■評価:★★★☆☆3.5
「転落する人生は辛くて面白い」
【映画】最後まで行くのレビュー、批評、評価
『新聞記者』『ヤクザと家族 The Family』『余命10年』の藤井道人監督による2023年5月19日公開のアクションコメディ映画。
2014年公開の同名の韓国映画の日本制作のリメイク映画となる。
【あらすじ】運転中、妻から母が亡くなったとの知らせを受け気が動転した刑事が、目の前に現れた男をひき殺してしまう。彼は狼狽し、思わず遺体をトランクに隠してその場から立ち去る。
す元ジャニーズのアイドルではなく、アクション俳優としての顔がすっかり定着している元V6の岡田准一主演のアクションコメディ映画。
ストーリーは、亡くなってしまった母の病院に向かう途中、急に飛び出してきた少年を車ではねてしまい、命を奪ったが、思わずトランクに隠して隠蔽を図ろうとする刑事の数日間が描かれる。
本作は一応アクション映画がとなっており、対立する連中と肉弾戦やら銃撃戦やらのバトルが激しく描写される。
だが、どっちかというとコメディ要素がやや強め。
冒頭から、岡田准一扮する主人公の工藤に襲いかかる悲劇の連続がまるで漫画的。
トランクに亡骸を隠したあと、すぐに警察の検問に捕まる。
あまりにタイミングが良すぎて笑える。
だって、日常を振り返ると検問なんてそんな頻繁には行っていない。
私も今は東京だが、地元の田舎町、神奈川県小田原市(場所は静岡寄りの県西地区)に住んでいたときは良く車を運転していた。
やっぱり一度も検問なんて遭遇したことはない。
そんなご都合主義を逆に滑稽に描くように検問に捕まり、案の定怪しまれる。
工藤の焦った挙動を怪しむ警察官たちにトランクを開けられる。と思った瞬間、タイミング良く救世主が現れる。
エリート警察官、県警本部の監察官の綾野剛扮する矢崎。
工藤は矢崎によって難を逃れる。
その後、亡くなった母の遺体が安置された場所に舞台は移るのだが、可哀想なくらい執拗にピンチが訪れる。
あまりに工藤が連続で追い込まれるので、観ているこちらとしては若干疲れる。
少し話がずれるような気がするが、恐らく、工藤は消極的というか、目的が亡骸の遺棄であり、目標がネガティブなので、観客は工藤の行いを応援はできない。
そのため、ピンチが連続で訪れることで疲れる気がする。
もし、工藤がポジティブな目的、例えば、大切な奥さんを救出しに行くなどの共感できる目的であれば、観客は応援するので、ピンチのシチュエーションを疲れずに見られる気がする。
なぜ、こんなに本作は観ていてしんどく感じてしまったが、オソラク理由は上記の通り。
とはいえ、本作はストーリーはかなり面白かった。
工藤からすると、助けてくれる瞬間はありつつも、基本的には矢崎の立ち位置は敵のように描かれる。
中盤に、差し掛かると唐突に矢崎視点に切り替わる。
なぜ矢崎が執拗に工藤を追い回すのかが、観客が納得出来る背景・理由がたっぷり描かれる。
また矢崎のキャラクターも真面目でありながら強烈な野心を抱える極端さがありつつ、何かと不幸に見舞われるので、ちょくちょく笑える。
特に結婚式の義父とのやり取りは最高。
顔芸もたくさん披露してくれて、普段、見られない綾野剛が見られた気がきて楽しかった。
もちろん、工藤に扮した岡田准一も中盤以降はコメディ演技をたっぷり披露してくれる。
火葬場のシーンはただのドラマ『木更津キャッツアイ』のぶっさんだった。
古いドラマだけど名作コメディなので、未鑑賞の人には勧めたい。
本作はコメディアクション映画としては普通に楽しめる。
岡田准一というよりかは綾野剛のほうが見所が多い印象。
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■ベイビーわるきゅーれ
最後まで行くの作品情報
■監督:藤井道人
■出演者:岡田准一
綾野剛
広末涼子
磯村勇斗
駿河太郎
山中崇
黒羽麻璃央
駒木根隆介
山田真歩
清水くるみ
杉本哲太
柄本明
■Wikipedia:最後まで行く
最後まで行くを見れる配信サイト
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※2024年3月現在