映画『劇場版Tokyo MER ～走る緊急救命室～』ネタバレなしの感想。オペ室搭載の大型車両・ERカーで事故現場に駆けつける救命医療チームを描く

■評価：★★★★☆4

「国民を支える救命医療チームの素晴らしさ」

【映画】劇場版Tokyo MER ～走る緊急救命室～のレビュー、批評、評価

『VIVANT』『半沢直樹』などのTBS系「日曜劇場」枠で放送されたテレビドラマの続きを描く、2023年4月28日公開の医療ドラマ映画。

【あらすじ】横浜のランドマークタワーで大規模な爆発事故が発生した。数千人が逃げ惑う未曾有の事態に陥る中、東京都知事直轄の救命医療チーム「TOKYO MER」のチーフドクター・喜多見は一刻も早く現場へ向かうべきだと主張するが、厚生労働大臣によって新設されたエリート集団「YOKOHAMA MER」の鴨居チーフは「安全な場所で待っていなくては、救える命も救えなくなる」と正反対の意見をぶつける。そんな中、地上70階に取り残された193名の中に、喜多見と再婚し妊娠中の千晶もいることが判明する。（映画.com引用）

本作は『半沢直樹』『VIVANT』など、TBSの日曜９時の人気ドラマ枠、日曜劇場で放送されていたテレビドラマの劇場版となる。

定期的にチェックしている映画評論YouTuberが「テレビドラマ版は、観ていないけど楽しめた」と絶賛していたので、興味を抱き、鑑賞に至った。

タイトルのTOKYO　MERは外科医である主人公が搭乗する、車両オペ室が搭載されている車で災害現場等に派遣され、緊急を要する患者を手術していく救命医療チームのチーム名となる。

そもそも、そんな車両及び、職業があることを知らなかったので、現実にもあるのかと思って調べたが、普通に存在していた。
世の中にはまだまだ未認知で、人の助けになる職業があるんだなあと実感した。
車を走らせながらオペするシーンもあって、緊迫感が凄まじく、ただただ嘆息を漏らすのみ。

ストーリーは、横浜のランドマークタワーで放火魔による火災が発生する。
主人公の妊婦の奥さん含む１００人以上の民間人が取り残され、TOKYO　MERに出動要請がかかる。

冒頭では第一の見せ場として、飛行機内での火災現場のシーンから始まる。
冒頭からがっつり心を掴まれた。
子供が煙を吸いすぎたのか気絶をしてしまい、母が必死に助けを求めているところに、主人公がやってくる。
主人公は母に子供の名前を確認し、「○○ちゃん、大丈夫だよ！すぐに良くなるからね！」と、笑顔で名前を呼び、声をかけ続けながら、手際よく手を動かして処置を進める。
一連の医療所作が生々しく、食い入るように主人公の動向を見守ってしまう。

本作は医療行為のシーンにかなり力を入れて再現しようとしている意識が伝わってきて、臨場感が素晴らしかった。

ライバル役である杏も凄い。
横浜のランドマークタワーに駆り出されると、杏は素早く手術着を着ながら、部下に的確な指示を出していく。
緊迫感のある現場で、脳みそと体をフル稼働させ、マルチタスクで的確に処理していく。
テンポが素晴らしいし、実際の現場も同様なんだと思われる。
医療従事者には頭が上がらない思い。
他にも素晴らしい職業はたくさんある。
だが、医療のような人の命に直結する仕事は特殊な立ち位置だし、尊敬あるのみ。
私の今の職業や小説を書く行為は、必ずしも生きる上で必要ではないので。

ストーリー自体はシンプル。
ミステリーとかスリラーのジャンルでもないので、斜め上を行く展開があるわけではない。
予想の範囲内の展開が続くが、現場が緊迫しているので、先が気になって仕方ない。
また主人公に、迫られる選択があまりに過酷なので、感情移入する。
後半はとあるキャラがとんでもない選択を主人公に迫るが、冷静に考えたらやり過ぎで若干突っ込みたくなる。
主人公の立場で考えたら、そんな酷なこと言うなよと。

でも、興味深く鑑賞出来るので問題ない。
やっぱり人の生死に関わる医療ドラマなので、肝心な医療行為シーンを妥協なく描写してくれたら、臨場感は生まれやすいと思う。

話も独立しているので、ドラマ版を観なくても充分楽しめる。
たまに過去の回想シーンが流れたり、ドラマ版に出ていた重要人物について触れるシーンもあるので、予習していたほうが感情移入するのは間違いない。
またドラマ版のネタバレも多く含まれるので、気になる場合は、ドラマ版から入ることをおすすめするり

観る人を選ばない良作。
医療ドラマの名作は既にたくさん存在する。
なぜ未だに作られている続けられるのか、納得。
ドラマを観て、医者に憧れてなろうとする人も増えるだろうし、今後も良い作品には積極的に触れていきたい。

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