■評価：★★★☆☆3.5
「年齢を重ねる怖さ」
【映画】X エックスのレビュー、批評、評価
『インキーパーズ』『V/H/S シンドローム』『サクラメント 死の楽園』のタイ・ウェスト監督による2022年7月8日公開のホラー映画。
【あらすじ】1979年、テキサス。6人の男女が、それぞれの野心と思惑を胸にポルノ映画を撮影するため、老夫婦が暮らす農場の離れを訪れる。しかし、彼らに場所を提供した夫はどことなく落ち着きがなかった。
本作は映画配給会社A24が手掛けたスリラー映画。
A24といえば、尖った低予算系の作品を多くの世に送っている印象がある。
例えば、円満な家庭を築き、子宝にも恵まれている医者の男が謎の青年に金品を貢ぎ続ける『聖なる鹿殺し』。
人工知能が組み込まれた謎の美人アンドロイドとしばらく共存することになる『エクス・マキナ』。
子供の頃に誘拐され、世間を知らない少年が町に放たれる『ルーム』。
アカデミー賞の常連で、ユーモラスなアイディアに富んだ作品が多く、私を含むたくさんの映画ファンから注目されている。
今までは、映画監督や出演する俳優で観る映画を決める事がほとんど。
そのため、映画配給会社が注目されるというのは、不思議で面白い時代だと思う。
A24映画は個人的には好きな作品が結構ある。
こだわりを持って作られた作品が多いので、A24に所属してる連中は心の底から映画が好きで、映画の素晴らしさを世に広めたくて仕方ないんだろうなと思う。
A24作品を観ていると、彼らの熱量が映像を通じて伝わってくる。
本作に話を戻す。
2023/8/7現在、『Perl』が上映され、ヒットしている。
本作は元々三部作の予定で、『Perl』は2作目に当たる。
『Perl』に関心があったのと、設定が面白かったので、アマプラに配信されていることもあって鑑賞するに至った。
本作はキャラクターが素晴らしかった。
アダルティーな映画を作って一獲千金を目論む男女合わせて６人が、撮影場所として人里離れた田舎の家を借りる。
管理人の老夫婦が実は凶悪なサイコキラーだった、という話。
老夫婦がとにかく良かった。
特に老婆パールは世の中に対しての憎しみが凄い。
若い頃は美人でちやほやされていた。
当時、ダンサーとして活動することを夢見ていた。
だが戦争が勃発し、自分のやりたいことができないまま、老婆になってしまった哀れな女性。
そのため、未来に希望を抱く若者を見ると嫉妬で気が狂い、殺意が芽生えるのだ。
本作をあまり評価してない人もいるが、恐らく若い人が大半だと思う。
私は今年で４０のおっさん。
パールの気持ちが痛いほど良く分かる。
４０にもなると、スキンケアや頭皮のマッサージを頑張っても白髪やシワも増え、見た目は老いてくる。
最近は５５００円のシワに効果のあるクリームを購入しようか検討中。
また、体力も減り、疲れやすくなってしまった。
体力作りをしようと運動をしても、疲れが翌日に残る。
結果、倦怠感は拭えない。
頭の回転も鈍くなり、会話をしていると物忘れが頻繁に発生する。
最近は、テーブルの下に転がった定期を二十分かけて探し続けたこともある。
私は小説家を、目指して書き続けているが、たまに自暴自棄になる。
40という良い年齢なのに、本当に書き続けて成果は出るのか。
時間が無駄だから止めたほうがいいのでは。
でも止めたら俺には何が残るんだ。と。
年を重ねることに精神も肉体も脆弱化が進む。
色々とネガティブになることもあるが、私は夢を諦めることはない。
書いてて楽しいから。
先生に添削してもらい、修正することで成長を実感するから。
きっと成果が出るまで書き続けるんだろうなと思う。
私はパールにはならない。
でもパールの心理は理解できる。
パールからしたら私は若造かもしれないが、でも分かる。
そのため、本作は年を取れば取るほど刺さる映画になっている。
スリラー映画なのに色々と、考えさせられる設定になっているのは面白い。
現在公開中の2作目の『Perl』は、説明するまでもないが、老婆パールの若い時代を描いている。
確実に鑑賞する予定。
印象的なテーマを描く作品のおすすめはコチラ。
■BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係
■テルマ&ルイーズ
X エックスの作品情報
■監督：タイ・ウェスト
■出演者：ミア・ゴス
ジェナ・オルテガ
マーティン・ヘンダーソン
ブリタニー・スノウ
■Wikipedia：X エックス（ネタバレあり）
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家)：93%
AUDIENCE SCORE(観客)：75%
X エックスを見れる配信サイト
U-NEXT：－
Hulu：－
Amazonプライムビデオ：○(吹替・見放題)、○(字幕・見放題)、○(Blu-ray)
Netflix：－
※2023年8月現在
