映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

映画『ハンガー・ゲーム』ネタバレなしの感想。10代の男女24人が命を奪い合う

■評価:★★★☆☆3.5 

 

「命を奪う倫理観」

【映画】ハンガー・ゲームのレビュー、批評、評価

 

『ビッグ』『シービスケット』『オーシャンズ8ゲイリー・ロス監督の2012年9月28日公開のスリラー映画。
スーザン・コリンズのシリーズ小説『ハンガー・ゲーム』を原作とする。

 

【あらすじ】パネムという名の独裁国家と化した近未来アメリカでは、キャピトルが政治の中心であり、キャピトル市民は貴族的特権を得ている。反乱の抑止を目的にキャピトルを囲む12の各地区から、12歳から18歳までの男女1名ずつが選出され、男女24人が命を奪い合うサバイバル「ハンガー・ゲーム」が強制されていた。

 

本作は同名タイトルの原作小説の映像化となる。
本作で批評家やらから良く語られていたのは、日本が誇る名作デスゲーム小説及び、同名タイトルの実写映画『バトルロワイヤル』との類似性。
バトルロワイヤルは、とある中学の一クラスが修学旅行中に政府に拉致られ、命を奪い合うといった内容。
昨日まで友達だったやつに刃を向けられる展開に度肝を抜かされ、当時は社会現象になった。

バトルロワイヤルの原作本が刊行された約十年後の2008年9月14日に、本国アメリカで『ハンガー・ゲーム』の小説が刊行されている。
バトルロワイヤルは2000年12月16日に日本で映画版が公開され、海を渡って世界中でも公開されている。
特にハリウッドの映画監督、クエンティン・タランティーノは『バトルロワイヤル』の大ファンで、特にお気に入りとなった千草というキャラを演じた栗山千明をえらく気に入り、自身の監督作品『キル・ビル』にオファーしている。
明らかに『バトルロワイヤル』より後に刊行されているので類似性を指摘されるのも無理はない。

話を戻すが、『ハンガー・ゲーム』は興行収入が良く、続編も3本、作られている。
とはいえ、『バトルロワイヤル』の劣化版のイメージが強かったので、私はずっと視聴を敬遠していた。

だが、最近は監視社会の作品を貪っていたので、せっかくの機会なので鑑賞してみた。

第一印象は、前フリがとてつもなく長い。
例えば『バトルロワイヤル』だと、冒頭で修学旅行中の一クラスが乗ったバスが軍に強襲され、生徒らは島の廃学校に連行される。
最低限のルールの説明が終わると、1人ずつ、物資の入ったリュックを、渡され、学校から追い出される。
始まって十五分くらいでゲーム開始となる、とんでもないスピード感。
生徒らも冷静になる暇もなく、友人たちにナイフや銃を、向けることになる。

一方で『ハンガー・ゲーム』は真逆である。
冒頭は主人公の日常生活の様子が描かれる。
次に、戦闘に参加する連中が選別され、試合会場に新幹線で向かう。
新幹線では試合に参加する特典として豪華な食事が与えられる。
場所に着いたら、オープニングセレモニーのため、衣装を決める。
その後、数日間、武器を使って訓練し、いざ本番を迎える。

『バトルロワイヤル』とはえらい違いである。

まず気になったのが、オープニングセレモニー。
これから命を奪い合うっていう時に、参加者たちはゴージャスな纏い、観客たちにアピールする。
(アピールするのには理由があり、スポンサーを募るため。試合が始まると、スポンサーが支援物資をくれたりするので、生存確率が上がる)

そんな余裕ないだろって思う。
主人公は乗り気ではないものの、渋々受け入れるのが理解に苦しんだ。
更にはこれから命を奪い合う相手が見ている中で、武器を持って訓練する意味も良く分からない。
訓練になんか身に入らないだろうし、生き残れるのはたった1人。
なのに、仲間を作ってワイワイやっている連中の行動にも理解に苦しむ。
あんまり作者は、読者の心境を汲み取れないのかなと思った。

いざ試合が開始するのは上映時間1時間半頃から。
あまりにもテンポが遅すぎる。

また、ラスボス的な魅力的な悪役を配置してほしかった。
『バトルロワイヤル』には、むちゃくちゃ印象的な悪役が、何なら複数いる。
俺だったらどうやって倒そうか、と鑑賞しながら頭をフル回転させた。
だが、本作は突出してヤバそうな敵がいないので緊迫感に欠ける。

というか全体的に、キャラクターの魅力には乏しかった。
ハンガー・ゲーム』を運営する連中も含め、誰かに語りたくなるようなユニークな特徴を持ったキャラは皆無。
せっかくのバトルものなのだから、キャラの特技を用いて戦闘に活かして欲しかった。

例えば『バトルロワイヤル』に出てくる三村というイケメンがいる。
頭が良く、試合中は持ち込んだパソコンで、政府のシステムをハッキングしようとする。
性的には活発で悪知恵の働く相馬光子は、友達を騙してでも優勝をもぎ取ろうとしていた。

『バトルロワイヤル』と比べると見劣りする箇所が多く、こんな感じで引っ掛かりのある箇所はものすごく多い。

でも、いざ試合が始まったら、そこそこは楽しかった。
途中でルールが変わったりと、意味のわからない展開もあった。
でも極限状況下で描かれる人間心理には思わず入り込んだ。

『バトルロワイヤル』と比べると、参加人数が少ないので、ドラマを見せやすいし、感情移入もできた。
期待し過ぎずに鑑賞すればそこそこ楽しめると思う。

 

サバイバル要素のあるおすすめ作品はコチラ。

バトルランナー 

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■ビリーバーズ

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ハンガー・ゲームの作品情報

■監督:ゲイリー・ロス
■出演者:ジェニファー・ローレンス
ジョシュ・ハッチャーソン
リアム・ヘムズワース
ウディ・ハレルソン
ウィロウ・シールズ
アマンドラ・ステンバーグ
Wikipediaハンガー・ゲーム
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):84%
AUDIENCE SCORE(観客):81%

 

ハンガー・ゲームを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
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Netflix:-
※2023年9月現在