映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

映画『スランバー・パーティー大虐殺』ネタバレなしの感想。パジャマパーティーで楽しむ女子達を、電気ドリルを持った気狂いが迫る

■評価:★★★☆☆3

 

サイコキラーの恐さ」



【h2】【映画】スランバー・パーティー大虐殺のレビュー、批評、評価

 

【あらすじ】両親が留守になる週末、高校3年生のトリッシュバスケットボール部のチームメイトを自宅に招き、男以外は何でもアリのパジャマ女子会を開くことにする。時を同じくして、学校で女子生徒が何者かに電動ドリルで命を奪われる。精神病院を脱走したラス・ソーンの仕業だった。ラスは肌も露わにはしゃぐ女の子たちの匂いを嗅ぎつけ、トリッシュの家へと向かう。女子会に侵入したい男子高生たち、仲間になりたい転校生のヴァレリーとその妹が入り乱れ、波乱含みの週末が幕を開ける。

 

 

1982年9月10日にアメリカで制作されたずいぶん古い映画。
日本では2023年1月6日にようやく初公開された。

なぜ今になって公開されたのかの経緯の詳細は、不明だが、本作は『未体験ゾーンの映画たち2023』というイベントで「ヒューマントラストシネマ渋谷」で公開された。
『未体験ゾーンの映画たち』は様々な理由で日本公開されなかった海外作品を公開するコンセプトのイベント。

実際、公開されなかった理由の多くは配給会社の担当の目にとまらなかった理由が多くの占めるので、『未体験ゾーンの映画たち』公開作はおぞましいほどにハズレ作品が多いらしい。
(私自身はこのイベントに足を運んだことはない)
ただ、中には当たりもあるらしく、筋金入りの映画ファンは本イベントに参加するそう。
本作に関しては、私が良く視聴している映画紹介をするYOUTUBERが高評価を与えていたので、レンタルで鑑賞した。

実際に見始めると、映像的古さは最初は気になったが、次第に慣れていった。
あらすじはシンプルで、両親が留守の間に、高校生の女子たちが家に集まってパーティをしていると、連続命奪鬼のサイコキラーが参上するといったシンプルな流れ。

個人的にツボだったのが、サイコキラーの武器が電気ドリルというところ。
身近に存在する道具が武器なので、嫌な生々しさがある。

例えばホラー映画の有名どころ『悪魔のいけにえ』でいえばチェンソーが出てくる。
チェンソー=『13日の金曜日のジェイソン』を連想する人が多いが、実際は『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスの武器)
確かにチェンソーは恐い。
でもチェンソーって、日常で見掛けることってほぼない。
山林地域の田舎暮らしの人は見るのかも知れないが、東京などの都心部に住む人の目に入る機会は皆無。

対して、電気ドリルって生で見たことある人は多い。
東京でも道を歩いていたら建設現場に遭遇することもあるので、電気ドリルは割と馴染みがある。
そのため、殺傷能力が高いのはすぐにイメージが湧くので、よりリアリティのある恐怖を感じられた。

他の良かった箇所は、最近鑑賞したホラー映画の『テリファー』と同様に、サイコキラーの動機は一切描かれない。
最初から最後まで、セリフが少なく、淡々と女子高生たちの命を奪って行く。
だらだらと動機が描かれたり、自身の口から語られることもない。
敵を悪に振り切っている工夫が良かった。
鑑賞している側も楽しみやすい。
変に理解できるような不憫な動機が描写されると、観客は感情移入して人間味を覚えてしまい、恐さが半減することもあるので。

映画としては、作りは大分、荒い。
サイコキラーの被害にあった学校の先生の遺体が入った校内の巨大ゴミ箱を、普通に生徒らは素通りしたりする。
さすがに視界に入るだろ、と思った。
このように映画の全編にわたって、ツッコミを入れたくなる箇所は多い。
ただ、B級映画なので、ある意味この荒々しさ、不完全さは味となっている。

個人的に微妙だったのは、標的となった連中が命を奪われる理由を見せて欲しかった。
昔のホラー映画は、10代の若者が性的に交わっているときに命を奪われることが多い。
これには理由があって、若者にとって性的な交わりは背徳感があるから。
親には言えないどこか悪いことをしている感じである。
こういった罪を犯したようなシーンを入れてくれると、命を奪われるフリになるのだ。
フリを描いてくれたほうがホラー映画を鑑賞している感があって、個人的には好み。

例えば薬的なことをやっちゃうとか、あるいは墓を倒しちゃうとか、何でもいい。
親の留守中にパーティをするってところを罪として描いているのかもしれないけど、弱さは否めない。

時間の短さは良かった。
ただただサイコキラーに襲われるところだけを見せる映画になっているせいか、まさかの上映時間70分台というコンパクトさ。
最近のホラーはだらだらと長い作品もある。
このコンパクトさはサクっと楽しめるのに丁度良い。

ストーリー展開の斬新さやキャラの魅力は薄い古い作品なので、評価は控えめ。
でも、古典のホラー映画としては楽しめる内容だった。

 

 

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スランバー・パーティー大虐殺の作品情報

■監督:エイミー・ジョーンズ
■出演者:ミシェル・マイケルズ
ロビン・スティルロビン・スティル
マイケル・ビレラマイケル・ビレラ
デブラ・デリソデブラ・デリソ
Wikipediaスランバー・パーティー大虐殺
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):43%
AUDIENCE SCORE(観客):46%

 

スランバー・パーティー大虐殺を見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:○(有料)
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)○(Blu-ray)
Netflix:-
※2023年6月現在