■評価:★★★☆☆3
「プライバシーを失った世界」
【映画】ANON アノンのレビュー、批評、評価
『ガタカ』『トゥルーマン・ショー(脚本)』『ロード・オブ・ウォー』『TIME/タイム』『ドローン・オブ・ウォー』のアンドリュー・ニコル監督による2019年1月4日公開のSFスリラー映画。
【あらすじ】人間の記憶が記録、検閲される近未来では、犯罪がなくなった一方でプライバシーが失われた世の中になっていた。そんな中、殺人事件が発生。そして事件に個人を特定されない「記録のない女」の関与が発覚する。
人の目から見た記憶が閲覧され、抑圧されている近未来が舞台となっている。
設定からしてむちゃくちゃ面白そうである。
過去に『TIME』のような名作SFを作った監督作品なので、一定の期待をもって鑑賞した。
『TIME』は不老不死を実現し、時間が通過の代わりとなった未来を描いた作品。
世間は吹き替えを酷評する声があるが、ストーリーが斬新しすぎて最高に面白い。
また個人的には吹き替えで鑑賞したが、批判するほどのことでもないと思った。
話を戻すが、本作の主人公は、刑事。
そのため、冒頭から人の記憶にアクセスし、その人が見てきた記憶を脳内で再生することで捜査を進めたり、犯人の証拠を掴んで逮捕に至ってる。
この設定の世界だと何だか、警察という組織が不要、あるいは重宝される存在ではなきように思えてくる。
なぜなら遺体からも記憶を確認することが可能である。
そのため、人の命を奪うといった重罪人は記憶を探ることですぐに捕まえられる。
現実世界と比べると、捜査がかなり簡略化されるので、現代のような高い練度が求められるような捜査能力はいらなくなってくる気がする。
つまりこの世界の警察は資格不要で誰でもできる仕事に成り下がっている印象である。
主人公の周りでは、奇妙な命の奪われ方をする連続の事件が発生する。
どうやら、ターゲットは視覚を奪われ、良く分からないうちに犯人に射撃されている。
そんな慌ただしい中で主人公は記憶を一切持たない女性を見かける。といったストーリー。
展開は結構面白かった。
世界観ならではのオリジナリティ溢れるストーリーを見せてくれるので先が気になる。
特に視界を奪われるという設定が、本作の世界感のオリジナリティとなっていて良い。
また本作は近未来設定を、主に視覚周りで演出している。
楽しみ方が絞られているので、観客からしたら見やすかった。
空飛ぶ車が出てきたりと、様々な近未来要素をてんこ盛りで見せても良いが、やっぱり視覚に絞ってユーモラスな展開を集中的に見せてくれると、ストーリーに入り込みやすいと個人的に思えた。
ただ全体的には微妙だった。
思ったほどの謎の記憶を持たない女性が普通だった。
ミステリアス感はあるんだけど、物語が進むにつれて女性が画面に出てきたから、ワクワクするほどの吸引力はなかった。
あと、近未来設定なので、過去作の『TIME』のほうが設定としてはぶっ飛んででエンタメを見ている感があった。
時間が通貨として使われる世界なんて、考えたこともない。
とはいえ、「時は金なり」なんて言葉があるくらい時間は貴重なもの。
そのため、斬新過ぎてついていけない、といったことはないのだ。
『TIME』のイカれた設定に比べたら、本作はおとなしめな印象。
やけに上品な雰囲気も良かったけど、思ったほどの刺さらなかった。
SFのおすすめ作品はコチラ。
■天国大魔境
■アンダーニンジャ
ANON アノンの作品情報
■監督:アンドリュー・ニコル
■出演者:クライヴ・オーウェン
アマンダ・サイフリッド
■Wikipedia:ANON アノン
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):36%
AUDIENCE SCORE(観客):34%
ANON アノンを見れる配信サイト
U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・見放題)、○(字幕・見放題)、○(DVD)
Netflix:-
※2023年8月現在