■評価：★★★☆☆3
「閉鎖空間でのバイオテロの恐ろしさ」
【映画】非常宣言のレビュー、批評、評価
『シュリ』『JSA』『殺人の追憶』『グエムル-漢江の怪物-』『シークレット・サンシャイン』『スノーピアサー』『タクシー運転手 約束は海を越えて』『パラサイト 半地下の家族』『ベイビー・ブローカー』のソン・ガンホ主演で、2023年1月6日公開の韓国制作のパニックスリラー映画。
【あらすじ】ハワイへ向かう飛行機KI501便の機内でバイオテロが発生。被害を食い止めようとする国土交通大臣だったが苦戦を強いられ、KI501便にタイムリミットが迫る。
多くの映画評論系ユーチューバーがおすすめしていたので鑑賞に至った。
主演は韓国の名優ソン・ガンホ。
ソン・ガンホの出演作は名作が多い。
北朝鮮と韓国の軍人たちの国境を超えた友情を描く『JSA』。
まるで修学旅行の夜のように、上司にバレないように、こっそりと、国境にある詰所で各々の文化の情報を共有したりして距離を縮めていく軍人らが愛おしく思えた。
キリスト教は本当に人を救うのか、をテーマとした『シークレットサンシャイン』。
韓国の実際の未解決事件の真相に迫る『殺人の追憶』もめちゃくちゃ面白い。
そのため、本作も期待を持って鑑賞した。
テロリストによって離陸した飛行機に100％命を落としてしまうウイルスが巻かれる。主人公の刑事の男の妻が搭乗しており、妻を含む乗客たちの命は救われるのか、といったストーリー。
本作はパニックスリラー映画で、この手のジャンルは、韓国が特に得意な印象。
例えば直近で鑑賞した『オオカミ狩り』。
本作と同じく、逃げ場のない閉鎖空間である大型の船で、護送中の凶悪な犯罪者が逃げ出し、警官たちとバトルロワイヤル状態となる話。
『オオカミ狩り』は冒頭に想像させる内容とはまるで異なる展開を見せてくれ、個人的にはかなりツボだった。
話を戻すが、本作は冒頭から引き込まれる。
主人公の刑事がとある団地の一室に突入し、無惨に命を奪われた遺体を発見する。
どうやら何かの実験の被験者で、奇妙な命の落とし方をしている。
犯人が撮影したと思われるマウスの実験の様子の映像が残っている。
再生した映像には次々と大量のマウスが絶命していく姿が記録されている。
どうやら危険なウイルスを開発しており、マウス実験をしていた模様。
何となく物語が纏う空気感が、サスペンス映画の名作『セブン』を彷彿としており、先の展開の期待を煽ってくれる。
そしてウイルスを持った犯人がとうとう、主人公の妻と同じホノルル行きの便に搭乗してしまう。
前半は緊張感のある良い空気感。
だが、中盤に差し掛かる辺りで様子がおかしくなる。
まず、犯人役の男の挙動に違和感があり、一貫性がない。
犯人は機内にウイルスをまいて、乗客の命を奪おうとする。
空を飛んでいる閉鎖空間なので、犯人も感染し、自害するつもりなんだろうと思った。
だが、もう一人の主人公で、同じホノルル便に乗る元パイロットの男は、犯人の男の挙動に不審を感じており、犯人を捉えて「こいつ怪しいぞ」とCAに突き出す。
てっきり犯人は開き直るのかと思いきや、「いや俺は何も知らない」と白を切る。
言い逃れをして、何なら生き延びようとする言動が違和感を覚えた。
割と穴だらけの脚本なのかな、と不安がよぎったが、残念ながら的中した。
飛行機は韓国に戻ることになるのだが、燃料がないので日本に降りようとする。
だが、日本はあの手この手で着陸拒否をする。
実際、テロリストが乗っており、乗客はパニックになっているのに拒否するものなのだろうか。
確かにウイルスが蔓延しているが、違和感を覚えた。
外交的には恩を売って助ける気がする。
また、本当に着陸拒否したら他の国から非難されそうな印象。
飛行機は日本を諦め、韓国の空港に着陸しようとするが、何とまた拒否。
緊迫感の与えるための無理くり短絡的なピンチを作っているように見えて萎えさせられた。
絶賛している人は多いけど、個人的にはそんなに評価される映画だとは思わなかった。
また、直近で壮絶な飛行機事故のドキュメント本『墜落遺体』を読んでいるので、温く思えたのもあると思われる。
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■オオカミ狩り
非常宣言の作品情報
■監督：ハン・ジェリム
■出演者：ソン・ガンホ
イ・ビョンホン
チョン・ドヨン
キム・ナムギル
イム・シワン
キム・ソジン
■Wikipedia：ソン・ガンホ
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家)：63%
AUDIENCE SCORE(観客)：62%
非常宣言を見れる配信サイト
U-NEXT：○(有料)
Hulu：○(有料)
Amazonプライムビデオ：○(吹替・見放題)、○(字幕・見放題)、○(Blu-ray)
Netflix：－
※2024年3月現在
