映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

映画『フェイブルマンズ』ネタバレなしの感想。映画監督スティーヴン・スピルバーグの自伝的ドラマ

■評価:★★★☆☆3

 

「映画監督の半生」

【映画】フェイブルマンズのレビュー、批評、評価

 

ジョーズ』『インディ・ジョーンズ』シリーズ『E.T.』『ジュラシック・パーク』シリーズ『シンドラーのリスト』『プライベート・ライアン』『マイノリティ・リポート』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『レディ・プレイヤー1』のスティーヴン・スピルバーグ監督による2023年3月3日公開のドラマ映画。

 

【あらすじ】映画に魅了された少年サミーは、映画監督になる夢を抱くようになる。そして彼は、自身の夢を本気に捉えていない両親との間で葛藤しながらも、さまざまな出会いを通して成長していく。

 

スティーヴン・スピルバーグといえば、商業映画の王様の印象がある監督。
『E.T』は、宇宙人は実は友好的で友達になれることを描いた友情もの。
もしも現代に恐竜が蘇ったら、のワクワク感を描く『ジュラシック・パーク』。

戦争映画などの社会性の強いテーマを描いた作品も監督し、ヒットさせている。
上記以外にも大衆が楽しめるエンタメ性の強い作品を多く世に送り出している。

私自身は、スピルバーグ作品を特別追いかけることはしていないが、映画ファンの中では、スピルバーグの新作は話題になりがちなので、自然と目を通している。

本作はスピルバーグ監督による自伝作品となる。
どういった経緯で映画撮影の楽しさを知り、実際に映画業界に飛び込むかが描かれている。

スピルバーグに限らず、世界的巨匠の自伝なんて見ない選択肢はない。
そもそも、ミュージシャンや作家といったクリエイターの自伝は大概面白い。

少し前だとロックバンド、クイーンのボーカルで故人のフレディー・マーキュリーを描いた『ボヘミアン・ラプソディ』はかなりヒットしている。
脚光を浴びていたフレディの葛藤は、凡人が体験することないであろうハードなもので、強く共感したし、最後のライブシーンは最高だった。

もう少し地味なところでいうと、ディズニーアニメのくまのプーさんの原作者で児童小説家のA.A.ミルンを半生を描いた映画『グッド・バイ クリストファーロビン』も良かった。
世界的に有名な古典青春小説『ライ麦畑でつかまえて』の偏屈な作者、J.D.サリンジャーの『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』もかなり興味深く鑑賞できた。

だいたいクリエイターの自伝は当たりなので、本作も期待して鑑賞するに至った。

スピルバーグ(映画での人物名はサミー・フェイフルマンズ)が映画にハマる経緯はシンプルで可愛らしかった。
幼少期、大して興味のなかった映画を、親に無理くり言いくるめられて劇場鑑賞することになる。
席にたくさんの人がぎっしりと埋まった巨大スクリーンに、超特急の列車が車をはねるシーンが、ダイナミックに描かれる。
少年、サミーは一瞬で虜になる。
その後、母が8ミリを買ってくれたので、撮影に夢中になる。

印象的だったのが、小道具作りや演出。
スリラー映画制作のため、妹たちをミイラにするため、トイレットペーパーを巻くだけではなく、水を掛けて肌に付着させて、よりミイラ感を出したり。
あるいは銃で発砲シーンをリアルに見せるため、撃った瞬間のフィルムコマに穴を開けて、投影するときにフラッシュ効果を与えたり。
子供の頃から頭を使って、よりリアルに見せることに注入するあたり、才能の片鱗を感じさせる。

また高校生の卒業のときに卒業フィルムを作成することになる。
自分をいじめていたイケメンの同級生が画面映えするという理由で、彼を主人公に見立てた卒業フィルムを作っているのも良かった。
自分の感情より作品のクオリティを優先する観客の視点を意識できるドライさ、客観性に既にプロ意識があると思った。

本当に天才だと思う。
自分の感情より作品を優先出来る客観性を持てる高校生なんてどのくらいいるだろうか。

ただ本作は肝心のドラマが微妙だった。
両親に若干問題がある家庭なのだか、至って平凡。
今の御時世、離婚なんて普通。
また学校を卒業し、映像会社に入る経緯も運命的な何かがあるわけでもない。

恐らくスピルバーグは脚本を書くタイプではなく、誰かの脚本を撮るタイプの監督なので、割とよくある人生を送っているのかと思った。
人生で苦しいや悲しい思いなど、負の感情を多くは経験する人生を送ってると、自身の監督作品では脚本も、書くんだろうなと、思う。
なぜならネガティブな感情体験を多く経験すると、自然と描きたい主題が生まれるから。

後、裕福な家庭に育っているのも気になる。
例えばお笑い芸人の、明石家さんまは、3才の頃に母を病気で失い、後妻から見放されていたそう。
子供の頃の辛い体験が彼をお笑い芸人へと掻き立て、現在に至る。

対して、本作は思った以上に平凡な物語だったのは残念だった。
つまらなくはないけど、盛り上がりポイントに乏しい内容で、人には勧めづらい。
母とか妹たちとかキャラクターの描き方は良かったり見どころはあるが、敢えて鑑賞することもない。

 

おすすめの実話ドラマはコチラ。

Winny

movies-ocean.hatenadiary.com

■ハウス・オブ・グッチ

movies-ocean.hatenadiary.com

■ドリームプラン

movies-ocean.hatenadiary.com

 

フェイブルマンズの作品情報

■監督:スティーヴン・スピルバーグ
■出演者:ミシェル・ウィリアムズ
ポール・ダノ
セス・ローゲン
ガブリエル・ラベル
ジャド・ハーシュ
Wikipediaフェイブルマンズ(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):92%
AUDIENCE SCORE(観客):83%

 

フェイブルマンズを見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:○(有料)
Amazonプライムビデオ:○(吹替・見放題)○(字幕・見放題)○(Blu-ray)
Netflix:-
※2023年12月現在