■評価:★★★☆☆3.5
「人には裏の顔がある」
【映画】マスクガールのレビュー、批評、評価
『藁にもすがる獣たち』のキム・ヨンフン監督による2023年8月18日配信のスリラードラマ。
【あらすじ】自分の外見にコンプレックスをもつ会社員が、マスクで顔を隠してインターネットのライブ配信を開始。だが、次々と降りかかる不幸な出来事により、その人生は思わぬ方向に転がり始める。
最近Netflixに加入し直したのだが、1番のきっかけは『ONE PIECE』の実写版を観るため。
私の配信サービスとの付き合い方は、鑑賞したいドラマや映画があれば加入し、観終わったら解約する、といった具合。
貧乏な小説家の卵なので、節約は大事。
で、『ONE PIECE』だけ観るのは勿体ないので契約期間中に他の良い作品がないか探していたところ、韓国ドラマの『マスクガール』がTwitterやYouTubeなどのSNSで評判が良かったので鑑賞する運びとなった。
1話1時間前後で、全7話のコンパクトさもちょうど良い。
主人公キム・モミは、見た目に自信のない二十代後半のOL。
他者からもモミの外見の評価は低く、自己肯定感も低め。
何なら親にも容姿の乏しさを指摘されるから可哀想。
びっくりしたのだが、今のご時世で、平気で主人公に対して「ブス」とか、容姿をなじるキャラが出てくるのでびっくりした。
というのも、直近で観た実写版『ONE PIECE』では、ルフィが最初に戦う敵に女海賊のアルビダというキャラがいる。
原作版の『ONE PIECE』のアルビダはふくよかで容姿も人より劣ってる設定。
そのため、ルフィはアルビダの劣った容姿を大谷翔平もびっくりの超高速ストレートでガンガンいじる。
アルビダが出てくる1巻の発表時期は1997年。
対して2023年に公開された実写版の『ONE PIECE』は、アルビダはふくよかなだけで可愛らしい愛嬌のある女優が演じている。
今のご時世に合わせて容姿いじりも皆無。
時代の変化を肌で感じさせられた。
なので、『マスクガール』ではモミの容姿が貶されるシーンに驚かされた。
だが、個人的にフィクションであれば良いと思う。
フィクションですらコンプライアンスを気にしていたら作品のクオリティに影響が出てくる。
作品くらい自由に表現してほしいもの。
話を戻すが、モミは子供の頃から歌って踊るアイドルを夢見ている。
大人になっても夢は忘れられない。
そのため、マスクを被りマスクガールとなって配信サイトで踊りを披露するアイドル活動を始める。
この冒頭で、モミには一体どんな困難が訪れるのだろうか、とワクワクしながら鑑賞した。
個人的にはあまり、配信者を題材とした物語を観たことがないので、配信者の裏側とか知れるのかな、の期待した。
だが、意外にもシンプルな復讐劇の展開となった。
本作は展開が上手くてついつい先が気になる構造にはなっていた。
そのため、楽しく鑑賞できる物語だった。
でも、復讐劇の展開は個人的にはあまり望んでなかった。
韓国映画といえば復讐劇、といったイメージがあるくらい、名作の復讐劇はたくさん存在する。
何者かに誘拐、監禁され、何故か15年経って解放された男を描いた『オールドボーイ』。
最愛の妻の命を奪った犯人を、警察官の主人公が逮捕せずにひたすら捕らえて痛めつけて解放してまた捕らえる、という鬼畜映画『悪魔を見た』など。
ちょっと考えるだけでぼろぼろとタイトルが出てくる。
なので『マスクガール』は異なるベクトルで見せて欲しかった。
例えば、配信サイトで有名になる流れなので、『押しの子』のような韓国の芸能の闇を描くとか。
あるいはタイトルにもなっているマスク、つまり、人間には誰しも裏の顔がある、といったテーマを掘り下げて刺激的なドラマを見せてくれたりなど。
復讐は既視感が強いので、あまり新鮮さを覚えることはなかった。
マスクを被ってアイドルをする、という設定はめちゃくちゃ良かったので残念。
あと、キャラクターも魅力的だった。
ミモはもちろん、彼女の職場の上司や同僚など、特徴のあるキャラクターは多い。
個人的には、お水で働く女性がいるのだが、彼女の現状に至る過去は印象的だった。
本作は、特に次に観るものがない人ならおすすめしたい。
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■エスター ファースト・キル
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マスクガールの作品情報
■監督:キム・ヨンフン
■出演者:イ・ハンビョル
ナナ
コ・ヒョンジョン
アン・ジェホン
ヨム・ヘラン
■Wikipedia:マスクガール(英語版)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):100%
AUDIENCE SCORE(観客):79%
マスクガールを見れる配信サイト
U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:-
Netflix:○(見放題)
※2023年9月現在