■評価：★★★☆☆3.5
「命を奪う専門職の人の日常の面白さ」
【映画】最強殺し屋伝説国岡[完全版]のレビュー、批評、評価
『ベイビーわるきゅーれ』シリーズの阪元裕吾監督による 2021年10月8日公開のアクション・コメディ映画。
【あらすじ】一般人と変わらない生活を送りながら、ビジネスとして淡々と人の命を奪う仕事をこなしていく1人男。ある日、彼は連絡の手違いにより間違った人間の命を奪ってしまう。やがて彼は、逆上した依頼主から送られてくる刺客と、敵を討とうをする者たちの両方に狙われることとなる。
阪元裕吾監督はアクション作品を多く手掛けている。
マスというより、映画垢のSNSを持っているようなコアな映画ファンから支持されている印象が強かった。
近年のヒット作であるアクション映画『ベイビーわるきゅーれシリーズ』は続編が作られまくり、とうとうテレビドラマ化されるとの話もあり、一般層への認知も捗っている。
本作は現代日本を舞台に、裏社会界隈では最強との噂がある人の命を奪う専門職に従事する国岡という男にカメラが密着する話。
もちろんフェイクドキュメンタリーである。
ドキュメンタリー風の演出で撮られたフィクション作品なのだが、ユニークな発想に同じ創作者としてはやられた感を覚えた。
フェイクドキュメンタリーは、テレビ番組の『情熱大陸』のようなドキュメンタリータッチな演出が撮られるため、リアリティーがえげつない。
ドキュメンタリーの体、というルールを守る必要があるので、基本的には手持ちカメラで撮影することが多くなる。
そのため、他の映画では当たり前に使われるクレーン等を用いたダイナミックな撮影やドローン等の空撮などがやりづらく、スケールは小さくなりがち。
しかし一般的な演出の映画と比べると臨場感は段違いなので、ホラー映画との相性が高い。
『こわすぎシリーズ』のフェイクドキュメンタリーの名手、白石晃士監督も、多くは手掛ける作品の多くはホラーとなる。
ハリウッド映画『クロニクル』では、超能力に目覚めた少年の葛藤をフェイクドキュメンタリーで作られており、ホラー以外の作品も稀に存在する。
私はフェイクドキュメンタリーの溢れ出る緊迫感がたまらなく好き。
そのため、本作は人の命を奪う仕事の男に密着するという奇抜な設定が面白くて、冒頭から食い入るように見入った。
職業が絶妙である。
人の命を奪う職業は、恐らく日本にもいるだろう。
だが、我々一般人が交流する機会は皆無。
存在自体は認知していて興味はあるけど、詳細は知らないし、知る方法を持たない、といった見事な題材選定に脱帽する。
脚本も手掛けたであろう監督は、設定を思いついた時点で勝利を確定しただろうなと思う。
冒頭から、国岡は面白い。
良くある平凡な1Kの自宅マンションに撮影クルーを迎え入れる。
しばらく部屋の様子を撮らせると「すみません。寝ていいですか？来ると、分かってたから起きただけで、仕事までまだ時間あるので寝たいです」と、断る。
わざわざ起きてくれる優しさと、後は寝るの好きなんだなー、といった一般人と、同じ感性を持っているところが笑える。
この後も、我々と似通った平凡な人間性を随所に見せてくれて楽しい。
例えば、名古屋に遠征に行けば、味噌カツや小倉トーストなどのご当地グルメを楽しんだり。
あるいはめっちゃ普通の素朴な女の子とデートを楽しんだり。
命を奪う職業というフィルターが、国岡の普通の行動のすべて面白く見せてくれるので、最高の設定・演出である。
物語が進むと、徐々にフィクション感が強くなってくる。
黒い眼帯をつけた男をリーダーとするバカげた見た目の命を奪う集団が現れたりと、後半に向かうにつれてコメディ要素が過剰になる。
個人的には、コミカルな会話劇は良いんだけど、世界観をもう少しリアルな寄せても良かったかなあと思う。
あと、意外とアクションがそこまで見応えがなかった。
『ベイビーわるきゅーれ』の二人の女の子のほうが殺陣がキレッキレだった印象。
あと、撮影クルーと対立する緊張感があったらもっと面白かった気がする。
基本的には対立構造に変化がなかったり、あっても観客の想定内のもの。
もう少しシナリオを練ってくれたらもっと楽しめた
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最強殺し屋伝説国岡[完全版]の作品情報
■監督：阪元裕吾
■出演者：伊能昌幸
上のしおり
吉井健吾
松本卓也
でん一徳
申昇容
■Wikipedia：最強殺し屋伝説国岡[完全版]
最強殺し屋伝説国岡[完全版]を見れる配信サイト
U-NEXT：○(見放題)
Hulu：○(見放題)
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Netflix：－
※2024年6月現在
