映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

配信ドラマ『ガンニバル』ネタバレなしの感想。人が喰われると噂される村に駐在として赴任した男を描く

■評価:★★★★☆4

 

限界集落の恐ろしさ」



【映画】ガンニバルのレビュー、批評、評価

 

『岬の兄妹』『さがす』の片山慎三監督による2022年12月28日配信公開のサスペンスドラマ。
週刊漫画ゴラク』にて2018年10月19日号から2021年12月10日号まで連載された同名タイトルの漫画を原作とする。


この村に、喰われる―。 都会から遠く離れた山間の“供花村”に、家族と共に駐在として赴任した阿川大悟。しかし、美しい村には、ある噂があった―この村では人が喰われるらしい…。 警察官としての信念で真相を探る大悟だが、やがて村の穏やかな日常が“おそろしい”顔を見せ始める。次々と起こる不可解な出来事に、友好的だがどこか不気味な村人たち…大悟はすべてに疑心暗鬼になり、狂気の淵へ追いつめられてゆく。

 

『ガンニバル』はもともと、原作漫画を、現在、私が最も大好きなTV番組のひとつの『マンガ沼』で、かまいたちの山内が紹介していたのをきっかけに知った作品。『マンガ沼』は山内と、麒麟の川島がおすすめマンガを紹介したり、マンガ家をゲストに呼んでトークするマンガ専門バラエティ。
山内は大のバイオレンス・グロ漫画好きで、『ガンニバル』も山内の好みにがっつりとハマった一作となっている。

人を食うと噂される村の駐在所に務めることになった警察官の主人公の物語。
そんなハードな内容をドラマ化されたことにビックリなのだが、更に驚かされるのが、制作および配信先がディズニープラスという点。
明らかにディズニーとの客層が合わないように思える。
だが、ディズニーはマーベルシリーズも手がけているし、スターウォーズの権利も持っているので、大人の視聴者も確保しているために『ガンニバル』の制作に至ったのだと思われる。

私自身、『ガンニバル』の漫画自体は読んだことはない。
だが、今回の配信ドラマはSNS上でかなり話題となっていたので、見応えのある内容であることは容易に予想された。
鑑賞したら、期待通りだった。
無茶苦茶面白く、先が気になりすぎて、2日間で一気に全7話を視聴してしまった。

本作で一番好きだった箇所が、主人公の警官・阿川大悟もやばいという点。
阿川大悟が赴任した村に、人を食うようなやばいやつが居ることは、CMなどの事前情報で知っていた。
実際に鑑賞して想定外だったのが、そいつ並か、それ以上に阿川大悟もクレイジーなのだ。

元々、暴力刑事で、犯人を逮捕する際は、仲間に制止されるほどに無意味もボコボコにする問題児。
さらには、やっかいな行動を起こしてしまい、本作の舞台となる供花村に左遷された経緯がある。

笑えるのが、1話からやけに口が悪く、緊張感のある雰囲気を作ってくる。
例えば、1話でとある人物の亡骸が発見される。
村のみんなは「熊に襲われた」と口を揃えて言う。
だが、阿川大悟はこれを見て、「これよぉ。熊の仕業じゃあねえよなあ?」と、村人たちを疑い、挑発するような声のトーンで指摘する。
このときに流れる場のシリアスな空気感がたまらない。

この絶妙な演技が、柳楽優弥の役者としてのポテンシャルの高さを感じさせてすごい。
肉体改造をしたのか、筋肉もムキムキである。

阿川大悟が好戦的なお陰で、圧倒的な安心感がたまらない。
村の連中は明かに、何かを隠している。
だが、阿川大悟は無視して真相を追究する。
そのため、時には、村のやばい連中に囲まれたりするシーンがある。
だが、阿川大悟なら上手く切り抜けられるしかないイメージがぷんぷん漂っているので、観ていて心地良いのだ。
いっそ、「早くこいつらをボコボコにしてくれ」と心の中で願ってしまうくらい。

個人的に、やばい奴×やばい奴のぶつかり合う構図は好みである。


例えば、分かる人は一部、いると思うが、『闇金ウシジマくん』での、ウシジマ×肉蝮。
主人公のウシジマは極悪の闇金業者。
一方で極悪人の肉蝮。
この二人の対峙は一瞬なのだが、やけに興奮させられた。

他にも、分かる人には分かると思うが、少年ジャンプ漫画に『HUNTER×HUNTER』という作品がある。
ヨークシン編というエピソードの中でシルバ・ゼノという2人と、クロロという男の戦いがある。
シルバ・ゼノは主人公の仲間である殺し屋一家の息子キルアの父と祖父。
そのため、無茶苦茶強い。
さらにクロロは、同じく主人公の仲間のクラピカの一族の敵である幻影旅団という盗賊団の団長。

シルバ・ゼノとクロロは、『HUNTER×HUNTER』の中ではどちらかというとヒールの立ち位置。
しかも二組とも、高い戦闘能力を持っている。
この二組のぶつかり合いは、連載当時、とてつもなく興奮したもの。

話を戻すが、『ガンニバル』ではこの手のヒールとヒールのぶつかり合いがずっと続いているので、鑑賞者を興奮させてくれる。

あとはミステリー要素も素晴らしかった。
明かに重大な何かを隠蔽し続ける村の連中。
全貌は中々明かされないのだが、謎が魅力的なので、ぐいぐい引き込まれる。
お陰で、2日で一気に鑑賞してしまった。
意外にもグロよりもミステリー要素が強かった印象。

アクションシーンが多いのも素晴らしい。
3話だか4話のカーチェイス辺りも見応えはある。
だが、阿川大悟の格闘シーンは、臨場感があってかなり好みだった。

不満点としては、全7話でまったく謎が解決されないこと。
普通は何かしらは解決され、新たな謎が提示されてシーズン2へのクリフハンガーとなったりする。
だが、まったく解決されないのは違和感を覚える。

とはいえ、キャラもストーリーも何もかもが素晴らしいので問題ない最高の配信ドラマ。
グロさは思ったより少ないが、バイオレンス描写が多いので女性にはすすめづらい。
スリラー・ミステリー・限界集落ものが好きな人はとことん好きな内容。

 


ミステリー要素が魅力的な作品はコチラ。

■暗黒女子

movies-ocean.hatenadiary.com

■慟哭

movies-ocean.hatenadiary.com

■宇宙のランデヴー

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ガンニバルの作品情報

■監督:片山慎三、川井隼人
■出演者:柳楽優弥
笠松将
吉岡里帆
中村梅雀
倍賞美津子
Wikipediaガンニバル

 

ガンニバルを見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:-、原作漫画はコチラ
Netflix:-
Disney+:○(見放題)
※2023年4月現在