映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

映画『エリジウム』ネタバレなしの感想、余命宣告を受けた男が富裕層が暮らす人工衛星を目指す

■評価:★★★☆☆3

 

「貧富の分断」

【映画】エリジウムのレビュー、批評、評価

 

第9地区』『エリジウム』『チャッピー』のニール・ブロムカンプ監督による2013年9月20日公開のSF映画

 

【あらすじ】2154年、限られた富裕層の人間たちは、スペースコロニーエリジウム」に居住していた。一方、貧困ですさむ地球。犯罪が蔓延する中、貧しくもしたたかに生きる男が、ある事故を機に、エリジウムに行くことを決意する。

 


本作は、ずっと前から存在を知っていた。
SF映画のおすすめを探していると、たまに挙げられる一作なので、何度もタイトルを目にしたことがある。
監督もあの『第9地区』を作っているということも、本作を有名にさせている理由の1つだろう。

第9地区』といえば、宇宙からやってきた地球外生命体を隔離し、難民として扱い、抑圧する人類を描く物語。
このぶっ飛んだ設定は異様な新しさがあり、公開当時はとてつもなく話題になっていた。
世間の評価も高く、多くの映画評論家も評価している印象がある。
私も好きな一作。

一方で、『エリジウム』はあまり高い評価を得ていない。
とはいえ、今は個人的に監視社会の作品を貪りたいマインドなので、思い切って手に取った。

設定はとてもシンプル。
近未来が舞台で、大気汚染などで地球は荒廃している。
富裕層は大金を投じて作った人工衛星で、悠々自適な暮らしをしている。
人工衛星では緑は豊かだし、高性能なAIを積んだ人型ロボットが人間の代わり働いてくれている。
更には、万病を治してくれるまるで日焼けマシーンのような見た目の医療ポッドが各家に配備されている素晴らしいユートピア
観客の多くは移住したいと思うだろう。
だってどんな病気や怪我も数分で治療されるのだから。
まるでドラゴンボールの回復カプセルである。

一方で貧民は、緑もないスラム化した地球でギリギリの生活を過ごしている。

この設定から分かる通り、本作は何の新しさもない平凡さが、私の興味を削いでいた。
ディストピア映画を好んで多く鑑賞してきた人なら共感出来るかと思われる。
鑑賞してみたが、やっぱりストーリーも普通だった。
貧民で地球で過ごす主人公は、色々あって寿命が5日になり、医療ポッドを目指して富裕層のいる人工衛星を目指す。

近未来の世界観らしい強そうなスーツを身につけたり。
SFらしいガジェットが多く登場するのでワクワクさせてはくれる。
ただ、すでに多くのSFで見せてくれている内容なので、正直、食傷気味。
いっそ、主人公は富裕層側の人間で、貧民層の女性に恋をした、みたいな近未来ロミオ・ジュリエットでも見せて欲しいところ。

結末も微妙だった。
特に何故、主人公の末路がそうなるのかの伏線が全くないのだ。
あまりに唐突すぎる展開なので、観客が納得できる流れを作って欲しかった。
脚本が雑な印象。

映像はかなり金がかかっていて見応えは抜群だった。
恐らく前作『第9地区』がかなりヒットしたので、監督には大金を投資してもらえたのだろう。
だが、どう考えてもプロットが普通過ぎるので、なぜ制作にGOが出たのかは不明。

同じSF作品なら、本作の翌年2014年に公開される『インターステラー』は最高だった。
荒廃した地球以外に住める星を探して主人公は宇宙に旅立つ。
降り立った星訪れる展開には度肝を抜かされる。
一度見たら忘れられない斬新な映像が最高である。
結末も涙なしでは見続けることは難しい。

エリジウム』の後に監督した『チャッピー』は割と評価が高いので、いずれ鑑賞してみたい。

 

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チェンソーマン

movies-ocean.hatenadiary.com

 

エリジウムの作品情報

■監督:ニール・ブロムカンプ
■出演者:マット・デイモン
ジョディ・フォスター
シャールト・コプリー
ヴァグネル・モーラ
アリシー・ブラガ
カーリー・ポープ
Wikipediaエリジウム(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):64%
AUDIENCE SCORE(観客):58%

エリジウムを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)○(Blu-ray)
Netflix:-
※2023年7月現在