映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

Netflix配信ドラマ『今際の国のアリス シーズン2』ネタバレなしの感想。異次元の東京で様々なデスゲームを強いられる

■評価:★★★★☆4

 

異世界デスゲーム」



【映画】今際の国のアリス シーズン2のレビュー、批評、評価

 

麻生羽呂による『週刊少年サンデー超』 → 『週刊少年サンデー』連載の漫画を原作とするデスゲームドラマ。
監督を務めるのは、『GANTZ』シリーズ、『図書館戦争』シリーズ、『アイアムアヒーロー』『いぬやしき』『BLEACH 死神代行篇』『キングダム』シリーズの佐藤信介。


※前作 今際の国のアリス シーズン1のネタバレあり

 

“今際の国”での理不尽な“げぇむ”を生き抜き、クリアする度に手に入る数字のトランプをすべて集めたアリスたち。ミラから新たな戦いの幕開けを告げられたアリスは、絵札のカードをクリアするためウサギたちと渋谷へと向かうが、突然始まった銃撃戦に巻き込まれる。同時に複数の“げぇむ”に参加することができないのではないかという仮説を立て、別の会場に向かったアリスたちを迎えたのは、強烈なカリスマ性を持つキューマだった。敵でありながら“げぇむ”を通してキューマの生き様に触れ、生きることの意味を考え始めるアリス。一方、ウサギは尊敬する父を死に追いやった元の世界に戻ることに躊躇を感じ始めていた。

 

 

今際の国のアリスのジャンルを一言で説明するなら、異世界デスゲームもの。
無人化したもう一つの日本(メイン舞台は、渋谷を始めとする東京23区)に突如として転送され、謎のゲームマスターから、生死を賭けたデスゲームを強制参加させられる。
勝利すれば、ビザを配られ、しばらくは滞在できるようになる。
ゲームに負ける、もしくは、ビザが切れたら、空から槍のようにレーザーが脳天を突き刺し、命を奪う。
無人化した、書いたが、厳密にはゲームを強いられた連中のみが生きる世界。
そのため、主人公らと同様の境遇の人たちが存在する。

私が本作で何よりも素晴らしいと思っているのが、ゲーム内容のフリ。
ゲームはすべて、トランプのカードによって難易度や方向性が示されている。
例えばトランプの数字が高ければ高いほど、難易度も比例する。

一番最初は数字が4のカードのゲームを行う。
一歩間違えたら簡単に命を落とすハードなゲーム内容。
だが、4でこのレベルなので、10とか13のカードになったらどんなことになるんだ?
といった恐怖と期待感でワクワクさせてくれるのだ。

また、絵柄によるゲームの趣向は以下の通り
・ダイヤ:「知能型」
・スペード:「肉体型」
・クローバー「バランス型」
・ハート:「心理型」

もっとも厄介なのがハートの絵柄。
ゲーム参加者同士を疑心暗鬼にさせ、命を奪い合いを仕向けるような心を弄ぶ最悪のゲームばかりである。
観客からすれば、やはりハートのゲームが最も面白い。
誰が敵で誰が味方なのか。
誰も信用出来ずに消耗していく精神。
ハラハラドキドキの展開が傍観者としてはたまらない。

前作のシーズン1では、1~10のすべての絵柄のゲームがクリアとなった。
本作は、いよいよ訪れるJ(ジャック)~K(キング)の絵札による最高難易度のゲームに立ち向かうため、非常に期待していた。

感想としては、概ね期待通りで、楽しい作品だった。
冒頭からかっ飛ばしていて素晴らしい。

渋谷に戻ってきたアリスらを、銃を乱射するスペードのキングが、命を奪いにかかる。
渋谷という見慣れたロケーションでの非現実かつシンプルな絶望に、一気に画面に釘付けになった。
特記すべきは、カーチェイス
スペードのキングに追い回されるアリスらを追い掛ける映像の迫力が凄かった。
これはCGなのだろうか。
中々の速度のカーチェイスを、縦横無尽にカメラが追い掛けるシーンは、ダイナミックで見応え抜群だった。

結果としてチームは分断させられ、各々が様々なゲームに挑むのが、本作のメインストーリーとなる。

特に好みだったのが、『どくぼう』というゲーム。
挑むのは頭脳派のチシヤ。

ルールはシンプル。
集められた参加者に首輪をはめられる。
首裏箇所に『ハート』『スペード』『クローバー』『ハート』などの絵柄が表示されている。
自分では確認できないため、誰かに見て教えてもらう必要がある。
自ら鏡などの反射を駆使して確認するのはNG。
制限時間1時間以内に確認し、各々、独房に入り、自らの絵柄を唱える。
合っていれば解放される。
間違っていると、命を奪われる。
さらに、参加者の中にはハートのジャックが隠れている。
見事、ハートのジャックを倒せたら、勝利。
当然、1ターンが終了すると絵柄はリセットされる。
そのため、何度も人を信用し、自分の絵柄を教えてもらう必要がある。

シンプルでムチャクチャ面白い。
誰もがハートのジャックかと思えるくらいに怪しい。
だからといって相手に嘘をつき、命を奪い、もししくじったら。
次のターンは、自分が周りから疑われるのは必然。
デスゲームものは好きで良く鑑賞しているが、やはりシンプルかつ、頭を使わさせられるゲームが最も面白く感じる。

正直、『どくぼう』ではキャラの動向に違和感を覚えるシーンもあった。
「普通だったら、こうするだろ」なんて思うことも多々あった。
だが、細かい欠点を拭えるくらいみ魅力的なゲーム。
ゲームも結末も想定外だったし、十分、楽しませてもらった。

渋谷を離れ、一番最初にアリスチームが挑むのは、クローバーのキングとの戦い。
ゲーム内容も面白いのだが、キングとなる山Pが笑える。
ヌーディスト信仰を持っていて、ゲーム中はずっと裸。
モザイクをかけず、別キャラの肉体とかが上手い感じに大事なところが隠れる。
いちいち、そっちに意識がするからうざくて仕方ない。
ゲーム自体は面白いので、やはり楽しく鑑賞できた。

詳細はネタバレになるので、キャラ名は伏せるが、とあるキャラにべったりとくっつく女子高生ヘイヤも良かった。
現実では、ヘイヤの母は不倫をしていて、ヘイヤは酷く嫌悪している。
だが、ヘイヤ自身も同級生の彼氏と、こっそり寝たりしている。
まるで自分が嫌う母の遺伝子を継いでいるかのように。
ヘイヤも今際の国へ転送されてしまい、最初のゲームで片足を失われる。
まるで、罪の代償のように。
そんな中、とあるキャラにべた惚れし、まるで彼を守るようにヘイヤは命を掛けて戦う。
何だが、すごく目頭が熱くなる展開だった。

ヘイヤは心を入れ替えたわけではないんだろう。
だが、代償を負った彼女が、必死に好きな男を守ろうとする姿は健気に見える。

最終話の最後は正直、微妙だった。
非現実的な妄想のような世界観で展開が繰り広げられる。
私は現実的ではない夢とか妄想下での展開は好みではないので、あまり乗れなかった。
だが、オチは良かった。
綺麗にまとまっていたと思うし、人に勧められる良作。

TVの地上波では金の掛かったセットやCGに、デスゲームのハードな内容。
今際の国のアリス』のような高品質は配信ドラマに触れると、今後、制限のたっぷり掛かった地上波のドラマを楽しむのは難しく思えてしまう。

 


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■都市と都市

movies-ocean.hatenadiary.com

 

今際の国のアリス シーズン2の作品情報

■監督:佐藤信
■出演者:山﨑賢人
土屋太鳳
村上虹郎
森永悠希
町田啓太
三吉彩花
桜田
朝比奈彩
栁俊太郎
渡辺佑太朗
水崎綾女
吉田美月喜
阿部力
金子ノブアキ
青柳翔
仲里依紗
Wikipedia今際の国のアリス(ネタバレあり)

 

今際の国のアリス シーズン2を見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:-、原作はコチラ、アニメ版はコチラ
Netflix○(見放題)
※2023年1月現在