映画『ベイビーわるきゅーれ』ネタバレなしの感想。プロの殺し屋である女子高生コンビが卒業を機に社会人になる

■評価：★★★★☆4

「女性が見せるアクションのスタイリッシュさ」抜粋へ

【映画】ベイビーわるきゅーれのレビュー、批評、評価

『最強殺し屋伝説国岡』『ある用務員』『グリーンバレット』の阪元裕吾監督による2021年7月30日公開のアクション映画。

【あらすじ】プロの殺し屋である女子高生コンビが、卒業を機に表の顔として普通の社会人を演じることになる。しかし、人殺ししかしてこなかった彼女たちは、社会に馴染もうと悪戦苦闘する。

これまで女性主人公のアクション映画はいくつか見てきた。
例えば、タイの『チョコレート・ファイター』では、発達障害が上手く話せない中学生くらい少女のリアル・アクション映画。
あるいは、小学生くらいの年齢の少女が肉弾戦やら重火器やらを用いてヒーロー活動をするハリウッド映画『キック・アス』などが主に挙げられる。
『キック・アス』はリアルアクションというよりかは、主演のクロエ・グレース・モレッツの可愛さが全面に押し出されたアイドル映画の要素が強い。
が、ルックスの良い少女が、顔に似合わない下品な言葉を吐き散らしながら見せるアクションは普通に面白い。

本作は日本制作で、高校を卒業したばかりの若い女性のコンビによるリアル・アクション映画となる。

邦画で女性主人公がリアルガチの格闘を披露する映画を観た記憶がないので、かなり興味を持って鑑賞した。

冒頭で、コンビニ店内で第一の見せ場の格闘シーンがある。
正直、この一連のアクションパートはあまり好みではなかった。

個人的な意見なのだが、アクション映画は一歩間違えたら命を落とすヒリヒリ感を描いて欲しいと思ってる。
リアルに命をかけた戦いをするとなると、一瞬の隙の見逃さない瞬殺劇になると思う。
もしくは、実力が限りなく近いもの同士だと、間合いの取り合いとなり、逆にどちらも攻撃せずに時間だけが進む。

でも本作のコンビニでのバトルでは、平気で敵の間合いに近づいたりと、リアルならあり得ないと思える立ち回りが目立った。
そのため、あんまり緊張感がなかった。
この程度のアクションなのかと思い、期待せずに視聴を進めた。

ところが、どんどん物語にのめり込んでしまった。
2人のキャラが爆発的に魅力的。
命を奪う仕事を生業としているせいで、まるで生活力がない。
まともに飯は作れないし、人とコミュニケーションも取れない。
また、一般人になりきるためにバイトをしたりするんだけど、まるで上手く行かない。
人の命を奪う能力は桁外れに高いのに、社会不適合者、というキャラクター性がツボに入った。

また二人とも可愛らしいルックスをしているので、色んな面でギャップになっている。
格闘技術は高かったり、今まで多くの修羅場を乗り越えてきたのか、ピンチに陥っても平然と対処するメンタルの強さを見せる。

敵キャラは普通の印象。
敵陣営の狂ったギャルみたいなキャラがいて、面白かったけど、もう一癖欲しいかなって思う。
ギャルの親父も狂った人間ではあるが、キャラ性としては鮮度は薄く、イマイチな印象。
本作のラスボスも何かの能力に長けている特徴が欲しかった。
ただ普通に強いやつ、という設定なのは物足りなさを感じる。

あと、メインの見せ場以外のストーリーの展開のために必要な細かいバトルは全部、瞬殺劇なのが良かった。
やっぱり、先進国である日本で命を奪う生業をするなら隠密×瞬殺が基本。
誰かに見られれば、警察に逮捕されるリスクがあるので。
また、命の奪い方をユーモラスに、スタイリッシュに見せてくれるので楽しめる。

あとクライマックスの１番の見せ場のバトルはめちゃくちゃ良かった。
少年漫画のような敵とダラダラ会話するシーンはなく、互いに余計な言葉は発さない。
黙々と相手の致命傷を取るため、敵の隙を伺いつつ、攻撃の手を休めない。
かなり緊迫感のあるシーンで見応え抜群だった。

若い女の子がこの映画を観たらアクション俳優に憧れるんじゃないかなって思えるくらい、クオリティが高かった。
続編も最近、配信されているので確実に鑑賞したい。
やっぱりアクション映画はストーリーより、圧倒的にキャラの魅力が重要で有ると再認識させられた。

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