映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

TVゲーム『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』ネタバレなしの感想。田舎町に移り住んだ高校生の男が怪奇連続殺人事件に巻き込まれる

■評価:★★★★☆4.5 

 

「学園ミステリの面白さ」




【TVゲーム】ペルソナ4 ザ・ゴールデンのレビュー、批評、評価

 

『ペルソナシリーズ』『女神転生シリーズ』のATLAS開発のRPG。

 

2011年4月11日。田舎町に住む親戚の家に一時預けられることになった高校生の主人公が、町で起こる怪奇連続殺人事件の謎と、その裏に潜む異界の存在に仲間達と共に挑んでゆく。

 

ペルソナシリーズは、『女神転生シリーズ』の外伝作品に当たる。
女神転生シリーズ』といえば、「悪魔」という異形の存在に関わってしまった主人公らを描くRPGとなる。
「悪魔」といっても古今東西の宗教や神話などをモチーフとしている。
例えばギリシャ神話の主神である「ゼウス」、北欧神話の「オーディン」、ヒンドゥー教の神の「シヴァ」などが悪魔として登場する。
何なら最近では、古代エジプトの女王である「クレオパトラ」まで出てくるので、何でもありである。

女神転生シリーズ』といえば、敵として対峙する悪魔を仲間にすることができる。
今ではドラクエシリーズポケモンシリーズで、モンスターを仲間にするシステムは当たり前のように存在する。
だが、『女神転生シリーズ』では敵を仲間にするゲームの元祖といっても過言ではない。

宗教や神話などを用いた題材のため、シリアスで重たい雰囲気なのも特徴。
理由があって、もともとRPGは、ドラクエやFFシリーズのような勇者が魔王を倒す、みたいな陽キャっぽい明るいシナリオのコンセプトが主流だった。
対して『女神転生シリーズ』は、アンチドラクエ・アンチFFといったコンセプトの元に開発されている。
そのため、ゲームの雰囲気はやけくそなくらいに重厚で、気が滅入るほど。
シリーズによっては、今まで戦った仲間の全員の命を奪って、主人公単騎でラスボスに挑むルートも存在する。
RPGの中でも特異な立ち位置におり、そのため熱狂的なファンも多い。(私もその一人)

そんな『女神転生シリーズ』を万人受けするように作り直された外伝作品こそ、『ペルソナシリーズ』である。

本作『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』は、田舎町に引っ越してきた男子高校生が主人公。
ある日、舞台となる町で連続変死事件が発生する。
一方で、雨の日の深夜0時にテレビをつけると、次の事件の被害者が映る「真夜中テレビ」の噂が高校中に広がる。
高校の友達など、身近な存在が次のターゲットとされる事実を知る。
主人公ら同級生らは、「真夜中テレビ」に入れることを知り、警察の捜査の裏で、事件解決を挑むストーリー。

この学園ミステリー感が個人的には最高だった。
主人公が居候する家の家主は刑事で、この事件を追っている。
だが主人公らは「どうせ警察に真夜中テレビのことを言っても信じて貰えない」といったことで、独自で捜査し、ターゲットとなる仲間を救出しようとする。
秘密基地のような場所を設け、放課後、友達を救出するための冒険に出る。
この、大人に隠れてこっそりと冒険・旅をする感じが、男心をやけにくすぐってくる。

例えば、映画『スタンド・バイ・ミー』のプロットもそう。
遠く離れた場所に、遺体がある事を知り、主人公の子供たちは町のヒーローになるため、親に内緒で遺体探しの旅に出る内容。

子供は何かにつけて理由をつけられ、行動制限を強いられる。
本作も、家主が刑事ということもあって、「事件に首を突っ込むな」と耳がタコになるほど聞かされる。
だが、人間、ルールを敷かれたら破りたくなるもの。
私も、子供の頃は早く大人になりたくて仕方なかった。
大人になったら、自由に、自分の意思で好きな場所に行くことができるから。

本作は、ダンジョン探索のRPGパートと、アドベンチャーパートの2種類を交互にプレイしていくことになる。
プレイできる時間は4月~翌年2月まで。
(厳密には3月までだが、2月の終盤で一気に3月までスキップされる)
アドベンチャーパートでは町にいる仲間だったり、あるいは、バイト先の先輩などと交流する。
中を深めることで、RPGパートが有利に進めるようになるシステムとなっている。

多くの時間をアドベンチャーパートが占めているので、とにかくキャラクターが深く描かれる。
ゲームが終盤に差しかかるころには多くのキャラに感情移入しまくり。
そのためゲームの時間が冬になり、12月に入ると、音楽が哀愁のなるものに変わる。
もう寂しくて仕方ないのだ。

あと数ヶ月で、彼らとの冒険が終わり、お別れの時が来る。
なお、もともと主人公が舞台となる街に越してきたのは、親の都合のためなので、1年間限定。
3月になると、主人公は元の街に帰るのだ。
本当の意味でのお別れなのだ。
そのため、終わったあとのロスが酷かった。
ある意味、作品として良質な証拠である。

細かいところだが音楽が良い。
普通のRPGはインストの曲がメイン。
だが、ペルソナシリーズは、戦闘曲にボーカルが入っている。
やけにスタイリッシュでカッコいい。

ストーリーも良かった。
ちょっとしたドンデン返しもあるので、今からプレイする人は楽しみにしてもらいたい。

 


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■すずめの戸締まり

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ペルソナ4 ザ・ゴールデンの作品情報

■開発元:ATLAS
Wikipediaペルソナ4(ネタバレあり)
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