漫画も性や暴力が題材にされることが多く、いかにも成熟した男たちが好みそうな作品ばかりが掲載される。

そんな中で本作は、まさかの図書館を舞台としたコメディ漫画。
ヤンキーの少年が、何やかんやあって図書館でバイトするストーリー。
同じバイト仲間と対立をしながらも、本の素晴らしさや図書館での労働の裏側などを面白おかしく描いていく。
本当にヤンマガに連載されているのか目を疑ってしまう内容。
本当にあの『行け!稲中卓球部』が連載されていたのと同じ雑誌なのか疑う。
(中学の卓球部が舞台だが、卓球しているシーンはごくわずか。ひたすらに下品な描写が続くコメディ漫画)

2023年7月の時点で刊行されている7巻まで読んだ感想となる。
読んでる途中からむっちゃ図書館に行きたくなった。

私が最後に図書館に行ったのは小学校高学年くらいだろう。
特に本には興味がなく、たまたま新しく図書館ができるってことで親に連れられた行っただけ。

しかし、大人になった今では普通に本を読むようになった。
だが、登録しているYOUTUBERがおすすめし、興味を持った本をkindleで購入し、読むことがほとんど。
町の本屋に行くこともない。

本作を見て、すぐに図書館に行きたくなり、先週、近くにあったところに足を踏み入れた。
最高だった。
無料で蔵書されている本を無限に楽しめる。
こんな贅沢で最高な場所はない。
まさに図書館は知識の宝庫だ。

ついつい、無意味に歩き回って様々な本を手にとって中をちらっと見てしまう。
何よりも良いのが、興味のある本を試し読み出来るところ。
私は常に興味の湧いた本を、Amazonの「ほしいものリスト」に追加している。
すべて読むにはいくら時間があっても足りないくらいの本の数。
こういった、「ほしいものリスト」にある本も、図書館に蔵書があれば試し読みすることができるのだ。
最高すぎる。

なぜ、無限に時間を有り余らせていた子供の頃に図書館に行かなかったのだろうか。
なぜ、すでに飽きているクリア済みのゲームを何度も繰り返しプレイし、時間を浪費していたのだろうか。
悔やまされる限り。

話を戻すが、印象的だったエピソードが2つあるので紹介したい。
1つは、本屋でやたらと充電する青年の話。
一箇所でコンセントを占有しているので主人公らが注意しに行く。
すると青年はこう反論する。
「俺らが払った税金で図書館は作られてるんだ。だからいいだろう!」と。
だが、主人公の指摘によって、得した電気代は一月にペットボトルのジュース一本程度だということを知り、青年は愕然とする。
だったら「無料で読める本を読み漁った方が断然、得である」という事実を目の当たりにし、青年を本を読み始める。

いい動機である。
本を読む動機なんて何でもいい。
結果的に本を楽しいと思えれば、税金の元を取る意識でも良いと思う。
実際に2000円の本を10冊読めば2万円分は得したことになる。
こう考えると、図書館で本を読むモチベーションにもなる。
結果、本に魅了され、本好きになってくれたらそれでいい。

他には「ぬいぐるみお泊まり会」も良かった。
今では、児童コーナーで「ぬいぐるみお泊まり会」なるものを実施している。
子供達が各々、お気に入りのぬいぐるみを持参し、図書館の人に預ける。
ぬいぐるみだけが図書館にお泊まりするのだ。
翌日、図書館の人はぬいぐるみと一緒に一冊の写真のアルバムを子供に渡す。

アルバムの中にはお布団に入ったぬいぐるみがむくっと起き上がり、図書館で遊ぶ写真が収められている。
他のぬいぐるみたちと遊んだり。
あるいは本を読んだり。
子供達はこのアルバムを見てテンションが上がる。

もともとアメリカで始まった催しらしい。
自分のお気に入りのぬいぐるみが本を読んでいたら、子供も興味を持つだろうといったことで始まったそう。
面白い試みだなあと思った。
私も子供の頃にこんなのに参加したら、むっちゃテンション上がったと思う。

ただ、本当に本を読むようになるかは謎である。
シンプルに、面白い本を親が子供に渡してあげたほうが、本質的に本を好きになり、自発的に読むようになるだろうなと思う。
本好きにさせるかは親の能力にかかっている印象。

他には「漫画を取り扱うことについて」の回とか、興味深い回は多かった。
完結まで読み続けたいタイトル。


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税金で買った本の作品情報

■著者:ずいの、 系山冏
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