■評価：★★☆☆☆2.5
「食糧危機の残酷な現実」
【映画】ソイレント・グリーンのレビュー、批評、評価
『マンディンゴ』『トラ・トラ・トラ!』のリチャード・フライシャー監督による1973年6月9日公開のSFミステリー映画。
原作はハリイ・ハリスン著『人間がいっぱい』。
【あらすじ】2022年、爆発的な人口増加と環境汚染に見舞われたニューヨーク。合成食品「ソイレント・グリーン」の製造会社社長が殺された事件を捜査する警官は、事態の背後に食糧危機打開のための政府の陰謀が隠されている事を知る。
五十年前に公開された古い近未来ディストピア映画。
本作は世界観が魅力的で、タイミングさえあれば、前から鑑賞したかった一作となる。
一部では有名な作品らしく、『ドラえもん』の作者の藤子・Ｆ・不二雄が描いたSF短編『定年退職』が本作と似ていて、盗作疑惑がかけられたこともあったそう。
話は逸れるが藤子・Ｆ・不二雄は多くのSF短編を描いていて、今もSF短編集の漫画がAmazonなどで買える。
『ソイレント・グリーン』のような特徴的で変な設定の世界観の作品が堪能できておすすめ。
特に『あいつのタイムマシン』『コロリ転げた木の根っこ』は最高。
話を戻すが、本作は人口爆発し、舞台となるニューヨークでは４千万人の人で溢れかえっている設定。
2023年現在のニューヨークの人口は約850万人なので約４倍。
私は東京に住んでいて、大きな繁華街は池袋が近い。
池袋駅は非常に人口が多く、帰宅ラッシュの駅中は夏のお祭りの如く人で溢れかえっている。
あの密集度が４倍になると考えるだけでうんざりしてくる。
また、人口があまりに多いので、暴動を防ぐために夜は外出禁止令が出てる。
温室効果による地球温暖化によって、気温が高い。
水不足となり、配給制で好きなだけ飲むことは許されない。
人は自然を破壊する生き物。
そんな地球にとって害悪な人が溢れているせいで、公害汚染となり農業や家畜が壊滅状態となっている。
そこで政府が取った対策が、無味のひどくまずいクラッカーのような形状の合成食品ソイレントというものを作り配給するようになっている。
表題となっているソイレントグリーンはソイレントシリーズの最新作らしい。他にもレッドとかある。
こんな感じで世界観はしっかり作り込まれているのでワクワクしながら鑑賞した。
だが、思いの外、興味深く鑑賞できなかった。
１番の理由は主人公のキャラクター造形にある。
主人公は警察官。
とある富豪が命を奪われ、主人公が捜査していくうちに思わぬ事実を知る、といった流れがメインストーリー。
本作は、人口爆発の影響で多くの人が失業状態にある。
そんな中で主人公は警察官として職があるので、恵まれている。
主人公を通して、このディストピア世界の魅力的（辛さ）が全然伝わってこなかった。
例えば、まずいソイレントシリーズを仕方なくむさぼりながら、生鮮食品を探したりとか。
寝る場所に苦労するとか。
ディストピア世界観ならではの主人公の苦悩が見たかった。
本作ではまったく苦悩が描かれないので、興味深くストーリーを追うことが出来ない。
何なら捜査の、途中で出会う美女とらくらく一夜を共にするのも意味が分からない。
古い作品なので仕方ないかもしれない。
多くの動画配信サービスや漫画配信サービス、小説投稿サイト、がしのぎを削り合い、コンテンツが溢れかえる2023年現代の洗練された作品を見慣れていると、どうしても太刀打ちはできない。
ただオチは良かった。
主人公が捜査を続けていく上でとんでもない事実を知ることになる。
あまりにキャラやストーリーが描写なので期待せずに見続けていた。
そのせいで突如として降りかかる大オチに頭をぶん殴られた感覚に陥った。
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■宇宙のランデヴー
ソイレント・グリーンの作品情報
■監督：リチャード・フライシャー
■出演者：チャールトン・ヘストン
リー・テイラー＝ヤング
チャック・コナーズ
ジョゼフ・コットン
ブロック・ピーターズ
ポーラ・ケリー
■Wikipedia：ソイレント・グリーン（ネタバレあり）
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家)：70%
AUDIENCE SCORE(観客)：70%
ソイレント・グリーンを見れる配信サイト
U-NEXT：○(見放題)
Hulu：－
Amazonプライムビデオ：○(字幕・有料)、○(DVD)
Netflix：－
※2023年8月現在
