映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

映画『プアン/友だちと呼ばせて』ネタバレなしの感想。病で余命宣告を受けた青年が友人と共に元彼女に会いに行く

■評価:★★★☆☆3

 

「自分を形作るもの」

【映画】プアン/友だちと呼ばせてのレビュー、批評、評価

 

『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』のナタウット・プーンピリヤ監督による2022年8月5日公開のドラマ映画。

 

【あらすじ】ニューヨークでバーを経営するボス。タイで暮らす親友ウードが白血病で余命宣告を受ける。彼の最後の頼みを聞き入れ、バンコクに駆けつけたボスは、ウードが元恋人たちを訪ねる旅を運転手としてサポートする。

 

いかにも単館系で『ゴジラ -1.0』で盛り上がる一般層には縁のなさそうな地味な作品。

タイ映画(厳密には中国・香港・タイの共同制作)の本作を鑑賞するキッカケは、監督の前作『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』が斬新な意欲作だったため。
貧しい暮らしをする主人公の女の子は優秀な高校生。
ある日、金持ちの同級生に依頼されて、金儲けのためにカンニングを手伝う、といった内容。

私は物語オタクなので、映画、小説、マンガ、アニメ等を合わせて何千と、多くの種類の物語に触れてきた。
だが、カンニングをテーマとした物語は初めてだったので、とても興味を刺激された記憶がある。
タイといったら、日本と比べると発展途上国の印象が強い。
またタイのアイコン的な映画ジャンルといえばムエタイ映画。
『チョコレートファイター』や『トム・ヤム・クン』など、いくつかの名作も観ており、差別する訳では無いが、泥臭い映像が多い。

だが、『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』は映像が無茶苦茶キレイだった。
映像だけではなく、主人公が通うのが進学校なので、建物も通う生徒の身なりも整っている。
色んな意味でタイ映画の常識を覆してくれた監督の最新作なので、大きな期待を持って鑑賞した。

本作はまず設定が好みだった。
主人公は、白血病で余命宣告された青年。
彼は最後に親友と共に、かつて世話になった元カノたちに会いに行くストーリー。

なんと女々しい男なのだろうか。
女性だったら、彼の行動には男らしさに欠けて共感出来ないだろうなと思う。
だが、男である私は何となく理解が出来る。
特に私は今まで付き合ってきて女性に、人間として育てられた実感があるから。

例えば、食べ物。
一人暮らしを始めたとき、真っ先に困ったのは金だった。
バイト生活ではあったが、手取りは27万くらいもらい、一人暮らしの家の家賃は5万。
普通なら貯金も出来るくらいなのだが、給料日一週間前には、残金が千円ちょっとという貧困っぷりだった。

理由は1つで、食い物はすべて近くのスーパー【オオゼキ】のお弁当やマクドナルドなど、買い食いで済ませていたから。

だが、1人暮らしを始めて付き合った彼女には、生活の知恵を教わった。
レトルトカレーは安いから良いよ。薬局だと特に安く買える」
「電子レンジは買いなよ。冷凍食品が食べられるようになるから」
「耐熱容器を買えばレンジでサッポロ一番が食べられるよ」

他にも服だったり、ドラッグストアや雑貨屋の便利なモノだったり、生活に必要なことをすべて教えて貰えた。

だから、本作の主人公が元カノに感謝を伝える旅をする行動には理解できた。
男なんて女性がいないと生きられない貧弱な生き物。

あと、個人的にツボだったのが、異国で奮闘する設定も青春感があって良かった。
主人公の親友はニューヨークでバーを経営している。
開かれた希望に邁進するって良い。
私も過去にニューヨークに留学経験があるので、ホームから遠く離れた地で生きる様には目を見張るものがある。

で、全体的には、そこそこの印象だった。
上記で挙げたツボをついた設定はあった。
だが、物語は地味だった。
前作のカンニング特有のスリリングな刺激は皆無。
ただただ元カノに会いに行く姿が流れるだけ。
終盤にちょっとしたどんでん返しはあったのは良かったが。
でも鑑賞後の記憶に残る程でもない。

起伏の緩い玄人向けの映画の印象。
個人的には、もう少しエンタメに振った作品を観たかった。

 


開かれた希望に邁進する主人公を描く作品のおすすめはコチラ。

BLUE GIANT

movies-ocean.hatenadiary.com

アンチャーテッド

movies-ocean.hatenadiary.com

サンクチュアリ 聖域

movies-ocean.hatenadiary.com

ONE PIECENETFLIX実写版)

movies-ocean.hatenadiary.com

 

プアン/友だちと呼ばせての作品情報

■監督:バズ・プーンピリヤ
■出演者:トー・タナポップ
アイス・ナッタラット
プローイ・ホーワン
ヌン・シラパン
ヴィオーレット・ウォーティア
オークベープ・チュティモン
Wikipediaプアン/友だちと呼ばせて
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):67%
AUDIENCE SCORE(観客):-

 

プアン/友だちと呼ばせてを見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:○(有料)
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)○(DVD)
Netflix:-
※2023年11月現在