映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

配信ドラマ『幽☆遊☆白書』ネタバレなしの感想。事故で死んだ男子高校生が霊界探偵になるバトルファンタジー

■評価:★★★★☆4

 

「何かを得るためには何かを捨てなければならない」

【配信ドラマ】幽☆遊☆白書のレビュー、批評、評価

 

HUNTER×HUNTER』『レベルE』の漫画家・冨樫義博による同名タイトルの2023年12月14日配信のNETFLIXドラマ。
監督は『君の膵臓をたべたい』『センセイ君主』『響 -HIBIKI-』の月川翔

 


【あらすじ】子供を助け命を落とした不良少年の浦飯幽助は、"霊界探偵"という役目を与えられ、人間界で妖怪が関わる事件の解決に挑むことになる。(NETFLIX引用)

 

原作の漫画『幽☆遊☆白書』が少年ジャンプに連載されていた時期は1990年12月3日1994年7月25日。
40歳の私が小学校の頃に連載されていて、当時、学校で大人気だった。
任天堂のゲーム機、スーパーファミコンでも幽☆遊☆白書のソフトは人気を博していて、友達の家でプレイした記憶もある。
私は同じく少年ジャンプ連載漫画の『ドラゴンボール』しか読んでいなかったので、リアルタイムでは読んではいない。

とはいえ、あまりに人気があるので、20代に入って漫画を手に取った。
そこそこ楽しかった程度の感触だった。
ドラゴンボール』や『スラムダンク』ほどの完成度の高さではないな、といった感想だったのだが、やけに印象に残る箇所がちらほらとある。
例えば、記憶に刻印されるほどの強烈なセリフがいくつかあり、なぜ当時、爆発的な人気を誇っていたのかは何となく理解ができる。
そもそも作者が『HUNTER×HUNTER』『レベルE』の冨樫義博であり、ドラマの作り方やバトルの展開も上手いので、好きな人は多いと思う。

今回の実写版は楽しみにはしていたが、当時、熱を上げていなかった分、大きな期待をせずに鑑賞に至った。

2日かけて一気に鑑賞したが、結論から言うと最高だった。

まず、アクションパートが凄すぎた。
ファンタジー漫画であり、人間界、霊界、魔界が存在する世界。
幽助ら、人間界に突如として魔界から妖怪がやってきて、戦っていく内容。
ファンタジーなので、現実とかけ離れた超次元アクションの連続で画面に釘付けになった。

まず戦い方がバリエーション豊かで面白い。
序盤で幽助が住む町中でのバトルシーンがあるのだが、例えば、自転車のチューブのようなものを用いたアクションだとか、地形を活用したあまりに見たことがないアクション映像を楽しませてくれる。
序盤で見応えがあったのは、鬼と戦う車のスクラップ工場でのバトル。
車を使ったアクロバットなアクションの連続は、ただただ凄くて時間を忘れて楽しんでいた。
鬼が車とかバイクを棒きれのように軽々と武器していて笑えるし、幽助扮する北村匠海も動きのキレが抜群なので、相当、アクションシーンのために訓練したのではないだろうか。
アクション一つ一つに制作チームの本気感が伝わってきて良かった。

衣装やロケーションといったルック部分も良かった。
個人的には霊界案内人のぼたんのルックスが好み。
青髪に和服にヒールといった無茶苦茶な恰好なんだけど、幽助や桑原の高校の制服もカラフルなので、不思議と世界観とマッチしていた。
幽助の住む町も普通の日本の風景っていえばそうなんだが、どこか異世界の日本って感じだった。
例えば鄙びた団地がある町なんだが、商店街はやけに賑わっていたり。
現実世界との微妙なズレが絶妙で、いい空気感を作っていたと思う。

本作で一番良かったのはドラマパート。
幽助は高校生なのに煙草を吸ったり、口が悪かったり、喧嘩っぱやかったりとやんちゃな少年。
実は心の優しいところがあり、喝上げされている同級生の助けに入ったりする。
でも、上っ面でしか判断していない教師は、幽助を頭ごなしに批判する。
また、学校では怖がられているのでクラスメイトは幽助を見ると逃げ出す。
そんな中で交通事故に遭って、命を落とす。
(余談だが、交通事故のシーンの描写が生々しすぎて唖然とさせられる。リアルすぎるって)
幽助は、あの世でコエンマに、「霊界探偵になったら生き返らせてやる」と条件を出されるが「いいや」と断る。
霊界案内人のぼたんの助言で、現世に戻ってお通夜に行く。
このシーンが個人的には素晴らしすぎた。
今思い出すだけでも目頭が熱くなる。

私も作った小説を新人賞に応募し、7回も落選している。
あまりに受け入れられないので、人間性を拒絶されているような感覚に陥る。
普段、批判されていた行動が報われるような瞬間に直面したら、生きてて良かった、って心から思えると思う。
幽助も一度死んだからこそ、周りの自分への想いを知り、心を動かされたんだと想う。
冒頭から素晴らしいドラマを見せてくれるので、一発で幽助に感情移入できる。

ドラマの素晴らしさは一箇所だけじゃない。
ラスボスとなる綾野剛扮する戸愚呂(弟)のエピソードは、会社のお昼休み中に見ていたのだが、涙を堪えるのに必死だった。
純然たる強さを渇望する戸愚呂(弟)の決意は切なく、見るに堪えられない。
あまりに良く描いてくれたので、恐らく幽☆遊☆白書はシーズン2はないだろうなと思う。

とにかく、見所がたくさんある作品なので、多くの人に勧めたい。
制作に5年かかったらしいが、主に脚本とCGだと思われる。
長い原作を、上手く全5話にまとめていた。
またCGのクオリティも半端ないので、良くもまあここまで作り込んだと感嘆の思い。

正直、修行シーンとか、キャラの距離の縮まる速度が異様に早かったり、引っかかりを覚える箇所もある。
でもマイナス箇所が霞むくらい、ハイクオリティな出来映えに仕上がっている。

 

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■RRR

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ONE PIECENETFLIX実写版)

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幽☆遊☆白書の作品情報

■監督:月川翔
■出演者:北村匠海
志尊淳
本郷奏多
上杉柊平
白石聖
古川琴音
見上愛
清水尋也
町田啓太
梶芽衣子
滝藤賢一
稲垣吾郎
Wikipedia幽☆遊☆白書

 

幽☆遊☆白書を見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:原作はコチラ、アニメ版はコチラ
Netflix○(見放題)
※2023年12月現在