■評価:★★★☆☆3.5
「終末の可能性の恐ろしさ」
【映画】終わらない週末のレビュー、批評、評価
ドラマシリーズ『MR. ROBOT ミスター・ロボット』のサム・エスメイル監督による2023年12月8日配信のNetflix製作スリラー映画。
【あらすじ】のんびり週末を過ごそうと、豪華な別荘を借りた一家。だが到着早々、サイバー攻撃により携帯やパソコンが使えないという不測の事態が起こる。そして、玄関口に見知らぬ男女2人が姿を現す。
定期的にチェックしている幽霊が見える芸人、シークエンスはやともさんが、2023年末にYouTubeで本作を紹介していた。
『未来を予言している映画』という惹句がキャッチーで惹かれたので、年末年始も相俟って視聴に至った。
動画のURLは以下。
ネタバレもあるので、映画を観終わった後にチェックすることをおすすめする。
ストーリーはシンプル。
人間関係に疲れた奥さんの提案で、バカンスに向かった一家。
リゾート地の別荘を借り、近くの海で悠々自適に過ごしていると、突然、携帯電話が使えなくなり、テレビも映らなくなる。
次第に日常が瓦解していく。
非常に分かりやすい展開で、よくある終末物のテンプレのような印象。
例えば、映画『シックス・センス』でおなじみのM・ナイト・シャマラン監督の『ハプニング』は、ニューヨークの巨大公園、セントラルパークに突如として、集団自決の事件が発生し、インフラも壊滅していく話。
オチがよくわからないのだが、序盤のミステリアス展開が無茶苦茶面白くて、最初だけは面白い終末映画。
他にも日本の漫画で妻夫木聡と神田沙也加主演で映画化もされている『ドラゴンヘッド』も、同じ終末作品として連想した。
主人公の高校生が修学旅行のために新幹線に乗っていると、突如として大地震が発生。
町中もパニックになっている中、生き延びるために奮闘する話。
こちらも結末が微妙で前半から中盤が面白さのピーク。
終末物は往々にして最後のまとめ方が難しくて、みんな苦戦している様子。
冒頭から魅力的な風呂敷を広げるだけ広げてみたものの、お手上げとなった印象。
だが、本作は割と上手く2時間でまとめあげ、オチの説明も簡潔で納得出来る内容だった。
詳細はネタバレになるので伏せるが、インフラが壊滅し、2次災害、3次災害についての説明が非常に生々しく、鑑賞後も実際に起きたら自分ならどうするだろうか、と思索にふけった。
余韻を与えてくれる時点で、本作が良作であることを証明している。
良かった細かいシーンも多い。
序盤から魅力的な謎が散りばめてくれるのがよかった。
冒頭、海を楽しむ主人公一家がいるビーチに、突如、制御不能となったタンカーが突っ込んでくる。
人と比較するように描かれるタンカーがあまりに巨大で、映像的に迫力も相まって、明らかにただ事ではない何かが起きている緊迫感を観客に伝えてくれる。
その日の夜、唐突にオーナーと名乗る黒人男性とその娘が、一家の別荘に訪ねて来る展開も良い。
「インフラが止まったから地下でいいので泊めてほしい」と頼み込んてくる。
人間不信の奥さんは、当然、疑い拒絶する。
しかし、オーナーらは今回の災害について、明らかに何かを知る挙動を見せる。
オーナーは味方なのかあるいは敵なのか。
そもそも本当にオーナーなのか。
何を信じて良いか分からない追い詰められた状況で、奥さんを通じて私まで疑心暗鬼に陥った。
こんなの先が気になって仕方なくなるに決まってるって。
他にも主人公らの前に立ちはだかる日常的な現象の数々。
どれも不気味過ぎるので、ネタあかしへの渇きが増す一方。
ストーリーはシンプルだし、映像的な見ごたえもあるし、見どころはかなり多い。
シークエンスはやともさんの未来を予言している、の発言はさすがに盛っているが、異様なリアリティが臨場感を与えているので楽しい映画体験となった。
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■すずめの戸締まり
■チェンソーマン
終わらない週末の作品情報
■監督:サム・エスメイル
■出演者:ジュリア・ロバーツ
マハーシャラ・アリ
イーサン・ホーク
マイハラ
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):75%
AUDIENCE SCORE(観客):35%
終わらない週末を見れる配信サイト
U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:-、原作はコチラ
Netflix:○(見放題)
※2024年2月現在