映画のくれた時間

約1500本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます(たまにアニメ・ドラマ・小説も)。面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

TVアニメ『ゴールデンカムイ』ネタバレなしの感想。日露戦争の帰還兵がアイヌの埋蔵金探しに奮闘する

■評価:★★★☆☆3.5 

 

アイヌ文化は魅力的」

【TVアニメ】ゴールデンカムイのレビュー、批評、評価

 

週刊ヤングジャンプ』にて2014年8月21日 - 2022年4月28日まで連載された野田サトルによる漫画のTVアニメ版。
第一期は2018年4月9日より放送。

 

【あらすじ】「不死身の杉元」と呼ばれた日露戦争の英雄・杉元佐一は、除隊後、一攫千金を狙って北海道で砂金採りに明け暮れていた。そんな折、杉元は現地で出会った中年男に、アイヌから奪われた埋蔵金の話を聞かされる。埋蔵金を奪った人物は網走監獄に収監中で、同房になった脱獄囚たちに埋蔵金の在り処を示す刺青を施したというのだ。当初はホラ話と思っていた杉元だが、その後の出来事によって話はにわかに真実味を帯びはじめる……。(アニメ公式サイト引用)

 

アニメ版のシーズン2までを鑑賞した感想となる。

本作の原作漫画が非常に高い人気を誇っていて、毎年末に刊行されておるマンガランキングムック本の『このマンガがすごい!2016』で第二位に食い込んだり、他にも漫画賞をいくつも受賞している。

あまりに有名な作品なので、チャンスがあれば手にしたいとずっと思っていた。
2024年に実写映画化される話題が後押しとなり、アニメ版を鑑賞するに至った。

主人公の杉元は日露戦争の生き残りの元兵士。
無敵の杉元と呼ばれるくらい、戦場では躊躇なく敵を蹂躙し、どんな苦境でも乗り越えてきた男の中の男。
戦争で命を落とした杉元の幼馴染みの男の奥さんの病を治すため、アイヌが隠したとされる埋蔵金を求める。
現地で出会ったアイヌの少女アシリパと共に北海道を散策する冒険物語となっている。

アイヌとは何なのか。
言葉では聞いたことがあるが、詳しく知らない人も多いのではないだろうか。
私もその1人。
アイヌは北海道や北方領土樺太などに居住していた原住民。
アメリカでいうインディアン、オーストラリアだとアボリジニをイメージすれば良いと思う。

本作の最も素晴らしい箇所が少女アシリパを通じて、アイヌの文化をたっぷりと描いてくれる。
主人公は屈強とはいえ、冬の寒い北海道の森の中で食べ物や飲み物を手にしたりすることは難しく、生き延びる能力は低い。
そこで可愛らしいマシリパが、アイヌに伝わる狩猟をはじめとする生活の知恵を、ストーリーの進行の中でたらふく披露してくれるのだ。

例えばリスを捕まえるため、リスが木に登りやすいように橋のようなものを設置し、そそこに輪状の罠を仕掛けて捕獲する。
とある花が咲いてきたら「そろそろマスが捕れる時期だ」と、マスを取りに行く。

もはやストーリーの本筋よりも、随所に豆知識として描かれるアイヌ流サバイバル術の方が知的好奇心を刺激され、興味深く見入った。

料理シーンが多いのも良かった。
代表はチタタプ。
料理名というか、調理法である『たたき』のアイヌ語
シカとかウサギとかの肉を「チタタプ」と、言いながら刃物で叩くシーンが何とも微笑ましい。
屈強な杉元がアシリパを真似て、「チタタプチタタプ」と唱えながら肉を叩くのが可愛い。
「チタタプ」は本作のアイコンのようなシーンになっているので、色んな箇所でチタタプをネタとして、我々を楽しませてくれる。

あとはリスの脳みそを食べるシーンも面白い。
我々と同じく食べ慣れていない杉元は、とてつもなくイヤそうな顔で食べるのだ。
屈強な男とのギャップに笑える。

他にも、アイヌは親グマを倒し、近くに小熊を見つけたら、命を奪わずに育てるとか。
結婚のときは相手の女性の家に行き、相手の茶碗の半分を食べるなど。
色んなアイヌ文化を物語の世界観に沿ってユーモラスに描いてくれる。

とにかく本作の魅力は、杉本とアシリパのコンビ。
この2人が仲良し。
お互いの短所を埋め合う良い関係性。
ずっと2人を見ていたい。
特に好きなのが、杉元が鍋に味噌を入れ、美味しそうに食べるシーン。
味噌を作るというと文化のないアイヌアシリパは「オソマ(うんこ)食ってる〜」といった感じで、渋い顔を見せる。
このマシリパが随所に、見せる変顔がとても可愛い。
ストーリーは割とシリアスなので、アシリパが良い感じで緊張に対しての緩和を提供してくれる。

あとずっと杉元は、圧倒的な年下であるにも関わらず、アシリパさんと、敬称を付けるのも印象的だった。
物語が進むにつれ仲良くなっていくのに、ずっと。
アシリパは生活の知恵や狩猟の能力が高いので、杉元は尊敬しているんだろうなと思う。

だからこそ、アニメのシーズン3が私はあまり楽しめなかった。
色々あって、シーズン3以降は杉本とアシリパは別行動を取る。
両視点で描かれはするのだが、2人が一緒じゃないと意味がない。
アシリパは心を許す同族や杉元に変顔を見せる。
変顔が見られないアシリパはキャラの魅力が半減する。

アイヌの知識を楽しく摂取できるので、知識欲が強い人には特におすすめしたい。

 


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ゴールデンカムイの作品情報

■監督:難波日登志
■出演者:小林親弘
白石晴香
伊藤健太郎
津田健次郎
細谷佳正
Wikipediaゴールデンカムイ(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):-
AUDIENCE SCORE(観客):60%

 

ゴールデンカムイを見れる配信サイト

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※2023年11月現在