■評価:★★★☆☆3.5
「スリリングな冒険の面白さ」
【TVアニメ】地獄楽のレビュー、批評、評価
2023年4月1日から7月1日に放送された冒険ダークファンタジーアニメ。
原作は、少年ジャンプ+で連載されていた賀来ゆうじの同名漫画。
【あらすじ】処刑執行人『御様御用』の山田浅ェ門佐切は、刑場で一人の罪人と出会う。超人的な肉体を持ち、大勢の人の命を奪った冷血な忍『がらんの画眉丸』。画眉丸は佐切に言う、「命を奪ってほしい」と――。
本作を知った経緯は、少年ジャンプの大ヒット連載漫画『チェンソーマン』がきっかけとなる。
『チェンソーマン』の独創的なキャラ設定、挑発的なストーリー展開は、どちらかと言うと一般層よりも、コアな漫画・映画ファンに支持されている印象のあるクセの強い作品。
作者の藤本タツキの天才性を頻繁に耳にするが、それだけに留まらず、藤本タツキ作品には、優秀なアシスタントが集まっていたとの話がある。
前作『ファイアパンチ』では『SPY×FAMILY』の遠藤達哉、『チェンソーマン』では『ダンダダン』の龍幸伸など、今大ヒット中の漫画の作者陣である。
本作『地獄楽』の作者の賀来ゆうじも『ファイアパンチ』でアシスタントを務めている。
恐らく、藤本タツキが彼らに影響を与えるだけではなく、藤本タツキ自身も能力の高い彼らから刺激をもらい、結果的に名作が生み出されたと推測される。
話を戻すが『地獄楽』は、仙薬という不老不死の薬があると噂される島に、主人公の画眉丸含む多くの罪人と、監視役の処刑人が向かうストーリー。
第一印象は『HUNTER×HUNTER』の暗黒大陸編だった。
『HUNTER×HUNTER』はハンターという難関な職業を目指す主人公の話。
32巻から始まる暗黒大陸編は言ってしまえば、これまでの『HUNTER×HUNTER』で描かれた設定等をすべてフリにしたとんでもない危険度を誇る大陸を冒険するエピソードとなっている。
あまりに強大なスケール感と大風呂敷に、暗黒大陸が登場した当時は読者は大いに歓喜すると同時に不安をもたらした。
休みがちの作者は、本当に書ききることができるのかと。
地獄楽の島はまさに暗黒大陸。
なので、今も休止中となっているHUNTER×HUNTERの代替作品の感覚で鑑賞した。
島に行く前に主人公をはじめとする罪人たちが戦う。
特に説明はされないが、主人公は人間とは思えない能力を持っており、あっさりと上陸組に入ることになる。
島を冒険するにつれて、主人公や他の者たちが、持つ能力の正体の伏線が回収されつつ、本当に存在するのか不確かな仙薬を探す。
島の設定が面白い。
島には奇妙な化け物が大量に存在する。
また、島にやられた人間は華美な花にされるという発想も良い。
美しい花には毒があるもの。
極端に美しさはどこか現実離れしていて警戒心が沸く。
本作も人間を苗床とするカラフルな花は美しく、毒々しさがあって妙に怖い。
島という世界観の残酷さの描き方がユニークで惹かれた。
あとキャラクターも魅力的。
本作は『HUNTER×HUNTER』とは違い、キャラクターの過去がしっかり描かれる。
そのため視聴者は感情移入しやすく、キャラクターの行く末を見守りたくなる。
特に主人公と、主人公が愛する者の存在のエピソードは素晴らしく、一発で感情移入した。
作者は編集の林士平と徹底的に話し合って作り込まれた苦労が伺える。
※林士平は上記の『チェンソーマン』『ダンダダン』『SPY×FAMILY』を手掛けた名編集者。
微妙だったのが、島の設定が少し物足りない。
というか、島の謎の面白さより、罪人や処刑人のキャラクターとしての深堀りや、島の生き物との戦いがメインなのが個人的には残念だった。
タンという概念が出てくるのだが、正直『HUNTER×HUNTER』の、念能力の劣化版。
また、世界観の作り込みも『HUNTER×HUNTER』の暗黒大陸には、遠く及ばない。
どこか『HUNTER×HUNTER』の下位互換感が否めない。
ただ、キャラを感情移入させるのが作り込みは『HUNTER×HUNTER』にはない要素なので、多少の差別化はできているが。
アニメも第二期が放送されるようなので、今後の展開には期待したい。
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■天国大魔境
■宇宙のランデヴー
地獄楽の作品情報
■監督:牧田佳織
■出演者: 小林千晃
花守ゆみり
高橋李依
木村良平
稲田徹
■Wikipedia:地獄楽
地獄楽を見れる配信サイト
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Amazonプライムビデオ:○(見放題)、原作はコチラ
Netflix:○(見放題)
※2023年11月現在