映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

配信ドラマ『ONE PIECE(NETFLIX実写版)』ネタバレなしの感想。海賊王を夢見る少年を描く海洋冒険ロマン

■評価:★★★★☆4

 

「仲間の素晴らしさ」



【映画】ONE PIECENETFLIX実写版)のレビュー、批評、評価

 

尾田栄一郎による同名の漫画の実写化で、2023年8月31日配信のNETFLIX配信ドラマ。

 

【あらすじ】「東の海」のフーシャ村に住む少年モンキー・D・ルフィは、村に滞在していた海賊〝赤髪のシャンクス〟と親しくなり、海賊への憧れを募らせる。ある日ルフィは「ゴムゴムの実」という悪魔の実を食べ、一生泳げない体になる代わりに、全身が伸び縮みするゴム人間となった。それからしばらくして、ルフィはシャンクスを貶める山賊たちから怒りを買い、海に投げ込まれてしまう。溺れかけ、巨大魚に食われそうになったルフィを、シャンクスは片腕を犠牲にして助け出した。ルフィは、村を去る間際のシャンクスからトレードマークの麦わら帽子を託され、将来立派な海賊になって再会することを約束する。

 


ONE PIECE実写版は、個人的にはかなり期待していた。
理由は、原作者の尾田栄一郎ががっつり本作の制作に関与していたため。

私は原作の『ONE PIECE』を80巻程度まで読んでいる。
(2023年9月現在、既刊106巻)
ある時期から『ONE PIECE』は読みづらくなり、現在は脱落している。
初期の頃に比べると1ページに対しての情報量が多く、また、絵を詰め込むように描かれていて読みづらい。
特に戦闘では絵が細かすぎて何が起きているかわかりにくいのだ。
そのため、新刊が出るたびに前巻の内容を忘れることが多く、読み直す必要があった。
読み返すにしても、やっぱり読みづらいので、自然と最新作を追うことはなくなっていった。

ただ、尾田栄一郎のストーリーを作る能力の高さは肌で感じている。
主人公ルフィの仲間であるウソップやサンジ、ナミのプロローグは特にクオリティが高い。
個人的にはサンジと、彼の命の恩人である赤足のゼフとのエピソードは一本の映画として制作しても価値があるクオリティとなっていて、読み返すたびに涙を流すほど。

また、最近では、『ドロピザ』というyoutuberがONE PIECE考察動画をあげていて、一部のONE PIECEファンで話題になっている。

www.youtube.com

ドロピザの考察能力の高さにみんな驚きを隠せずにいる。
ドロピザが予想するこの先の展開と、その理由の説得力が素晴らしく、ドロピザ考察のまま、ストーリーが展開していくものだと錯覚するほどの鋭さがある。
更には、尾田栄一郎のストーリーや世界観を作る能力の高さも、ドロピザの深い考察を通じて露わになっているのだ。
尾田栄一郎は相当にONE PIECEの世界観を緻密に作り込んでいて、何故か私は最近、『ONE PIECE』の本編を追っていないのに、ドロピザの考察動画だけを見てしまう不思議な状況に陥っている。

何が言いたいかというと、尾田栄一郎という漫画作りに対して妥協のない男への信頼度は高く、実写ドラマの製作総指揮として深く関与しているのなら、クオリティに間違いはないと思っている。

大きな期待を持って鑑賞したが、やはり期待通りの素晴らしい内容だった。
そもそも、実写制作陣のキャラクターの解釈が素晴らしい。

原作を実写にすると、原作者と実写版の制作陣のキャラクターの解釈に相違があるだけで、まるで別物の物語になる。
だが、本作は原作のキャラをちゃんと実写版に落とし込んでいる。

具体的に言うと、原作のキャラクターの信念・価値観をちゃんと汲み取って反映させているのだ。

例えば、主人公のルフィは一緒に海賊をやれる仲間を探している。
ルフィが求める仲間の基準・条件は、戦闘能力の高さではない。
ルフィはいい奴を仲間にしたいと思っている。
そのため、仲間にしたいと思ったメンツ全員、漏れなく、いい奴として描かれるシーンを用意してくれる。
例えば、ゾロのためにとある少女が作ったおにぎりが、色々あって床に落ちる。
だが、ゾロは汚れにまみれたおにぎりを拾って躊躇なく食べる。
ゾロの人間力に触れたルフィは仲間にしようと決意する。

確かに実写版は漫画版とのルックスは全然違う。
サンジの眉毛は、原作のクルクル巻きとは違ってノーマル。
でも中身は完全に原作のままだから、鑑賞していると、見た目の違いなんてまるで気にならなくなる。
ルフィも東南アジア系の俳優が演じているが、見終わったあとに改めて考えると、完全に彼はルフィだった。

ストーリーについてだが、ONE PIECEは一貫して海の厳しさを描いているなあと思った。

例えば、子どもの頃にルフィが出逢ったシャンクスが率いる赤髪海賊団は、みんなルフィに対して優しい。
海賊と聞くと怖いイメージがある。
でも彼らはまるで近所に住む兄ちゃんだ。

だが、いざ喧嘩を売ってきた山賊が銃を持ち出すと、赤髪海賊団の愛嬌担当のぽっちゃり男ルウは、躊躇なく敵に発砲し命を奪う。
若干ショッキングなシーンだが、これが現実。
海賊となって海に出たら、敵対する海賊だったり海軍だったり、自らの命を狙ってくる連中ばかりがひしめき合ってる。
だから、命を奪われる前に奪うしかない。
海賊として生きることはどういうことなのか、をスマートに見せてくれた好きなシーン。

またサンジのプロローグも、広い海の残酷さを見事に描いている。
ここはネタバレになるので直接、鑑賞して欲しいところ。
ONE PIECEの数あるエピソードの中でも名作の1つ。

そういえば、バギーも声優が素晴らしくて、あまりに滑稽すぎるキャラで笑わせてくれた。

一部、気になるところもある。
斧手のモーガンからグランドラインの海図を奪う流れとか、ウソップ編とか、若干グダグダ感があった。
端折るなり、あるいは原作を改編するなりしてテンポ良く作ることはできたと思う。

あと、ナミのプロローグの一部が端折られていたのが残念だった。
ベルメールさんがアーロンに立ち向かうシーンなど。

とはいえ、全体的には良く出来た素晴らしい作品。
実写は役者の年齢の問題があるので、すぐにでも続きを制作して欲しいところ。

 

いい人間ドラマが描かれているおすすめはコチラ。

■ドリームプラン

movies-ocean.hatenadiary.com

テルマ&ルイーズ

movies-ocean.hatenadiary.com

 

ONE PIECENETFLIX実写版)の作品情報

■監督:マーク・ジョブスト
■出演者:イニャキ・ゴドイ
新田真剣佑
エミリー・ラッド
ジェイコブ・ロメロ・ギブソン
タズ・スカイラー
WikipediaONE PIECE(NETFLIX実写版)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):83%
AUDIENCE SCORE(観客):96%

 

ONE PIECENETFLIX実写版)を見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:原作はコチラ、アニメ版はコチラ
Netflix○(見放題)
※2023年9月現在