映画『劇場版呪術廻戦 0』ネタバレなしの感想。亡くなった最愛の少女に取り憑かれた少年を描く

■評価：★★★☆☆3.5

「愛はパワー」

【映画】劇場版呪術廻戦 0のレビュー、批評、評価

芥見下々による同名の漫画『呪術廻戦』を原作とするテレビアニメの劇場版。
公開日は2021年12月24日。

【あらすじ】幼い頃に幼なじみ・里香を交通事故で失った乙骨憂太。怨霊と化した彼女に取り憑かれた彼は、呪術師・五条悟に導かれて呪いを学ぶ学校に編入。やがて彼は、同級生との出会いを経て呪術師としての道を見出す。そんな中、呪詛師・夏油傑が大虐殺の実行を宣言する。そして乙骨たちは夏油との戦いに身を投じていく。

テレビアニメ版『呪術廻戦』で呪術学校の交流会が終わり、伏黒の姉の呪いに関するエピソード終わりのアニメ版第一期が終わった後に、劇場版として公開された作品が本作。
『呪術廻戦』の0巻とされている、『東京都立呪術高等専門学校』が原作となる。

ストーリーは、現在、高専の2年生の乙骨が子供の頃に結婚を約束した同い年くらいの女の子、里香ちゃんが交通事故では命を落とす。
里香ちゃんに呪いとなって取り憑かれた乙骨は、いじめなど、自らの命の危機に陥ると、里香ちゃんが顕現し、相手の命を奪いにかかるようになる。
意図せず、人を危機にさらす呪われた体となった乙骨は、自己肯定感が低く、気弱な性格。
そんな乙骨が五条悟に誘われ、呪術高専に入学し、里香ちゃんを祓うと心に誓う。

劇場公開された当時はやたらとストーリーの評判が良く、鑑賞した周りの人はこぞって絶賛していた。
興行的にも大成功していたので、当時から映画ファンとして興味があった。

今回、テレビアニメ版にハマり、現在公開されているところまで鑑賞したので、期待して鑑賞に至った。

テレビアニメ版では2023年12月現在では46話まで公開されているが、まだ乙骨は出てきていない。
高専の生徒や五条悟からたびたび名前がこぼれるのだが、どうやら無茶苦茶強い呪術師らしい。
呪術師としての階級は、映画版の冒頭で明らかになる。

第三者が強さを絶賛するので、どんな人物なのか期待を煽られたのだが、びっくりするほどの気弱なタイプで笑える。
挙動は常にオドオドしていて頼りない。
いかにも苛められっ子って感じなのだが、誰かに攻撃されると、すぐに里香ちゃんが過剰防衛するので、更に陰鬱になるのは納得。

しかし設定が面白い。
今までは、強い呪霊を祓うことがメインとして描かれているのが本シリーズ。
だが、乙骨は逆に強い呪霊が取り憑いており、そのせいで無茶苦茶強い。
逆転の発想が面白いと思った。
また乙骨って名前の字面も響きも良い。
いかにも強キャラのようなインパクトで、正直、名前からずっと惹かれていた。
名前だけで興味を持たせるって、作者のセンスを感じさせる。

肝心のストーリーはそこそこな感じだった。
アニメ本編でもラスボスとして君臨する夏油が、本作では新宿と京都に大量の呪霊を解き放ち、百鬼夜行を行うシーンがメイン。
いかにもヤバそうな香りがプンプンするのだが、期待とは裏腹に、緊迫感のある展開ではなかった。
てっきりGANTZの大阪編のような、呪術師に絶望感を与えてくると思ったのだが、一切なし。
一度たりとも、呪術師連中が押される場面はなかったので、「百鬼夜行」というインパクトのある名前倒れで、盛り上がりに欠ける印象だった。

あと、乙骨というか里香ちゃんが強い。
乙骨自身、本編にいずれは出てくるだろうが、ちゃんと乙骨としての強さを見せられるのか、心配になるところ。

とはいえ、本作ではちょっとしたドンデン返しが用意されていて、そこは良かった。

乙骨自身や、乙骨との関係性が描かれるキャラクターたちはとても魅力的に映ったので、満足度は高い。
ストーリーよりもキャラクターの見所が多い作品で、愛着が持てる。
何度も繰り返し観たくなる良作。

主人公が魅力的に変化・成長を遂げる作品のおすすめはコチラ。

■幽☆遊☆白書

movies-ocean.hatenadiary.com

■サンクチュアリ聖域

movies-ocean.hatenadiary.com