映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

映画『高慢と偏見とゾンビ』ネタバレなしの感想。18世紀末イギリスでゾンビと戦う五人姉妹の恋を描く

■評価:★★★☆☆3

 

「3つの対立軸の絡み合い」

【映画】高慢と偏見とゾンビのレビュー、批評、評価

 

セブンティーン・アゲイン』『10日間で男を上手にフル方法』(脚本)のバー・スティアーズ監督による2016年9月30日公開の恋愛映画。
原案はジェイン・オースティンの『高慢と偏見』をベースとして執筆されたセス・グレアム=スミス著の同名小説。

 

【あらすじ】18世紀末のイギリス。田舎に住む5人姉妹は、カンフーでゾンビと戦う日々を過ごしていた。そこへ高慢な騎士がやってくる。次女は彼を毛嫌いするが、2人の関係は徐々に変化。そして共にゾンビと戦うことになる。

 

オリジナリティ溢れる設定の作品を探してGEOに足を運んだら、本作が目に止まったので鑑賞に至った。

本作は、1813年に刊行された『高慢と偏見』というイギリス人作家が書いた古典恋愛小説を原案としている。
古典小説をベースにゾンビを盛り込むという、何とも大胆でイカれた発想である。
日本で言い換えるなら『源氏物語』にゾンビが出てくるイメージだろうか。
源氏物語』は読んだことはないけど、調べたら平安時代の物語だそう。
十二単衣を着た女子たちがゾンビと戦うとか、カオスな映像が頭に浮かぶ。
誰も作ったことはなさそうなので何気に面白くなりそう。

話を戻すが、本作のざっくりとしたストーリーは、ゾンビ退治の能力に優れた中国武術の使い手の5姉妹がいて、長女が名家の金持ちに気に入られるという流れ。

舞台となる18世紀のイギリスでは、現代とは女性は自立出来る仕事がほとんどなく、結婚こそが一番の目的で、女性は良い相手との結婚こそが幸せになる、といった偏った価値観だったそう。
本作では金は持ってるんだろうけど、バカそうな神父であったりが、彼女らにいやらしい顔をして近づいてくる。
自分の求婚を断ろうもんなら「後悔するぞ!」といわんばりかりの男尊女卑感が満載。
私は男たが、今の時代がいかに自由で好き勝手に生きれているかを再認識させられる。

本作で良かったのがキャラクター。
タイトルにもなっている高慢と偏見が対立する。
金持ちの友達であるイケメン、ダーシーは高慢。
主人公である次女のエリザベスはダーシーをひどく嫌悪する。
だがエリザベス自身にも問題があり、ダーシーを深く知ろうとせず、偏見で彼を悪く見ていた。
このシンプルで雑味のないキャラクター性がわかりやすく対立を描いてくれていたので、観やすかった。
というのも本作は登場人物が多く、主人公姉妹だけで5人もいる。
そのため、正直、誰が長女で誰が主人公の次女なのかが、鑑賞していると、しばらくは混乱していた。
更には、姉妹に近づく男たちもたくさんいるし、彼らがどんな役職なのかも分からないので顔と名前を一致させるのが一苦労。

でも、ダーシーとエリザベスの高慢と偏見なキャラ性を目立つように描写しているので、ストーリーの筋を追うことは容易かった。

とはいえ、ストーリー自体の面白さは別。
ゾンビは人間の脳が好物であるとか、人の意識を保ったゾンビがいるとか、独自のルールがあるのは良い。
だが、このルールの活用の仕方が個人的にはエンタメ的に活用しきれていない印象があり、そこまで面白いとは思えなかった。

世界観は個人的には好みだった。
私は今までたくさんのゾンビものを観てきているゾンビ映画ファン。
走るゾンビに追いかけ回される『ドーン・オブ・ザ・デッド』とか、邦画なら凡人の男が道中で仲良しになった女子2人をゾンビから守る『アイアムアヒーロー』とか。
ゾンビ映画は名作も多いので大好物。

既存のゾンビ映画のほとんどは現代が舞台となっている。
だが、本作は18世紀のイギリスにゾンビにいる世界観。
クラシカルな服を着た連中がゾンビと戦うルックは鮮度が高くて良かった。
オリジナリティのある世界観に興味があれば鑑賞しても良いと思う。

 


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高慢と偏見とゾンビの作品情報

■監督:バー・スティアーズ
■出演者:リリー・ジェームズ
サム・ライリー
ジャック・ヒューストン
ベラ・ヒースコート
ダグラス・ブース
マット・スミス
チャールズ・ダンス
レナ・ヘディ
Wikipedia高慢と偏見とゾンビ(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):47%
AUDIENCE SCORE(観客):45%

 

高慢と偏見とゾンビを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)○(Blu-ray)、原案①はコチラ、原案②はコチラ
Netflix:-
※2023年9月現在