■評価:★★★☆☆3.5
「サイコパスが引き寄せるもの」
【映画】エスター ファースト・キルのレビュー、批評、評価
ある家族に養子として引き取られた美少女エスターが巻き起こす惨劇を描く2009年10月10日公開のホラー映画『エスター』の続編。
【あらすじ】エストニアにある精神病院から脱走した女性リーナ。そんな、彼女の外見はホルモン異常により少女のままだった。やがて、彼女は自らの容姿に似た少女エスターを利用してとある計画を企てる。
前作『エスター』のネタバレあり
前作のネタバレになるが、少女に見えるエスターは、実は発育不全のため、成長しない体質だった。
子供の様相のエスターの実年齢は33才だった、というホラー映画としては何とも不気味で恐ろしい設定だった。
ホラー映画ファンとしてはオリジナリティ溢れるアイディアを堪能できて、最高の映画体験だった。
『エスター』はホラー映画ファンからは評価されている映画なので、期待通りの良作で楽しめた。
本作は2007年に公開された『エスター』の続編。
あらすじは前日譚となる。
びっくりなのが、前作、エスターを演じた女優が、再び、本作でも演じるというぶっ飛んだキャスティングである。
当時12〜13才だった女優さんはもちろんエスターと同じ発育障害ではない。
13年後に制作された本作では20代半ばの立派な大人の女性。
そのため、演技時は膝立ちで行ったり、背後からエスターを映すときは代役の子役を使ったり、かなり工夫して撮影されたそう。
個人的には良くないキャスティング。
なぜなら、違和感でしかないので、悪い意味でエスターが気になって仕方ない。
まず、エスターの顔が完全に大人の女性。
いくら子供に見えるように撮影を工夫しても、顔がただの大人なので自分の中で腑に落ちない。
結果、序盤は物語に集中できなかった。
前作の女優をキャスティングした制作陣の気持ちは分かる。
前作はホラーファンからの評判が良かったから、ファンを喜ばせたかったのだろう。
だが、あまりにも違和感があったので、思い切って普通に子役を使ってもらいたかった。
ファンから批判されたくない気持ちもあっただろうけど、一本の作品としては、子役を使ってくれたほうが作品価値が高まる印象。
ストーリーについて言及するが、中盤までは至って普通だった。
あえて前日譚を描く必要がないと思える凡庸なシナリオ。
そのため、流し見に近い感じで気を抜いて鑑賞していた。
だがしかし、である。
中盤辺りで、天地がひっくり返るようなイカれた展開に脳髄に硫酸をぶっ掛けられた気がした。
本作の一番の盛り上がりポイントだし、この展開を思いついただけで、本作は映画として成功している。
すっかりエスター役の女優の違和感を忘れて、物語の先の展開に釘付けになった。
本作は割と世間からの評判が良い印象。
恐らく、この展開が素晴らしいからであろう。
良く、続編=駄作の映画あるあるを耳にする。
本作は、前作に負けず劣らずのドンデン返しを見せてくれるので、前作を楽しめた人は期待して鑑賞して良い。
キャラクターについても言及したい。
エスターのキャラクターはやっぱり魅力的だった。
成長ホルモンの関係で実は大人っていう設定はもちろんだが、歯医者が嫌いで、歯がボロボロという設定が私はかなり好き。
やっぱり人は歯が汚い人に嫌悪感に示すし、一定の距離を置きたくなる。
誰でも歯以外にも肌が汚かったり、服装がだらしなかったりする人より、清潔感がある人のほうが信用できる。
もはや生理現象レベルの根源的な人の性質。
だからこそ、エスターのボロボロの歯を入れ歯で隠している設定は最高だった。
他にも家族のキャラクターも全員良かった。
時に父とエスターの関係性も良い。
映画としてはキャラクターもシナリオも優れたシリーズなので、人に勧めたくなる。
天地がひっくり返る展開に胸が踊る作品はコチラ。
■カササギ殺人事件
■アンテベラム
■タコピーの原罪
エスター ファースト・キルの作品情報
■監督:ウィリアム・ブレント・ベル
■出演者:イザベル・ファーマン
ジュリア・スタイルズ
ロッシフ・サザーランド
マシュー・アーロン・フィンラン
ヒロ・カナガワ
■Wikipedia:エスター ファースト・キル(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):70%
AUDIENCE SCORE(観客):77%
エスター ファースト・キルを見れる配信サイト
U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(見放題)、○(Blu-ray)、前作はコチラ
Netflix:-
※2023年8月現在