映画『SMILE スマイル』ネタバレなしの感想。精神科医の女性に不気味なナニカが取り憑く

■評価：★★☆☆☆2.5

「笑顔の本質は攻撃である」

【映画】SMILE スマイルのレビュー、批評、評価

2023年4月7日に配信開始となったアメリカ制作のホラー映画。

【あらすじ】精神科医のローズは、患者の女性から自分にしか見えない人がいるという話を聞く。「それ」は自分に笑顔を向けてくるという。そしてその女性はその場で絶命。それ以降、彼女の周囲で、次々と人々が笑顔のまま死ぬという現象が相次ぐようになる。

公開当時、YouTubeやX（旧Twitter）などでチラホラとレビューを目にしたタイトル。
制作本国のアメリカでは低予算にも関わらず、そこそこヒットしたらしいので、一部のホラー映画ファンからは注目されていたタイトルだと思われる。

まずパッケージ画像に目を引かれる。
顔立ちの整った女性の笑顔をアップなのだが、楽しくて頬を緩めたようなポジティブさは皆無。
どこか不穏さが漂う不気味な表情が嫌な感じ。

ストーリーは、ある日、精神科医の女性ローズの目の前で、自身の患者が笑顔のまま惨たらしく自らの命を断つ。
その日以降、彼女は奇妙な幻覚を見るようになる、といった内容。

どうやら、ローズは自害した患者から、ナニカが乗り移ってしまったらしい。
ナニカが執拗に、ローズを精神を破壊しようと試みている様子。

第一印象は2016年に公開されたアメリカのホラー映画『イット・フォローズ』だった。
ある日、女子高生が付き合いたての男子と一夜をともにする。
すると何故か男子に拘束され、こう告げられる。
「お前にはソレが追ってくる。ゆっくりと近づいてくる。逃げても必ず、ソレは追いかけてくる。時には自分の大切な人に変身して追ってくる。ソレから逃れるには、別の男と寝て移すしかない」と。
ティーン向けの映画らしい設定で、私がホラー映画の中でも特に好きな一本。

『イット・フォローズ』のソレのように、本作のナニカも様々な姿に変身し、彼女につきまとう。
例えば信頼している職場のスタッフだったり、あるいは自分の愛する者だったり。

自分が心を開いている相手が急に牙を向いてきたら最悪。
一体、誰を信じたら良いのか。
新しく出会った自分に優しくしてくれる人間は本当にまともなのか。

気を緩められる相手は誰もいない。
疑心暗鬼から逃れる術がなければ、誰だって精神的におかしくなるに決まってる。
そのため、彼女の苦悩は痛いほど共感でき、すぐに感情移入してしまった。

ただ、個人的には本作にあまりハマれなかった。
肝心のナニカのルールが納得出来ない。
一体、どういった条件を満たすと乗り移るのか。
どうすれば逃れることが出来るのか。

一応説明はされているんだけど、どこかフワッとしていて具体性に欠けている印象。
対処法についてもオリジナリティを感じられない。

対して『イット・フォローズ』はめちゃくちゃ具体性がある。
ルールがはっきりしているので、主人公の行動の予測がついたり理解できたりするので、とても鑑賞しやすい。

本作に話を戻すが、対立の作り方も雑に見える。
主人公の恋人の男は、乗り移られた彼女の苦悩を、まるで理解しようとしない。
「君は疲れてる」とか、様々などうでもいい理由付けでしっかりと話を聞こうとしないのが意味不明だった。
色々あって別れる直前なら分かる。
でもそうではない。むしろ仲よさげ。
何故、恋人同士なのに彼女の敵になろうとするのか。
無理矢理、彼女を孤立させようとするご都合主義な展開には違和感を覚えた。

結末もしっくりとは来なかったので、個人的には微妙な映画体験となった。

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■女神の継承

movies-ocean.hatenadiary.com

SMILE スマイルの作品情報

■監督：パーカー・フィン
■出演者：ソシー・ベーコン
カイル・ガルナー
ケイトリン・ステイシー
ジェシー・T・アッシャー
■Wikipedia：SMILE スマイル（ネタバレあり）
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家)：80%
AUDIENCE SCORE(観客)：77%