映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

映画『ロスト・エモーション』ネタバレなしの感想、遺伝子操作で感情を排除した人間の共同体を描く

■評価:★★★☆☆3.5 

 

「愛」

【映画】ロスト・エモーションのレビュー、批評、評価

 

2017年3月4日公開のSFスリラー映画。

 

【あらすじ】世界戦争によって地上の99.6%が破壊された近未来。滅亡の危機に瀕した人類は、人類を破滅させる元凶は感情だと結論付け、平和的に人類が生存できるよう遺伝子操作で感情を排除した人間の共同体「イコールズ」を創った。「イコールズ」に暮らす人間は保健安全局の監視下に置かれ、愛情や欲望をはじめとする感情が芽生えた場合、「発症」したとして隔離施設に強制収容され、安楽死させられていた。そんな中、「イコールズ」に暮らす1組の男女サイラスとニアは危険だと知りつつも惹かれ合い、ついに恋愛感情を「発症」してしまう。2人は外の世界への脱出を決意する。

 


監視社会のディストピアな世界観を描いた映画、といった前情報のみで鑑賞した。
『エイリアン』『ブレードランナー』などのリドリー・スコットがプロデューサーとして関わりがある以外は、目立った特徴のないマイナーな映画。

雰囲気は良かった。
国民は没個性を徹底的させられているかの如く、全身真っ白な服装に身を包んできる。
主人公が勤務する職場も病的に清潔感があり、無駄なものが一切配備されていない無機質な雰囲気。
いかにもディストピア的な近未来感が漂っている。

だが、ツッコミどころが多すぎる。
この世界では感情を出したら病と認定される。
本編では主に恋愛感情について語られる。
恋愛感情が生まれてしまったら、SOSという病と認定され、感情を抑制する薬が配られる。
更には他の感情未発症者からは冷たい目で見られ、迫害の対象となる。

設定自体は良い。
対立が容易に想像出来るので若干、安易には思えるが、分かりやすいので。
だったら、何で平気で男女を共存させているのだろうか。
主人公らが働く職場では、普通に人種や性別問わず、すべて人間が規制なく、出入りする。
恋愛感情を悪とするならば、最初から男女ごとに過ごす職場や施設を変えたら良い。
漫画『狂四郎2030』では、優生思想を持つゲノム党が統治しており、男女隔離政策を取られる世界が描かれる。

話を戻すが、本作では同性に恋する人がいる。
いっそ、人と接することが出来ない世界観のが、観客からしたらスッキリして鑑賞できる。

ツッコミ出来る設定の穴が大きすぎて、個人的には本作に入り込めなかった。
主人公らは恋したり何なりで、様々な葛藤に苦しむ猫写がある。
そりゃ、たくさんの女子と暮らしていれば恋愛感情が生まれるのは当然。
一応、遺伝子操作で感情を廃する処置はしているみたいだが。
何だかごっこ遊びをしてるように見えてしまい、あまり感情移入して鑑賞することはできなかった。

あと細かいところだけど、仕事を何しているのかが良く分からなかった。
劇中では出版関係の仕事をしていると語られていた。
でも何で出版なのかがいまいち分からない。
あと、恐らく編集的な作業をしているようなんだが、何をしているかも不明だった。
この世界観ならではのユニークな仕事のアイディアを練って欲しかった。

とはいえ、良かった箇所もある。
主人公は恋をしてしまい、さあどうするのか、が本作のメインのストーリーとなる。
ここからの主人公を追い込む怒涛の展開は素晴らしかった。
「もし自分だったらどんな選択、あるいはどのようにして困難を突破するだろうか」と思わず考えてしまった。
そのくらい主人公の追い込まれっぷりは容赦なかった。
キツイ展開が今数える限りだと3回訪れた。

もはや自分の立場だったら諦めてしまうほどに、八方塞がり状況。
上記の設定の作りの甘さのため、あまり世界観に入り込むことはできなかった。
でも最終的には主人公らに感情移入し、幸せになれるように応援してしまった。

結論としては、監視社会系の物語に興味があったら鑑賞しても良いと思う。
クライマックスの怒涛の展開だけは見応えがあった。
全体的にクオリティの高い作品を求める人には推奨はできない。

 

 

愛をテーマにした作品のおすすめはコチラ。

KAPPEI カッペイ

movies-ocean.hatenadiary.com

 

ロスト・エモーションの作品情報

■監督:ドレイク・ドレマス
■出演者:ニコラス・ホルト
クリステン・スチュワート
ガイ・ピアース
Wikipediaロスト・エモーション
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):36%
AUDIENCE SCORE(観客):42%

 

ロスト・エモーションを見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:○(見放題)
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)○(DVD)
Netflix:-
※2023年8月現在