■評価：★★★☆☆3
「不良の強さ、カッコよさ」
【映画】OUTのレビュー、批評、評価
2023年11月17日公開のアクション映画。
お笑い芸人コンビ、品川庄司の品川祐の小説『ドロップ』の続編の同名漫画を原作とする。
【あらすじ】「狛江の狂犬」と恐れられていた伝説の超不良・井口達也（倉悠貴）が少年院を出所した。地元から遠く離れた西千葉で、おじちゃん（杉本哲太）、おばちゃん（渡辺満里奈）が営む焼肉屋「三塁」で働く新たな生活をスタートさせた彼は、保護観察中で、次に喧嘩をしたら一発アウトの身だ。ところが、ひょんなことから千葉の暴走族「斬人キリヒト」の副総長・安倍要（水上恒司）と出会い不思議な絆で結ばれたことから、半グレ集団「爆羅漢バクラカン」との血で血を洗う激しい抗争に巻き込まれることになって……。（映画.com引用）
公開当時、映画垢のSNS界隈では評判が良かったため、鑑賞に至った。
品川ヒロシの過去作『ドロップ』のインパクトのあるキャラクターとして登場した、伝説の不良、井口達也が本作の主人公。
『ドロップ』の井口達也は顔立ちが整った中性的なルックスでありながら、残虐な性格の不良。
女子からモテつつも、空手経験者のためにケンカも強いという、男からも憧れられるようなダークヒーロー的な存在。
井口達也は実在の人物であり、監督のお笑い芸人コンビ、品川庄司の品川の学生時代のツレ。
『ドロップ』で描かれた内容のどこまでが事実かは分からないが、伝説の不良というのは間違いないとのこと。
本作は、収容されていた少年院から井口が出るところから物語は始まる。
保護観察付きのため、またケンカしたら、すぐに少年院に逆戻り。
そのため、出るときは少年院の職員（演：千鳥の大吾）からは「もうケンカするなよ」と警告される。
つまり、本作はケンカを禁止された不良の話。
この設定はワクワクさせられる。
過剰な強さの開放に制限の掛かった設定の話は過去にも名作がある。
幕末に人斬り抜刀斎として多くの要人の命を奪い、明治時代を切り開いた緋村剣心。
人斬りを封印し、逆刃刀を持って明治の世を旅する緋村剣心を描く週刊少年ジャンプ漫画『るろうに剣心』。
または、命を奪う裏仕事をしていた男がボスに休養を言い渡され、1年間、人の命を奪うことを禁じられた男を描く『ファブル』など。
本作のケンカしか取り柄がないような男がケンカを封印されたらどうなるのか、とワクワクしながら鑑賞した。
キャラクターが魅力的だった。
お笑い芸人の品川が監督なだけあって、キャラクターたちが随所に、ボケとツッコミを繰り広げる。
間の取り方もうまいので、笑えるシーンがとにかく多い。
品川の芸人ならではの演技指導の跡が感じられる、
もはやキャラクターが普通に交流しているだけで楽しい。
井口が仲良くなった暴走族『斬人（きりひと）』のメンバーもみんな個性的。
金髪ロン毛の総長は、東京卍リベンジャーズのマイキーにしか見えないが、内面はまるで別人なので問題なし。
この手のアクション物ではなく、日常系のドラマでも品川は上手く作れるのではないか、と思った。
アクションのリアリティがまるでない。
アクション自体は、スタイリッシュに見せていて良い。
個々の俳優も動きにキレがあるし、みんな頑張ってる。
開けた場所で斬人のメンバー１人、または数人で何十人も相手にして、普通に勝ったりするのはいくら何でもありえない。
かっこ良い映像で何とか誤魔化してるけど、あまりに無理がある。
例えば路地に逃げて１：１に持ち込んだり、もっとリアリティのあるケンカを見せて欲しかった。
後、敵キャラで両端を鎖で繋いだパイプレンチで、斬人のメンバーの頭を全力で振り抜くキャラがいる。
やられたやつは立ち上がったりしてるけど、普通に死ぬでしょ、と、思う。
節々に見えるリアリティのなさが、本作のクオリティを著しく下げてる印象。
本気で映画を作るのなら細部にこだわって欲しかった。
主人公の最後の決断はあまり納得がいかない。
本作のケンカしない事を強いられ井口。
しかし、抗争は激しくなる。
一体、井口はどんな結末を迎えるのか期待した。
だが、最後の選択は私は微妙だった。
もっと本気出してシナリオを練って、斜め上を行く展開で度肝を抜いてほしかった。
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■レイジング・ファイア
OUTの作品情報
■監督：品川ヒロシ
■出演者： 倉悠貴
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